◇第30回◇
国会議員の不祥事
今年の通常国会では、国会議員の不祥事が問題になり、国民の大きな関心事となった。
まず鈴木宗男氏が、外務省との関連で問題になった。
次いで社民党政審会長辻元清美氏と自民党の加藤紘一氏は公設秘書絡みの不祥事で議員辞職に追い込まれたし、4月19日には参院議長の井上裕氏も政策秘書の入札妨害の不祥事疑惑の責任をとって参院議長を辞任していたが、5月2日議員辞職願を参院議長に提出した。当然の成り行きだと思う。
更には鹿野道彦前民主党副代表も加藤氏とともに衆院予算委員会で参考人質疑が行われたし、田中真紀子氏の名前もあがった。
これらは、全て公設秘書がらみの不祥事である。
秘書の不祥事と言えど議員秘書の立場を利用して行われた以上、議員本人の責任は免れないし (鈴木氏、井上氏の場合)、国から税金で支払われている公設秘書の給与をピンハネして自らの政治資金に流用した行為 (辻元氏、田中氏の場合) や政治資金の公私混同 (加藤氏の場合) は、決して許されるものではない。
いずれもうっかりミスとか監督不行き届きで済まされる問題ではない。
鹿野氏の場合は、すでに逮捕、起訴されている元秘書の肩書利用の悪事と本人との関係がどうかということであろう。
鈴木氏については、当初外務省に多大な影響力を行使してきた点が問題になった。しかし、この点については、本人は今でも何らやましいところはないと思っているに違いない。国のため、地域のためにやったことだと思っているだろう。
外務省に大きな影響力を及ぼしたことは、本人の能力、力量の致すところとも言えるのだが、これが国の方針に反し、些かでも国益に反するところがあったとすれば、責任は重い。公設秘書が逮捕されるに至り、当然議員を辞職すべきだと思う。
しかし、その前に、一国会議員に、外務省に対して これだけ大きな影響力を及ぼさせたということは、その時々の外務大臣や外務省の上層幹部は一体何をしていたのか、その責任は もっと重いことになる。
この種のスキャンダルが起こると、各政党や政治家たちは、ここぞとばかりにその追及に全精力をつぎ込んでいるように見える。
特に今国会の前半は、議員の不祥事追及国会であったと言っても過言ではない。
本来の政策論議などは、あまり国民の目には映らなかった。各政党も議員も、政策論議よりも不祥事追及の方が得意のようである。
この一連の秘書疑惑追及の中で、特異なのが田中真紀子氏に関してである。
彼女に国民的人気があるというので、与野党とも自分たちに火の粉が降りかかるのを恐れ、彼女の疑惑追及には及び腰である。特に野党は疑惑を追及しようともしない。これでは辻元氏あたりの心情は、なぜ私だけが と思うだろう。 田中真紀子氏は、党内での孤立を益々深めていくだろう。 |
勿論、国会議員の不祥事を究明することは大切だが、政治家本来の仕事は、スキャンダル探しやその追及ではないはずである。
不祥事を起こす国会議員が居て、一方ではスキャンダル探しや不祥事の究明、糾弾に明け暮れている国会議員たちという図式を考えると、国会議員の存在意義自体が問われかねない。
政治家であるならば、国の政策についての考え方や議論を国民に分かるようにもっと活発に展開して国民にぶっつけてもらいたい。
国会の現状を見ると、国会議員の質の低さを痛感する国民も少なくないと思う。
今回、政策秘書のあり方が問題になったが、元々この制度は、議員立法で議員たちがお手盛りで作った制度だ。我が国では高給の政策秘書の制度は必要ないと思う。
その理由は
- 政策秘書を置かなければ、自らの政策を持ち得ないような人は、国会議員になってもらいたくない。政策秘書頼りでなく、自らもっと勉強してもらいたい。
- 我が国の政党政治では、党の締め付けが強く、常に党議拘束がかけられ、議員個人が独自の政策を持っても意味がない。
- 税金の無駄使いである。
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国会議員については 定数を削減し、少数精鋭主義でやってもらいたいものだ。
尚、辻元氏、加藤氏、井上氏は、責任をとって議員辞職したが、それでも真相究明不十分だとして、辻元氏には 議員辞職後 4月下旬に参考人質疑が行われたが、あまり意味はなかったようだ。井上氏についても野党側は、証人喚問することを、参院議長に申し入れている。
国会は裁判所ではないのだから、議員を辞めた人に対してまで、 いつまでもこれを追及するのはどうかと思う。
そんな余力があるならば、本来の政治にもっと精力を使ってもらいたい。
あとは司直に任せる、告発の道もある。
最後は有権者が断を下す。(2002.05.15)
次回は〔第31回〕
「中国 瀋陽日本総領事館事件を考える」(2002.06.01)
【出来事】
- 5月2日 前参院議長井上裕氏 秘書の不祥事疑惑の責任をとって議員辞職(辞職願提出)
- 5月5日 フランス大統領選挙決選投票で保守政党「共和国連合」の現職 ジャック・シラク候補が極右政党「国民戦線」党首 ジャンマリ・ルペン候補を破り当選
- 5月7日 中国北方航空MD82型旅客機が大連沖海上に墜落 乗員乗客112人死亡(内日本人3人)
- 5月8日 中国瀋陽市の日本総領事館に亡命目的の北朝鮮住民5人が駆け込んだが 中国武装警察官が治外法権の同領事館に侵入し 5人を連行 外務省は中国側に抗議
- 5月12日 大相撲夏場所初日(両国国技館)
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