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ウイルス性胃腸炎

●ウイルス性胃腸炎とは
感染性胃腸炎とは、嘔吐・吐き気・下痢・腹痛などの胃腸症状を主とする感染症です。
熱も伴うこともあります。そういった嘔吐や下痢を引き起こす感染症の原因はいろいろ
ありますが、大きく分けて、ウイルス性のものと細菌性のものとに分かれます。
細菌性胃腸炎は、O-157やサルモネラ、腸炎ビブリオなどの細菌が原因になり、特に
夏場に、食中毒など引き起こします。
ウイルス性胃腸炎は、ロタウイルス腸炎に代表
されるように冬場に嘔吐や下痢の症状を引き起こしやすいものです
●どんなウイルスがある?
1.ロタウイルス(A群、B群、C群)--------冬期のウイルス性胃腸炎の約40〜50%
2.カリシウイルス(ノーウォーク、札幌ウイルスなど)--------冬期のウイルス性胃腸炎の約30〜40%
3.腸管アデノウイルス(40、41、7型)--------冬期のウイルス性胃腸炎の約5〜10%
4.アストロウイルス(1〜8型)--------冬期のウイルス性胃腸炎の約5〜10%
5.その他(コロナウイルス、コクキッサーウイルスA9型、B5型)
●各ウイルス胃腸炎の特徴
(1)ロタウイルス胃腸炎
A群:6〜24カ月の乳幼児に多く、比較的晩冬(2-3月)に流行します。
   ウイルス性胃腸炎の中では、もっとも重症化しやすく、高熱を伴うことも
   よくあり、下痢便は、白色〜淡黄色の水様便であり、5-7日続きます。
   けいれんを起こすこともあります。保育園や幼稚園などで集団発生する
   こともよくあります。経口感染が主ですが、空気感染も考えられます。
C群:3才以上の年長児や成人にみられ、春から初夏にかけて流行することが多い。
   その他はだいたいA群と同じですが、A群ほど大流行することはあまりありません。
B群:今のところ日本での報告はなく、中国のみ   
(2)カリシウイルス胃腸炎
ノーウォークウイルス:SRSV(小型球形ウイルス)と呼ばれ、主に食べ物
   (生カキ、サラダが多い)、生水などを介して感染(糞口感染)しますが、
   空気感染もあるようです。乳幼児から成人まで発症しますが、学童、成人に
   集団発生することも多く、11月から3月の冬季を中心に、ウイルス性の食中毒と
   して集団発生することもしばしばあります。ロタウイルスほどではありませんが、
   重症化することもよくあります。
札幌ウイルス:乳幼児に集団発生することが多くやはり冬期に流行します。
   ロタウイルスやノーウォークウイルスほどは、重症ではありません。
(3)腸管アデノウイルス胃腸炎
主に3才未満の乳幼児にみられ、1年中ありますが夏〜秋期に
やや多くみられるます。ロタウイルスに較べ、軽症で発熱も少ない。
(4)アストロウイルス胃腸炎
主に乳幼児に急性胃腸炎を起こします。冬季に発症しますが、
一般に軽症で、嘔吐や発熱も少ない。
(5)その他
コロナウイルス(秋〜冬)、コクキッサーウイルス(夏)なども胃腸炎をはじめ
いろいろな、かぜ症状を引き起こします。
●検査法
A群ロタウイルス、アデノウイルスは、便で簡単に検査でき、検査キットが、
ある施設では、数十分で検査できます。
その他のウイルスは、便では簡単に検査できないので、ウイルスの分離培養、
ウイルス抗体などを測定しますが、数週から数ヶ月を要します。
●嘔吐がある時の注意
・嘔吐開始後3〜4時間は、何も飲ませたり食べさせたりしなくても吐くことが多く、
 あまり飲んだり食べたりはさせない方がよいでしょう。
 次の3〜4時間は、たくさん飲ませたりしなけれ徐々に吐かなくなります。
 
牛乳やミルク、乳製品は避け、お茶や薄いリンゴジュース、アルカリ飲料などを
 少しずつゆっくりとあげてください。まだミルクや母乳しか飲めない小さなお子さん
 の場合母乳はそのままでかまいませんが、
ミルクは少し薄めたものを、やはり少しずつ
 与えてください。そうして嘔吐は普通、数時間から数日程度で治っていきます。
・嘔吐がある期間は、脱水になりやすいので注意してください。
 
脱水の様子(うとうとする、ぐったりする、反応が悪い、興奮する、機嫌が悪い、
 手足が冷たい苦しそうである、唇がひどく乾燥する)が見られたら、すぐに病院を
 受診してください。
●嘔吐に対する薬
ナウゼリンの座薬やプリンペランシロップが、しばしば用いられます。
これらの薬は、病気の初期で嘔吐が強いときは、あまり効かないことも多く、
副作用として頭痛、めまい、眠気、不安・興奮や、錐体外路症状
(手が震える、体が固い、動きが遅い、よだれが出る、勝手に目が上を向く)なども
あるため、小児ではあまり使いすぎないようにしましょう。
その他には五苓散などの漢方薬もよく用いられます。
●下痢があるときの食事
基本的には嘔吐があるときと同じです。食事療法が下痢の時の治療の基本です。
(1)飲み物
牛乳やミルク、乳製品は避けお茶や薄いリンゴジュース、アルカリ飲料、
野菜スープ
などを少しずつゆっくりとあげてください。まだミルクや母乳しか
飲めない小さなお子さんの場合、母乳はそのままでかまいませんが、
ミルクは
少し薄めたもの
を、やはり少しずつ与えてください。便の様子を見ながら、徐々に
ミルクを元の濃さに戻していきます。乳児で下痢が長く続く場合、一時的に、
下痢用のミルク(大豆乳など、乳糖の入っていないミルク)に変えてみるのも
いいかもしれません。この場合は先生に相談してください。
(2)果物、食べ物
リンゴのすりおろし、重湯、お粥、軟らかいご飯、柔らかいうどん、バナナや野菜
の裏ごしなど、柔らかく消化の良いものを少しずつあげ、便の様子を見て徐々に堅く
していきましょう。油ものや、スナック菓子は出来るだけ避けてください。
●下痢に対する薬
下痢止めを使っても、下痢が治る期間はあまり変わらないとの報告が多いので
強い下痢止めはあまり使わない方がよいでしょう。基本は食事療法です。
(1)乳酸菌製剤(ビオフェルミン、エンテロノン、ラックBなど)
いわゆる整腸剤。下痢に対する効果は弱い。乳酸菌製剤は腸内で糖を分解して
乳酸を産生し、腸内を酸性にして、タンパク分解菌や病原性大腸菌など有害菌の
発育をおさえ、異常発酵や腐敗を防止して便通を整えます。
抗生物質による下痢にもよく使われます。
以下の薬は牛乳の成分が含まれている可能性がありますので、牛乳アレルギーの
ある人は使用をさけてください。市販薬の場合、薬局で確認してください。
(
ンテロノンR,エントモール散、コレポリーR散、ポリラクトンー吉富
ビオスリー、ビオスリー錠、ラックビー、ラックビー微粒、ラックビーR
アンチビオフィルス細粒)
(2)収斂剤(タンナルビン、乳酸カルシウム)
腸内で徐々に分解されてタンニン酸を遊離し、腸の粘膜を保護し、水分の分泌を抑制し、
腸粘膜に穏和な収斂作用を現します。
カゼインが含まれるので牛乳アレルギーの人は、
ショックを起こすことがあるので服用しないでください
(3)吸着剤(アドソルビン)
腸管内の有毒物質、微生物、水分、粘液、ガスなどを吸着除去するとともに、
ゲル化して腸粘膜を覆い、刺激から腸粘膜を保護します。
ただ、消化酵素、ビタミン、無機質なども吸着するので、これらの欠乏をきたす
おそれがあるので、長期間の投与は好ましくありません。
(4)腸管蠕動抑制剤(ロペミン、ロートエキス)
腸管の動きを押さえて、下痢止めの効果をあらわします。とてもよく効きますが
細菌など有害物質を腸管内に停留させる欠点があるので、O-157の騒動以来
あまり使われなくなりました。
(5)乳糖分解酵素(ミルラクト、ガランターゼ)
下痢で腸粘膜がダメージを受けると、乳糖(ミルクや牛乳に含まれる、下痢を
引き起こしやすい成分)を分解する酵素が不足してきます。それを補うための薬で、
特に乳児によく用いられます。哺乳前に服用させます。
(6)漢方薬(五苓散)
少し苦いので、飲みにくいかもしれませんが、効果は悪くありません。
嘔吐・下痢・腹痛などに効き目があります。
漢方薬は冷やすと服用させやすくなります。漢方薬に少量の熱い湯で溶かし、
氷を入れます。好みによっては砂糖を入れてもかまいません。それからスプーンで
一杯ずつ十分ぐらいかけて飲ませます。