◇第21回◇
2002年今年はどんな年になるだろう
21世紀の幕開け、昨年は 国際的にも国内的にも多事多難な年だった。
それら多くの問題を、そのまま2002年に持ち越した格好だ。
世界経済が昨年のアメリカ同時多発テロで一段と冷えこんだ中で、低迷を続ける我が国経済はどうなるだろう。
大手銀行各社は、予想を上回る多額の不良債権を処理するため、今年3月期決算では大幅な赤字を計上する見通しだ。
この間まで我が国経済の牽引力と目されていた IT関連部門も、世界的 IT不況のため 逆に経済の足を引っ張る形となり、大手電器、家電メーカーも厳しい決算が予想される。
2002年度の経済成長率は、政府は0%と見通しているが、昨年に引続き2年連続のマイナスになる可能性が高いと思われるし、失業率も史上最悪をさらに更新するに違いない。
政府に対する景気対策についての要求は 一段と強まるだろう。
小泉さんは、デフレスパイラルに陥るなど不況が深刻化すれば大胆且つ柔軟に対処すると言っているが、現状では 有効な景気回復策については 打つ手がないというのが本当のところではないだろうか。
私は、日本経済は落ちるところまで落ちなければ、本格的な景気回復は有り得ないとさえ思う。
落ちるところとはどんなところか、それは官民挙げての構造改革が どの程度実現できるかにかかっている。今年は多分株価は低迷し、円安も進むだろう。旧態依然の体制 (構造改革が実現しない場合) では落ち込むばかりで日本の将来はない。
小泉さんが掲げる構造改革や規制緩和は、果たして今年は目に見える形で進展するだろうか。
道路公団民営化をはじめ特殊法人改革問題等については、すでに自民党の中から公然と抵抗を示す動きが出てきた。
医療保険制度改革についても、医師会と結託する自民党族議員の反対でかなり後退したようだ。
昨年12月、総務省が示した郵便事業への民間参入については、規制があまりにも厳しすぎる。
これでは総理の指示で郵便事業への民間参入への道を開いたが、実際には何とかしてこれを阻止し、国の郵便事業を守ろうという意図 (言い換えると既得権益を守ろうとする意図) がありありと窺える。
郵便事業を民間にも開放するならば、できるだけ民間企業が参入し易くなるように規制を緩めるべきなのに、これでは まるで発想が逆だ。
長引く不況の中で、旧態依然たる族議員や官僚機構の抵抗勢力の圧力は一層強まるだろう。
構造改革は不況が回復するまで待つべきだという意見が、与党自民党の中にも出はじめている。
しかし、構造改革を先送りすれば、一時的な痛みは和らぐかもしれないが、景気が回復する訳ではないし、それだけ本格的景気回復も先送りされるだけだ。
またそれは もっと大きな痛みを先送りにし、将来に大きな禍根を残すことになる。
本当は もっと早く構造改革をしていれば、痛みはもっと少なかったはずだ (バブル崩壊後、10年以上に亘って旧態依然たる政策をとりつづけてきた結果が今日の姿である。抵抗勢力と言われる議員諸先生方は反省し 責任を感じるどころか、今だに同じ過ちを繰り返そうとしているとしか思えない)
今年は、小泉さんが 公約を守りきれるかどうかの正念場になりそうだ。
抵抗勢力の前に 小泉さんの聖域なき構造改革も、やや後退しているように見えるのは残念なことだ。
構造改革が後退すれば、小泉さんの人気も落ちるだろうし、また、抵抗勢力のために 公約が挫折するようなことになれば、小泉さんは、解散、総選挙を選ぶかもしれない。
もしそうなれば自民党は敗北し、政権交代もないとは言えないし、政局は不安定になる。
国際問題での関心事は、やはりアフガニスタン問題だろう。
アメリカは タリバン政権壊滅には成功したが、問題はこれからである。
タリバン後の暫定行政機構については、国連主催によるアフガニスタン主要四派協議(於 ドイツ ボンで開催)が合意に達し、昨年12月22日から発足した。
しかし、依然として残る部族間の対立など不安定要因を内在しているだけに、今後、真の和平に向けてどういうプロセスで、どんな本格政権ができるのか、難民や貧困問題に国際社会がどう対応するか等々問題が多い。
また、タリバン政権を実際に崩壊させたのは、アメリカの支援をうけた北部同盟をはじめとする反タリバン勢力であったし、アメリカは 反タリバン勢力支援のため専ら空爆に専念し、自らはあまり手を汚さず、うまく反タリバン勢力を利用した という見方もできる。
結果的にアメリカは、アフガニスタン内紛の当事者 北部同盟等反タリバン勢力に加担して タリバン政権を倒しただけで、相変わらず部族間紛争の火種を残し、難民、貧困問題も解決されないということになれば、アメリカはもとより、アメリカを支持し 武力行使まで含めて支援した国際社会のとった行動は、一体何だったのか ということになる。
オサマ・ビンラディンや国際テロ組織アルカイダ一派が捕まっても、テロ組織は世界各地に潜在しており、テロに対する恐怖はなくならないだろう。
テロ組織を世界から根絶することができないならば、国際社会が協力してテロの動きを封じていくしか手はないだろう。
また、長年の懸案パレスチナ紛争問題も、昨年、またまたパレスチナ過激派テロに対するイスラエルの武力攻撃により険悪化してきた。
イスラエルはテロに対する報復攻撃と言っており、同じ立場にあるアメリカとしては イスラエルに強く自制を求めることは困難と思われる。
イスラエルは パレスチナ自治政府のアラファト議長との関係を断絶したし、パレスチナに於けるアラファト議長の立場も微妙なものになってきた。これまた今年はどう進展していくのか目を離せない。
今年はソルトレークシティでの冬季オリンピックや6月には 日韓両国でサッカーのワールド・カップが開催される。
日本チームの健闘を期待したい。
今年もまた 不景気な年になりそうなだが、サッカーにかぎらず、野球、ゴルフ、相撲等々せめてスポーツ界だけでも明るい話題を提供してもらいたいものだ。(2002.01.01)
次回は〔第22回〕
「医療保険制度改革について (その1)」(2002.01.15)
【出来事】- 12月17日 星野仙一氏阪神タイガース監督就任受諾
- 12月20日(現地時間) アルゼンチン デラルア大統領連邦議会に辞表提出(経済危機→暴動に関連して)
- 12月21日 対中国セーフガード問題 両国閣僚協議で合意成立
- 12月22日 アフガニスタン暫定行政機構発足(ハミド・カルザイ氏議長就任)
- 12月22日 海上保安庁巡視船東シナ海で不審船と銃撃戦 不審船沈没事件発生
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