◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2001/07/15】



◇第10回◇
歴史教科書問題を考える

 我国の歴史教科書が中国、韓国で問題になっている。
事実を歪曲したり、不適切な部分があるとして我国に訂正を要求し、このままでは相互の友好関係を阻害することになると言っている。
 これに対し、我国は中国や韓国の言うことも理解できるが、日本の教科書は中国や韓国のように国定教科書ではなく、日本は検定制度であり、検定をパスしたものだから 政府が簡単に訂正することはできない、問題個所については双方の専門家で検討してもよい等と言っている。

 どこの国でも、学校教育はその国の根幹に関わる問題であり、どのような教育をするかは国によりさまざまだが、他国がこれに干渉したり、されたりすべきことではない。
歴史教科書において、史実(歴史上の事実)記載に間違いがあってはならないことは当然だが、歴史上の事件や事実をどう評価するかは、その国や立場によって異なり、また時代によっても変るもので、これは仕方がないこと、当然のことと受け止めねばならないと思う。

 〔例えば日韓併合問題一つとってみても、今では日韓併合は間違っていたとの評価に誰も疑問を抱かないが、当時としてはどうだったのだろうか。
これには、当時の世界やアジアの情勢、特に朝鮮半島を取り巻く情勢、朝鮮半島内部の状況等を詳しく分析してみなければならない。
日韓併合が行われなかったら、果たして朝鮮は独立国になっていただろうか、否 ロシヤや清国(今の中国)の植民地になっていたに違いないとの見方もあるのである〕

 また、歴史上のある事件や事実を教科書に載せるかどうかについても、それはその国の教育方針に関わることであり、ある事件を載せていないからといって他国の教科書について抗議をしたり、抗議を受けたりする筋合いのものではない。

 例えば、アメリカが広島、長崎に原爆を投下した事件について、アメリカ側は太平洋戦争を早期に終結させるためには、止むを得ない手段だったと評価している。
しかし、被害者側からみると、一瞬にして何十万という大量の民間人を無差別に殺傷した原爆投下は 国際法に反するのみならず、人道上誠に許されない行為で 糾弾さるべきであるという主張になるはずである。
アメリカに対し、我国が、原爆投下の事実を被害者側の立場から教科書に載せないのは けしからんと言って抗議したらどうなるだろう。
恐らくアメリカは、教育内容について他国から干渉される筋合いはない、内政干渉だと問題にもしないだろう。
 戦時中の慰安婦問題を歴史教科書に載せないのは けしからんという主張もあるようだが、それなら当時は売春制度が合法的に堂々と巷で行われていたという時代背景も併せて考えないと正しい評価はできない。勿論、慰安婦問題を小中学校の教科書で採りあげる必要はないし、載せるべきではない。

 中国や韓国が日本の教科書のどの部分の記述をけしからんと言っているのか分からないが、専門家が作り、しかも検定をパスした日本の歴史教科書に歴史上の事実(史実)記載に基本的な間違いがあるとは到底考えられない。
したがって、中国、韓国が問題にしているのは、@記載の仕方 即ち史実の評価に問題がある、A日本は、過去に こんな悪い事をしているのに 載せていないのは けしからんと言っているのだろう。

 しかし、この非難は全く筋違いである。
既に述べたように、この史実は このように評価して このように書け等と他国から指摘される理由はないし、また この事件を書けとか、書くな とか言われる筋合いのものではない。

 韓国や中国の教科書に日本のことがどのように書かれているか、反日的なこと、日本との友好関係を阻害するようなことが随分書かれていることは、想像に難くない。
しかし、我々は、これに干渉して抗議する気はない。

 それにしても、日本政府の態度は誠に曖昧で理解に苦しむ。
「中国や韓国の主張はよく分かるが……」とは一体どういうことだろう。相手国の主張がよく分かるなら、非を認めて直ちに改めればよい。
検定主義だからという言い訳も、誤った教科書なら検定不合格にすればよいではないか。

 日本政府は、問題個所について双方の専門家によって検討してもよいと言っているが、検討してどうするというのだろう。
検討するなら、日、中、韓三国の教科書をお互いに持ちより、相互に友好関係を阻害する部分を検討し合うというのなら分からんでもない。(勿論、相手国がこれに応じることは全く考えられないのだが…)

 日本政府は、なぜ内政干渉だとはっきり言明しないのか、なぜ不当な干渉に対して毅然たる態度をとらないのか。
こんな曖昧な態度で誤魔化そうとする姿勢は、逆に相手国の信頼を失い、友好関係を損なうことにしかならない。
 このように、曖昧で、主体性のない日本外交の姿勢は、歴史教科書問題に限らず、随所にみられるのは極めて残念なことだ。(2001.07.15)

 次回は〔第11回〕「小泉さんの靖国神社参拝問題」(2001.08.01)