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Xylotrechus villioni (Villard)
オオトラカミキリ
その1

高知県産オオトラカミキリ♂(飼育下)
高知県窪川町 2001.8.11蛹採集 2001.8.20羽化
虫との出会いで、息苦しくなるくらいどきどきしたことが何回かある。初めてオオトラを採集したときもそうであった。
その日は、一日夫婦池(一宇村)のほとりに座って、オオトラを狙ってみるつもりだった。
「池の上を飛ぶのがいてもおかしくないですよね。」
N氏と前日電話で話し、実際に一日かけて挑戦するつもりだったのだ。
夫婦池についたのは午前10時を少し回っていただろうか。車を止めて、池の方へと降りていく。と、池のすぐ脇をオレンジ色の大きな虫がゆっくりと飛んでいる。
「スズメバチ?」
あまりに唐突だったので、一瞬頭の中で回線がつながらなかった。 しばらくじっと眺めて、やっとなにが起こっているのか了解した。どう考えてもトラカミキリのシルエット・・・・奴だ!! あれこそオオトラだ!!
やおら猛ダッシュをかけ、池まで走り降りる。あっけなく一振りでネットに収まった。やった!! 50cm口径の網の中でオオトラの転がっていくのが、スローモーションのように見えた。
♂であった。
その後も8月中下旬に、池のほとりで座ってみたが、どうやら飛んでいるのは♂ばかりであること、午前中しか飛ばないことなどが次第にわかってきた。何年かかけて追加もいくつか採集できたが、2〜3日座ってようやく1頭飛ぶかどうかといった具合で、その中でネットの届くところを飛んだときだけ採れるとあって、非常に効率の悪い採集であった。
夫婦池のような高標高地では、本種は主にウラジロモミを食害している。しかし、ここ十年ばかりの間に調査が進むと、四国でも、低〜中山帯では、モミを多く加害していることがわかってきた。分布もかなり広く、讃岐山脈をはじめ、それまで考えもしなかったところでも見つかっている。
加害を受けたモミはヤニが大量に流れ出し(下の写真左)、本種発見の目印となる。ただ、加害されていないモミでも樹皮が縦に割れてヤニが流れ出していることがあるので、注意が必要である。食害痕は、脱出後7〜8年以上経てもそれと識別できるので(下の写真右)、分布確認の有効な資料となる。
左:脱出直後の加害木(モミ)。わかりにくいが、矢印部分に脱出口がある。
右:脱出後、7〜8年経過したと思われる加害木(モミ)
台風や雪解けの後、モミの枝が折れてぶら下がったり、地面に落ちたりしていることがあるが(下の写真左)、それらは、オオトラの食害が原因で折れてしまった場合が少なくない。運が良ければぶら下がったり落ちたりしている枝の中に幼虫がいることもあるし、そうでなくとも、幹に残った枝の続きを調べると、よい結果が得られることがある。また、根元にしたたり落ちたヤニ(下の写真右)から、高い位置への加害を発見できることがある。

左:台風で折れたモミの枝
左:モミの根元についたヤニ
(2001.9. 記)
その2

モミの樹幹を這う♀
徳島県脇町 2002. 8. 26
今日は、真夏に戻ったような暑さだった。これはひょっとして撮れるかも! と、妙に胸騒ぎ(?)がする。いても立ってもいられなくなり、昼からついにいつものモミ林へ車を走らせた。
林内もむせかえるような暑さで、なかなかよい感じである。オオトラは気温の高い日ほど、低いところへ降りてくるようで、これまでに成果が上がったのも、今日のような蒸し暑い日であった。さて、モミの木を1本1本見て回り始める。4〜5本目だっただろうか。
「お、おった〜。」

樹皮の隙間に産卵する♀
データ:同上
彼女は、せわしそうに樹幹を這っていた。時折、立ち止まっては産卵している。
這っているときにカメラを向けると、気むずかしそうに歩き回るが、不思議と飛び去ろうとはしない。産卵し始めると、しばらくは動かないので、撮影するならこのときがチャンスだ。
観察していると、モミの根際にまで産卵していた。ここの林では、高い所の枝から幹の低い部分までまんべんなく寄生するようで、様々な部位に古い食痕が見られた。

根際に残された古い食痕
データ:同上
(2002. 8. 26 記)

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