◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2001/05/01】



◇第5回◇
老人は経済的弱者か

 最近我が国では、少子高齢社会を迎え、これからも更に少子高齢化は進み、我々がかって経験したことがない高齢社会になると言われている。
近年、国の政策の中で、社会保障制度の拡充が強く叫ばれ、既に福祉政策の財源は国の予算の中で最大の比重を占めている。
 社会保障の大半が高齢者を対象にしたものであるため、将来の国民負担率(税金や社会保障費等)が大きな問題になってくる。少数の若者で、大勢の高齢者の社会保障費を賄うのが困難になってくるからである。
社会保障の対象が主として高齢者に向けられるのは当然だろうが、その政策の前提には、老人は経済的弱者だという考え方がある。
老人医療費や税金(老年者控除等)をはじめ、例えば交通機関の無料パスの支給等、地域によっても様々だが、色々な老人優遇策がとられてきた。
はたして、高齢者は本当に経済的にも弱者なのだろうか。

 今60歳以上で ほぼ順調にサラリーマン生活を送り、現役を引退した人々は少なくとも経済的弱者とは言えないのではないだろうか。  住宅ローンも払い終わっているだろうし、子供もほぼ独立している。年金も、十分とは言えないまでも、まあまあである。これが現在の高齢者の標準像だ。
一律に老人は経済的弱者だと決めつけた政策は誤っている。
勿論、経済的に大変困っている高齢者もいる。
しかし、だからといって、これが一般的な老人という捉え方は間違いだと思う。
今、海外旅行に行く人は多いが、その大半は現役を退いた老人達であり、その次が若い独身女性である。平日、ゴルフ場に行ってみると、高齢者がかなり目立つ。月に一度位ゴルフに行く余裕があるのは、誠に結構なことだ。

 では若年層はどうだろうか。
不況といわれる今日、以前のような右肩上がりのベースアップも望めない中で、住宅ローン、子供の育児、教育費等を抱え大変だと思う。
しかも、先に明るい展望がない。今の経済状況からみて、自分の会社は最後まで大丈夫だろうか、リストラには遭わないだろうか、若年層の国民負担率は年々上がっていく中で、自分たちの年金は大丈夫か等と考えるときりがない。
更に、今の国、地方の借金660兆円(国民1人当り500数10万円)を、これからの世代で負担していかねばならない等と考えると、本当にお先真っ暗になってしまう。

 高齢者は、経済的には若い世代に比べて、決して劣っているとは思わない。
むしろ老人達の方が、経済的にも また精神的にも安定しているのではないかと思う。劣っているのは身体的、肉体的な面で、これは仕方がない。

 それなのに、国や地方の行政においては、高齢者は経済的弱者ということを前提に、社会保障や福祉政策が考えられてきた。
「老人は社会的にも経済的にも弱者であり、可愛そうな存在だ、老人にもっと社会保障の充実を」と訴えた方が口当たりはいいし、政治家の選挙の票になるということもあるだろう。
 しかし、ここで大切なことは、これが現役世代の負担のもとに成り立っているということである。
今の若い人達は、もっと主張すべきだ。

 最近になって やっと高齢者にも応分の負担をしてもらおうという機運が出てきているが、それは当然だと思う。

 私は、高齢者には 経済面では特別扱いをする必要はない、一般的には現役世代と同じで良いと思う。
医療費等も同じ扱いにすればよい。そうすることによって老人医療費が少しでも削減されれば一石二鳥である。 (注−老人医療費は、月に何回かかっても自己負担は、低額で頭打ちになっているため、過剰診療、過剰投薬になりがちで、このため医療費の無駄使いが多いと言われている。ちなみに、老人医療費の大半は老人保健拠出金の名目で、保険料の中で現役世代が負担している)

 しかし、先程述べたように経済的に苦しい老人が居ることもまた事実である。
そういう人達を切り捨てろと言っているのではない。
本当に経済的に苦しい人々には、きめ細かな、今よりもっと手厚い支援策を構ずべきである。それができないというのなら、それは行政の怠慢と言うべきだ。

 また、加齢により身体的ハンデイを持っている老人に対する介護や社会的支援が大切なことは言うまでもない。
何と言っても老人は 人生の先輩であり、戦後の復興、今日の経済大国への道を切り開いたのも今の高齢者達である。
老人を敬い、いたわりの気持ちを持つことは、ごく当然であり 今更言うまでもない。

 我が国財政の厳しい現状にも鑑み、タブーとなってきた高齢者の社会保障費にもメスを入れる時がきていると思う。それにより国の財政赤字の削減に少しでも寄与できるなら、それも良し、また使える財源が出てくるなら、むしろ少子化に歯止めをかける政策に使ってもらいたいと思う。
 今回(4月26日)、構造改革路線を掲げた小泉新内閣が発足したが、社会保障問題についても、10年20年先を見据えた政策を期待している。 (2001.05.01)

 次回は〔第6回〕「教 壇」(2001.05.15)