◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2002/10/01】



◇第39回◇
首相公選制 (その2)

 小泉首相の私的諮問機関「首相公選制を考える懇談会」が、今年8月7日に提示した最終報告書には、次の三つの案が示されている。
  1. 【国民が首相指名選挙を直接行う案】 大統領制型と呼ばれるもので、国民が直接選挙で首相を選ぶ。
    首相、副首相ペアで立候補。立候補には一定数の国会議員の推薦を要す。任期4年、2期まで… etc
  2. 【議院内閣制を前提とした首相統治体制案】
    憲法に政党条項を導入し、政党の首相候補選出に国民参加の余地を広げるよう義務付ける。政党は衆院選で首相候補を明示する。衆院選が事実上の首相選挙となるようにする。…etc
  3. 【現憲法枠内における改革案】
    党首選出規定の整備義務づけと透明性、公開性の確保…etc
 上記三案のうちV案は、現行議員内閣制の弊害となっている慣行など運用上の問題を是正したり、制度上の不備を補って、総理大臣の指導力が発揮できるようにしようというもので、首相公選制ではない。
 T案U案とも憲法改定を必要とする。
 首相公選制と言えば、人々はT案の国民が直接選挙で首相を選ぶことを思い描くだろう。
 U案では、首相候補者は 各政党に委ねられ、国民は その範囲内でしか選択の余地がない。その点では、完全な首相公選制とは言えない。
しかし、首相がリーダーシップを発揮するためには、これを支える安定多数の与党体制が不可欠である。
仮に国民から直接選ばれた首相と言えども、少数与党で常に国会と対立していたのでは、内閣の方針や政策は国会の承認を得ることができず、リーダーシップどころか自らの政策も実現することはできない。
そうなれば、その首相の在任期間中 国政は滞ってしまい、国家、国民にとって大きな損失になる。U案はこの点に着目したものだ。
 問題は首相公選制で、国のため、国民のために力強い指導力を発揮してくれる人格 識見ともに優れた国のリーダーを選ぶことができるかにある。

 公選制は、都道府県知事や市町村長の首長選挙で行われており、大部分はうまく機能しているが、おかしな現象、弊害も起こっている。
 例えば、大阪府知事をしていたタレント横山ノック氏は、議会答弁の時「みずら」と言うので、おかしいなと思っていたら「みずから」という意味だったらしい。事務局が答弁書の漢字に ふり仮名をつける時、「みずから」とすべきところを「みずら」と書いたため、本人はそのまま「みずら」と読んでしまったという笑い話だ。 (人の話なので真偽の程は分からないが…)
最後は女性に対するハレンチな猥褻行為がバレて 辞めてしまった。
立候補する方も する方だが、これを当選させる大阪府民は まさにマンガ的だが、笑い話では済まされない。大阪府民のレベルもこの程度かと思うと実に情けない。
 田中真紀子氏の人気も高かったが、彼女には人格的に致命的な欠陥があると思う。あの性格では組織をまとめたり、トップに立てる器ではない。まともな会社の社長も務まらないだろう。
それでいて世論調査では 首相にしたい人の上位にランクされるというのだから、私には不可思議としか言いようがない。

 公選制に関連して致命的な欠陥を露呈したのが長野県政だ。
田中康夫氏は 圧倒的人気で長野県知事に当選した。脱ダム政策まではよいのだが、議会全体を敵にまわし、市長村長とも うまくいかず、ついには県議会の不信任決議により辞任した。
しかし、彼は再び大差で当選したが、元の状態に戻っただけで何も変らなかった。
知事も県会議員も、同じ県民により選ばれた人達だという事実を どう解釈すればいいのか、全く理解に苦しむ。
仮に県議会が解散しても、また同じ県会議員達が再選されるだろう。
 知事も知事なら県議会も県議会だ等と冷めた見方をする人が多いが、本当のところは県民の意識の低さだと思う。
こんな土壌のところでは、本当に優秀な人は 知事に立候補しないだろうし、立派な指導者を得ることはできない。
 いずれにしても、パフォーマンスだけでは、仕事はできない。
残念ながら、長野県は相変わらず知事と議会の不毛な対立の中で、県政の停滞が続くだろう。不幸なのは県民だ。

 日本人は政治家も含めて、民主主義政治については まだまだ未熟のように思う。
今の人々は、平和で あまりにも満たされた環境に居るので 政治について あまり関心がなく、真剣に考えようとしないのかもしれない。
 今、安易に首相公選制を採り入れたら、人気投票になってしまう危険性は否定できない。
それを防ぐために、立候補するには 国会議員の一定数の推薦を必要条件にしても うまく機能しないだろう。
 なぜならば、各政党とも自らの党の勢力拡大に躍起になっており、国益よりも党利党略を優先しているのではないかと思わせる場面が あまりにも多いからだ。
党勢拡大、政権奪取のためなら、単なるパフォーマンスでワイドショウ的人気のある者を首相候補者に推薦する可能性は多分にある。
このことは、過去の国政選挙でも、政治家としての資質や能力もないのに、ただ単にワイドショウ的人気があるというだけで、自分の党に引き入れ、公認して当選させた例が数多くあることからも実証されている。
 各政党や政治家は、大衆迎合的なパフォーマンス、相手党のスキャンダル探しや中傷誹謗など姑息な手段ではなく、堂々と政策を国民に開示して争ってもらいたいものだ。
その政策が国民の共感を呼べば、必然的に党勢拡大、政権党への道が開けてくるというものだ。
場当たり主義やパフォーマンスには国民はだまされない。
 我が国の現状では首相公選制の導入は時期尚早であり、現行議員内閣制に弊害や欠点があるとするならば、それを大局的見地から検証し 是正に努めるべきである。
そのためには、先ず政党、政治家の意識改革が求められる。

 首相公選制の導入が実現しなくとも、今回小泉さんが首相公選制を提唱した意義は大きいと思う。
日本の政治のあり方をめぐる議論に一石を投じたのだから…。(2002.10.01)

 次回は〔第40回〕「小泉訪朝と北朝鮮」(2002.10.15)

 【出来事】
  • 9月17日 小泉首相 北朝鮮との国交正常化交渉打開のため金正日総書記と首脳会談(於ピョンヤン) 拉致被害者13人中8人の死亡が提示される 10月中に国交正常化交渉再開決まる
  • 9月19日 外務省が北朝鮮側より提示された拉致被害者の死亡年月日等の資料内容を一時隠蔽していたことが判明
  • 9月21日 プロ野球 パ リーグ 西武ライオンズ優勝決まる
  • 9月22日 大相撲秋場所千秋楽 横綱武蔵丸優勝(13勝2敗)
  • 9月23日 民主党代表選で鳩山由紀夫氏再選(菅直人氏との決戦投票)
  • 9月24日 プロ野球 セ リーグ 読売ジャイアンツ優勝決まる
  • 9月27日 小泉首相 北朝鮮拉致被害者家族と面会 政府調査団 北朝鮮へ向け出発 
  • 9月29日 釜山アジア競技大会開幕
  • 9月30日 内閣改造 小泉改造内閣発足