◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2001/07/01】



◇第9回◇
構造改革と規制緩和

 小泉総理大臣は、「構造改革なくして景気回復なし」「聖域なき構造改革」を標榜して、今や国民の圧倒的支持を得ている。
国の将来のため、是非 初心貫徹してもらいたいものである。

 構造改革は、大きく分けて二つあると思う。即ち、バブルの後始末のための改革と21世紀の新しい時代に対応した体制作りである。
また、政府や地方自治体の構造改革と企業等民間部門の構造改革に分けることもできる。
バブルの後始末として、最も大きいのは国の財政再建問題であり、民間部門では不良 債権の処理と言われている。

 バブル崩壊後、政府は、10年以上に亘り、景気回復を目的とした公共工事をはじめ 莫大な資金を投入してきた結果、国、地方の借金は今や666兆円(国民1人当り約530万円)に達している。
今から考えると、景気回復ばかりにとらわれたこの政策は あまり効果を発揮しなかったどころか、膨大な借金を残し、国の将来に大きな禍根を残すことになった。
 銀行の不良債権は2〜3年で処理すると小泉首相も言っているが、仮に2〜3年では無理だとしても、これはいずれ解決するだろう。
いつまでも不良債権を抱えていたのでは、金融機関自体が破綻してしまうわけだし、民間企業の経営者は自らの生き残りをかけて構造改革や対策を講ずるに違いない。

 したがって、銀行の不良債権処理も必要だが、今最も深刻なのは国、地方の666兆円の債務(借金)の問題だろう。
これを返済するには何十年かかるのか、果たして返済可能なのか、気の遠くなる話だ。
しかも 今なお、行政がバブル期の旧態依然たる構造である上に、これまで発行した国債の償還や利払いもあり、どんなに財政を切り詰めても 毎年30兆円前後の国債を発行しなければやっていけない国の財政の現状を どう考えればいいのだろうか。

 これまでは景気回復によって財政再建を図るという考え方が主流であった。 小渕元首相の二兎(景気回復と財政再建)を追う者は一兎をも得ずという考え方である。
しかし、公共事業等 国の政策で景気回復(経済成長)を図ることが不可能であることが明らかになってきた。

 これからの最重要課題は、先ず国が自らの構造改革を行って、低経済成長下でも赤字に頼らない行政の仕組みを確立することが急務だと思う。
これは大変困難な問題だが、国の将来を左右する重要な課題であるし、まさに小泉首相の言う聖域なき構造改革を断固実行してもらうしか道はない。
今、問題になっている道路特定財源や地方交付税の見直しについても、もう既に反発の声が出ているが、是非やり遂げてもらわねばならない。
民営化できるものは全て民営化すべきであり、特殊法人や郵政事業の民営化等は是非やってもらいたいものだ。また、スリム化を目指した行政組織の見直しにより、定員の削減を図る必要がある。

 特殊法人は、当初はその必要があって設立されたものでも、今やその役割を終えているものも多く、それらは廃止又は民営化すべきであるし、大した必要性もないのに、役人の天下り先を確保するために作られたもの等は早期に廃止すべきである。
 我国の特殊法人の運営(経営)は、誠に無責任である。
例えば東京湾アクアラインや本四連絡橋公団等は自動車の通行料収入で 借入金の利息さえ賄えない、一体いつになったら借入金の返済ができるのか、お先真っ暗である。
しかも誰も責任を取らないのである。第二の赤字国鉄になりかねない。
これは一例にすぎないが、民間の常識では到底考えられない。
国からの補助金がもらえるし、何よりも倒産しないということが こんな杜撰な経営感覚にしてしまうのだろう。
それにしても特殊法人の役員の報酬の高さにも驚く。(理事長クラスの平均報酬は年約4,000万円)

 郵政事業の民営化は是非進めて貰いたい。
郵政事業の内、現在の郵貯、簡保については問題があるように思う。
銀行の不良債権は常に問題になるが、郵貯、簡保には不良債権はないのか。
郵貯、簡保によって集められた国民のお金は、大部分が財政投融資として前述の特殊法人等に回されている。
今、国民が貯金を全部引き出し、簡保を解約したら郵便局は全て払い出すことができるだろうか。
郵貯や簡保も銀行に劣らず、相当な不良債権を抱えていると思われるが、政府は銀行の不良債権同様、自らの郵政事業についても厳格な審査を行い、情報開示を行うべきである。
いずれにしても郵政事業の民営化は、特殊法人との関係等複雑な問題もあろうが、叡智を集めて是非郵政事業の民営化を推進してもらいたい。

 郵政事業の中でも郵便事業の民営化には、そんなに問題はないと思う。
かって、郵政族は、親書の秘密があるから民間には任せられないとか、僻地の配達は民間にはできない等と言って反対していたが、公務員と名がつく人が配達すれば親書の秘密が保たれるとでも言うのか、郵便局ではアルバイトも雇っているし、配達に関する不祥事も毎年起こっている。
民間の宅配業者の方が、余程親切丁寧で信頼がおける。
今時、僻地の配達も民間業者でできると思うが、仮にできないとすれば、その部分は 民間に任せられない部分だから 国がやればよいのであって 郵便事業民営化反対の理由にはならない。
郵政事業の民営化もできる部分から逐次やっていくことが肝要だとすれば、郵便事業の民営化等は真っ先にやるべきだ。

 民間企業の構造改革については、政府はあまり干渉すべきではない。
民間企業の経営者は、企業の存立を賭けて必死に対応するからである。
経営の失敗には経営責任が問われるし、不幸にして競争に敗れた場合は、市場からの退場(倒産や廃業)を余儀なくされる。
政府が干渉するのは 多くの一般国民に影響がある時等 最小限に留めるべきだ。

 次に規制緩和の推進も極めて重要な問題だ。
民間部門の構造改革は、どれくらい規制緩和ができるかにかかっていると言ってよい。
今の規制を全部見直して本当に必要なもの以外は規制を撤廃すべきである。
これまで国の規制により、自由競争や企業活動が制約され、我が国の経済発展が阻害されてきた部分も大きい。
 例えば、黒猫ヤマトの宅急便は今でこそ皆重宝しているが、創設時には 運輸省(陸運局)の全国規模の配達の認可が下りず大変苦労したそうである。もし、認可が下りなかったら、未だに我々は小荷物を送るのに郵便局の小包しか手段がないことになっていたのである。
自動車メーカーのホンダが乗用車に進出する時も、運輸省は二輪車メ−カーに四輪車は無理だ等と言ってを難色を示したそうだが、全くいらぬお節介だと言いたい。
 事業や企業の経営に関しては、親方日の丸的な官僚より 民間経営者の方がはるかに優れているのだから、政府はあまり民間には口出しをしない方が良い。

 要するに、構造改革は主に政府、地方自治体やその外郭団体、特殊法人等に対して行われるべきであり、責任体制も明確にしてもらいたい。
また官僚の特殊法人等への天下りは百害あって一利なしだ。
莫大な退職金をもらって退職後、特殊法人から特殊法人へと渡り歩き、その都度 莫大な退職金をもらう天下りの実態は、庶民感情からは とんでもない話だ。
 競争原理に基づく経済の活性化には幅広い規制緩和が必要であり、「構造改革」と「規制緩和」は、お互いに車の両輪のようなものだ。
 聖域なき構造改革と規制緩和なくして、我国の未来はない。(2001.07.01)

 次回は〔第10回〕「歴史教科書問題を考える」(2001.07.15)