◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2001/09/01】



◇第13回◇
日本外交と外務省(その1)

 今年になって外務省職員による不祥事が次々に発覚した。
いわゆる機密費流用事件、ハイヤー代金水増し詐欺事件、前米デンバー総領事公金流用事件、パラオ大使館員公金流用事件等である。
 最初に機密費流用事件(松尾事件)が発覚した時、当時の外相河野洋平氏は、これは松尾個人の犯罪であると述べたが、その後次々に不祥事が明るみに出てきた。
外務大臣が自ら所管する外務省について この程度の認識しかなかったことが、外務省の体質の全てを物語っているように思われる。

 今回、偶々このような不祥事が発覚したが、恐らく随分以前から幅広く この種の不正は、お互いの暗黙の了解の下に 半ば慣行的に行われていたと思われても仕方がない。
外務省は 国の外交という重要な任務を所管する役所だが、外からはその内部がよく見えない特殊な役所であるため、このような状況になっていったのかもしれない。
それだけに、外務省職員の仕事の取り組み方が気になる。
「不正は極く一部の人だけで大多数の職員は、一生懸命、真面目にやっている。これを以って外務省全体がおかしいように言われては困る」という声が外務省から聞こえる。その通りだとは思う。
 しかし、一生懸命真面目にやっていると言うのは、外務省という閉ざされた組織内で 長年培われた尺度で言っているのではないだろうか。
本当に国益を常に念頭に置き、緊張感をもって仕事をしてもらっているだろうか。まあまあ主義はないだろうか。
国の外交という重要な役所だけに 優秀な人材も揃っており、それだけに国民の期待も大きく、信頼もしたいのである。

 国の外交で最も重要なのは、外国との交渉 即ち国益と国益のぶっつかり合いの中で、いかに我国の国益に沿って、しかも円満に処理するかということである。
私が心配するのは、先に述べたような頽廃的なムードが 省内に少しでもあるとすれば、これが些かでも外交に影響しているのではないかという心配である。

 実際、これまでの日本政府の外交姿勢には数々の問題があるように思う。
私には日本の外交には戦略や戦術が殆どないように思われるし、国益もこれまで随分損なわれてきたと思っている。
 例を挙げればきりがないが、2〜3の例をあげて考えてみると

  1. 先ずODA (政府開発援助) による途上国支援問題についてである。
     我国は世界最大の支援国であるのに、国際的にはあまり評価されていないと思う。
    本当に必要な国に、本当に必要な事業に支援が行われ、相手国やその国民から感謝されているのだろうか。
    私には事務的に金を出しているように思われて仕方がない。
     中国に対しても莫大な支援を行っている。
    原爆やミサイルを保有している中国に経済支援をするということは、中国の軍事力拡大政策を支援しているようなものだ。
    中国が感謝しているとは到底思えないし、このような軍備拡張策をとっている国への支援は根底から見直すべきである。
     政府は、来年度予算で、ODA予算10%削減方針を決めているが、全てを白紙に戻し、特殊法人の構造改革と同じ手法でゼロから再検討すべきだと思う。

  2. 1991年の湾岸戦争の時、人は出せない我が国は、アメリカの度重なる強い要請に応じて130億ドルという莫大な金を拠出したが、当事国のクウェートからも 多国籍軍を派遣した関係諸国からも あまり評価はされなかった。
    130億ドルといえば国民1人当り12.000円以上もの血税を使った計算だ。 金で済むことならという安易な考え方は 国際的にも通用しないし、やめてもらいたい。

  3. 最近ロシアが、日本に無断で北方四島周辺水域でのサンマ漁の操業許可を韓国、北朝鮮、ウクライナ (台湾に操業権を転売) に与えた。
     日ロ平和条約交渉で最大の問題が北方四島の返還問題であることは、ロシアも十分承知しているのに、今回のロシアの行為は 第三国に対しても 北方四島のロシア領有の既成事実をつくる背信行為であり、我国にとっては主権に関わる重大問題であるはずだ。
     それにもかかわらず、当初 政府がとった措置は、駐日ロシア大使を外務省に呼んで型どおりの抗議をしただけであった。
    また、事実が判明して2ヶ月も経過した8月20日になって、政府は 駐日ロシア大使を通じてプーチン大統領宛てに抗議の総理大臣親書を送ったが、まことに対応が遅く、したがって迫力もない。
    この時こそ、我国の北方四島返還を求める意志が強固であることを示す好機でもあり、迅速に もっと強い姿勢を示すべきであった。
     これは我国外交の脆弱ぶりを如実に示しているが、今回は外務省が内部混乱 (一連の不祥事や人事問題等) による機能不全に陥っていたことも大きく影響しているし、そこを外国から うまくつけ込まれたという側面も見逃せない。
     それにしても歴史教科書や靖国参拝問題であれほど声高に叫んでいる野党各党が、これ程国益に関わる重要問題に一言も触れないのは、どういうことだろうか。
    我国外交の最大の不幸がここにある。

  4. ついでに日ロ平和条約交渉について考えてみた。
     ロシア側に立って考えてみると、今、日ロ関係は良好で、このまま実質的な友好関係を保っていれば特に問題はない、何も北方四島を返還してまで平和条約を締結するメリットはないと考えていることは想像に難くない。
     これに対し、日本は総理大臣が変る度にロシアの大統領と会談し、友好関係や個人的な親睦を深めることに意義を感じているが、肝心の北方四島問題は、相手のノラリクラリ作戦に翻弄されている。
    ロシア側から見れば、平和条約を締結する前から、日本側から平和友好を訴えてくれる、即ち口約束で既に平和条約を結んでいるようなもので、日本は相手の戦術に はまった格好だと言っても過言ではない。
     我国はロシアに対し、不法に占拠している日本固有の領土、北方四島の返還なくして真の友好は有り得ないのだということを、もっとはっきりと強い姿勢で示すべきだ。(2001.09.01)(次回につづく)

 次回は〔第14回〕「日本外交と外務省(その2)」(2001.09.15)