◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2002/07/15】



◇第34回◇
小泉内閣の行方

 昨年4月26日、小泉内閣は、80%を超える圧倒的な支持率のもとに発足した。
これは、小泉さんが「聖域なき構造改革」や「規制緩和」等々の公約を掲げ、この公約は、自民党をぶっ潰してでも実現させるという歴代の首相にはなかった強い決意を示したことに国民が期待したからだ。

 しかし、今年になってこの支持率は急激に低下し、今や不支持の方が支持を上回るようになった。
これには、田中真紀子問題や外務省をめぐる様々な問題、鈴木宗男氏をはじめ国会議員の不祥事等々も影響しているとは思うが、支持率低下の真の理由は、小泉さんがあれだけ強い決意を示した公約が具体的なものとして一向に実現しないことに、国民が失望しているからだろう。
 当初、小泉さんは、抵抗勢力も協力勢力になると言っていたが、完全な読み違いだった。
いざ具体的な段階になると、小泉公約の目玉商品は、ことごとく党内各派閥や抵抗勢力の猛烈な抵抗にあい、骨抜きにされたり、潰されたりしている。
いくつかの小泉公約の目玉商品についてみてみると
  • 道路公団の民営化問題
     道路族議員の抵抗で、いつ頃どうなるのか未だ見通しも立っていない。やっと道路公団民営化推進委員会が設置された。
    委員の人選をめぐっては、族議員側は、民営化に積極的な猪瀬直樹氏を委員に任命しないよう政府側に働きかけたりしていたが、小泉総理は6月21日猪瀬氏を含む7人の委員を決めた。
    道路公団民営化に対する強い決意を示したものとして評価したい。
     族議員達は、今だに以前計画した9,342キロ (内未整備区間約2.400キロ) の高速道路を早期に完成し、全体計画の11,520キロの建設を推進せよと主張し、党内の道路調査会に小委員会を作り、政府の推進委員会に対抗する等 小泉さんとの対決色をむきだしにしている。
    一度作った計画は、どんなに事情が変ろうとも、採算性を度外視しても 既得権として守り抜くというのが道路族議員の考え方だ。
    それは、いずれ大きなツケとなって国民に返ってくることは間違いない。
  • 医療保険制度改革問題
     医療制度改革関連法案は、先月 (6月21日) 衆議院で可決され、参議院に送付されており、今国会で成立するだろう。
     しかし、法案自体が医師会や厚生族議員らの抵抗により骨抜き妥協案となっており、抜本改革には程遠く、問題を先送りしたに過ぎない。
    このままだと、医療財政は今後も悪化し、国民にとってもっと厳しい負担を伴う改革が再び必要になる。
    また、厚労省の姿勢も 既得権擁護に懸命であることは本ホームページ〔第32回〕で述べた通りである。
  • 郵政事業民営化問題
     これは、小泉さんの首相就任以前からの持論であり、既定方針通り平成15年度に公社化するが、出来るものから民営化していくというのが、小泉さんの公約であったはずだ。
     郵政公社関連法案について、小泉さんが衆議院本会議で「郵政民営化の一里塚」と述べた事が自民党内で問題となり、元幹事長郵政族のドン野中広務氏は、これは独裁だと決めつけている。
    また、小泉首相が片山総務大臣に郵政関連4法案の政府案を修正なく成立させるよう指示した (6月25日 サミット出発前) として、郵政族の荒井広幸議員は、これは我々に対する宣戦布告だと述べている。
    小泉さんの「郵政民営化の一里塚」発言も「政府提出法案は修正なく成立を」という発言も、極めて当然のことだと思うのだが、この一件を見ても、族議員の抵抗がいかに強いかがよく分かる。
    自分たちが選出した小泉首相の公約は 最初から分かっていたはず、今になってこんなことを言うのなら、族議員たちは、総裁選や首班指名の時小泉さんに投票しなければよかったのだ。
     郵政公社関連法案は、7月9日衆議院で可決され、参議院に送付されたが、郵政事業の民営化という点から見るとむしろ後退したものになってしまった。
     郵便事業の民間開放問題についてみると、政府案自体が族議員に配慮したものとなっており、民間業者が参入できる規制緩和にはなっていないことはすでに述べた。本ホームページ〔第32回〕参照。
    族議員との妥協により、政府ガイドラインでダイレクトメールを信書に含める、民間参入業者には 全国に10万箇所以上のポストの設置を義務づけるなど、およそ規制緩和とは程遠く、これでは規制強化だと言う人も居る。
  • 一内閣一閣僚の公約
     小泉さんは総理大臣就任時、小泉内閣は原則として途中で内閣改造は行わず、同一閣僚でいくことを表明していた。
     1年やそこらで定期的に閣僚を変えるのでは、大臣は一時的な腰掛けて的存在となり、責任ある仕事はできない。官僚天下を助長するだけだ。
     もう ぼつぼつ大臣の椅子が廻ってくる頃だと期待する議員の不満を、内閣改造により解消し、党内をまとめる手法は採るべきでない。
    これまで、慣行的に行われてきた半ば定期的な内閣改造は、大臣ポストのたらい回しだし、こんな悪慣行は この際改めるべきだ。
     しかし、1年も経たないうちに 党内から 内閣改造を行うべきだという声が次第に大きくなってきた。
    小泉さんも内閣改造をせざるを得ない状勢のようで、9月改造説などが囁かれている。
     党内派閥と妥協して内閣改造を行うならば、当然派閥均衡内閣となり、そうなれば支持率は更に低下する。
  • 財政再建問題
     財政再建対策の一環として国債発行を30兆円以内に抑えるという方針についても、これまで党内ではかなりの抵抗があったし、この傾向はこれからも続くだろう。
     平成14年度予算では辛うじて国債発行30兆円以内をクリアーしたようだが、本予算成立と同時に補正予算の話が出てくるのは理解に苦しむ。
     また、すでに平成15年度予算概算要求をめぐり、緊縮財政を指向する政府と景気対策のための財政支出を求める自民党は 綱引きを始めている。
    財政の大幅支出は、国の財政を更に悪化させるだけで、景気対策には役にたたないことが、まだ分かっていないようだ。
     ムーディースが、我が国の国債を発展途上国並に大幅格下げを行ったというのに、国の将来を真剣に考えようとしない場当たり主義的政治家に 国の将来を託せるだろうか。(今年度末国債発行残高見込み 414兆円をどのように償還していくのかという真剣な議論を政治家から聞いたことがない)

 小泉さんは 総裁選立候補の時から 構造改革や規制緩和等の公約について 強い決意を示し、国民の圧倒的支持の中で総理に選ばれた。
その時、自民党議員たちは、全面的に これに賛成し、協力すると言っていたが、今から思うと これが全くの嘘だったことになる。
当時の派閥議員や族議員たちの思いを、今になって推察すると
「今は、小泉さんの支持率が高いので、協力の姿勢を示しておくが方が得策だ。抵抗勢力のレッテルは貼られたくない。しかし、小泉の思う通りにはさせない。具体的な段階で小泉政策を潰していけばよい」
と思っていたに違いない。

 このような派閥議員たちの思惑は 半ば成功しているとの見方もできる。
小泉さんの公約は、具体的な問題になると ことごとく族議員たちの強い抵抗に遭い、なかなか実現しない。
国民から見ると期待が大きかっただけに失望も大きく、支持率は大幅に低下してきた。
 小泉内閣の支持率低下は、ある意味では派閥議員や族議員たちの思う壺だったということも言える。小泉内閣の支持率低下に比例して、族議員や抵抗勢力の抵抗や反撥は大きくなってきた。
ここまで支持率が下がってくれば、もう小泉恐れるに足らず、ぼつぼつ退いてもらおう、後の政権のことを考えねば という雰囲気が自民党の中に見え隠れする。
自民党内には、相変わらず政権たらい回しという旧態以前たる考えが 根強く残っていることを窺わせる。

 こうなってくると 小泉さんにとって党内派閥勢力は まさに第三の野党で、小泉総理は、今極めて厳しい局面にあると言ってよい。
内閣を維持するために、党内派閥勢力と妥協するようなことになれば、支持率は更に低下し、森前内閣と同じ運命を辿るだろう。
 ここで衆議院を解散すれば、自民党は大敗し、その責任は総裁である小泉さんが かぶることになる
ここは小泉さんにとっての正念場。それこそ自民党をぶっ潰してでもという強いリーダーシップを発揮し、初心貫徹に邁進する以外に道はない。
 それでも駄目なら、思い切って国会を解散するか。解散は自民党の大敗、解体を意味する。
自らの信念を貫く為に、小泉改革新党でも旗揚げすれば、政局は大きく転換し、小泉人気は爆発的に高まることもあり得ると思うのだが…。(200.07.15)

 次回は〔第35回〕「外形標準課税」(2002.08.01)

 【出来事】
  • 7月1日(現地時間) ドイツ南部で ロシアのツボレフ154型機(乗員12人乗客57人)とベルギーのボーイング757型貨物機(乗員2人)が空中衝突 全員死亡
  • 7月5日 長野県議会 田中康夫知事の不信任案を議決
  • 7月6日 天皇 皇后両陛下東欧4カ国訪問へご出発(公式訪問国はポーランド、ハンガリー 尚チェコ、オーストリアにも立ち寄られる 7月20日まで)
  • 7月7日 大相撲名古屋場所初日
  • 7月9日 郵政公社関連4法案衆院で可決 参院へ
  • 7月10日〜11日 台風6号 中部 東北地方に洪水被害もたらす(11日未明房総半島横断)