◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2002/10/15】



◇第40回◇
小泉訪朝と北朝鮮

 「平和に暮らしていた少女が、ある日突然下校時に 北朝鮮工作員に拉致された。
少女は何とかして逃れようと泣き叫び 必死に抵抗したに違いない。
北朝鮮工作員たちは、これを暴力で押さえつけ、自由を奪い 小さな工作船で日本海を越えて北朝鮮に連れ去った。
言葉も通じない遠い異国の地で、どんなにひどい仕打ちを受け、悲惨な日々を送っただろう。
孤独の極限にある彼女の望郷の想いは、如何ばかりだったろう。
このため、何の罪もない一人の少女は若くして命を失った」
 この少女が自分の娘だったら、姉や妹だったらと思うと 胸も張り裂ける思いになる。
横田めぐみさんのご両親の心情を思うと 言うべき言葉も見当たらない。

 去る9月17日、小泉首相は日朝国交正常化交渉のため訪朝し、金正日総書記との首脳会談に臨んだ。
この会談の中で 北朝鮮側は、拉致した13人について 横田めぐみさん等8人の死亡を明らかにし、事件は悲惨な結果になった。
北朝鮮側は これまで一貫して拉致事件は存在しないと主張していたのを一変し、金正日が自ら、国家による犯罪であったことを遂に白状した。
拉致事件については、日本との敵対関係の背景の中で 特殊機関の盲動主義者が 英雄主義に走って事件をひき起こしたもの、不審船事件は 特殊部隊がやったものであり、両事件とも自分は知らなかったと説明し、自己弁解をしている。
 これまでの日朝正常化交渉であれだけ問題になり、騒がれた両事件を 独裁国の親玉 金正日が知らなかったはずはない。
「日本との敵対関係の背景の中で」と言うが、我が国は 国交も つき合いもない北朝鮮を 敵とも 味方とも思ったことはない。北朝鮮が一方的に日本敵視政策をとってきたために起こった事件ではないか。
 これは金正日を首領とする‘ならずもの国家’北朝鮮の非人道的凶悪犯罪であり、我が国に対する重大な主権侵害である。

  去る10月1日に帰国した政府調査団の話によると、死亡原因は病死、交通事故、ガス中毒、自殺、心臓麻痺等と言っている。
亡くなったとされる8人中 6人の墓が全て洪水で流失し,横田さんの遺骨は 夫の朝鮮人が持ち去ったとされ、唯一持ち帰られた松本さんの遺骨は 二度も火葬されたと言う。(証拠隠滅のためか)
生存している5人は いずれも現地で結婚しているが、夫婦とも健在である。
それと対照的に 死亡したとされる8人中、日本人同士で結婚した3組は 夫婦とも死亡している。
朝鮮人と結婚したとされる横田さん以外の6組の夫婦は、夫婦とも健在か、夫婦とも死亡かで、夫婦の片一方が生き残ったケースがないというのは、どう考えても不自然だし、大きな疑惑が残る。
 また、北朝鮮が死亡したとする時期以降に 本人を目撃したという情報がある。これは、亡命した元北朝鮮工作員の証言でかなり信ぴょう性があるように思う。
拉致された日本人が、北朝鮮の工作機関の内容を知ってしまった等の理由により、二度と日本に帰すわけにはいかないため、死亡したことにしているのではないかと言うのである。
 大韓航空機爆破事件に関与した元死刑囚金賢姫の日本語教育係の李恩恵が、田口さんと同一人物であることは、金賢姫の証言があるにもかかわらず、北朝鮮は事実無根と否定している。
李恩恵が田口さんとは別人ならば、拉致された李恩恵なる日本人女性が 別にもう一人居ることになる。

 拉致され死亡したとされる方々は、こんなに若い年齢で亡くなるはずがない。
北朝鮮側の説明は、到底信用できるものではなく、つじつま合わせの作文としか思えない。
 北朝鮮当局の指示に従わなかった者、利用価値のない者、利用価値が終わった者を、秘密警察国家 北朝鮮としては生かしておく必要がなく、後々の証拠隠滅のためにも 次々に殺害したということは十分推定できる。
 拉致被害者 有本恵子さんと石岡 亨さんは いずれも1988年11月4日同じ日にガス中毒で死亡したとされる。
その約2ヶ月前の9月6日に、石岡亨さんから実家宛に、北朝鮮の平壌で有本恵子さんと一緒に暮らしている旨の手紙が届いている。
政府調査団の話によると、北朝鮮側は、石岡さんがポーランド人を介して実家に手紙を送った事実を 掌握していたと言う。
2人はこの手紙の件が北朝鮮当局にバレて拷問処刑されたと推定すべきだろう。

 生存者に関しては、北朝鮮側に従順に従い、洗脳も受け入れ、利用価値があるものが生かされているものと思う。
政府調査団によると、生存者は帰国に慎重だったという。
その後(10月9日) 北朝鮮は、生存者5人については 10月15日に本人のみの一時帰国を認めた。
5人は現地で結婚し、夫々子供が居るのに 一時帰国は本人だけだというのは、子供を人質に取っておこうというわけだろう。
一時帰国する5人は 北朝鮮に洗脳されているだろうし、北朝鮮に居る子供のことを考えると 本当の気持は喋れないだろう。
待ちわびる家族にとっては つらい再会になることが予想される。
しかし、あくまでも原状回復が原則だ。一時帰国ではなく 子供たちも一緒に永久帰国させるべきだ。

 拉致事件について金正日は「遺憾であったことをおわびしたい。二度と許すことはない」と述べているが、これでは まるで子供がいたずらをして叱られて「悪うございました。これから二度と致しません」と言っているようなもので、こんなことで済む話ではない。
 日朝正常化交渉に際しては、先ず拉致事件の徹底した真相解明、責任の所在、国家としての公式謝罪と賠償などを徹底的に追及すべきだし、拉致事件の実行犯の引渡しも求めねばならない。
北朝鮮側は すでに2人を処罰したと言っているが、たった2人だけがこの事件に関与したとは到底思われないし、拉致した工作員が英雄扱いにされているという情報もある。
本格交渉は、真相が全て明らかになり、北朝鮮側の誠意が実証されてからでよい。

 事件の真相解明は、相手方の言うことが信用できないとなれば、大変な困難を伴うだろうし、その外の問題も簡単に相手が受け入れるとは思われない。
これからの日朝交渉は前途多難だ。
拉致事件の真相究明ができず正常化交渉が頓挫してしまうか、拉致事件の真相究明ができないまま正常化交渉が進められるか、事態は予断を許さないと思う。
真相究明なくして正常化はあり得ないということを 最後まで貫くべきだ。

 国交正常化の是非は、北朝鮮が本当につき合いができる国かどうかである。
拉致事件や不審船、工作員の不法侵入を繰り返し、しかも これらの事実を日本側のデッチ上げだと言い続けてきた北朝鮮が、まともにつき合える国であるはずがない。
金正日が 口頭で拉致事件を認め、謝罪したから北朝鮮がまともな国に変わったと認めるわけにはいかない。
 9月26日北朝鮮の国営朝鮮中央通信は「我が国の一部個別の人々が勝手に日本人数人を誘引又は拉致したことがあり、長い期間にその一部が死亡したと 度を越した騒動をしている」と日本を非難する外国向けの論評を発表している。
この論評は、拉致事件は北朝鮮国家が関与した事件であることを否定しており、金正日が謝罪したことにも触れていない。
これは、北朝鮮が旧態依然として全く変わっていないことを物語っている。
 この際、日本は このような卑劣極まりない主権侵害を絶対許さない国であることを、内外にはっきり示すべきだ。
 我が国にとって北朝鮮との国交正常化のメリットはあまりない。
決して急ぐ必要はないし、北朝鮮の実態を十分見極めて、毅然たる態度で交渉に臨んでもらうことを願うばかりである。

 9月17日の小泉訪朝の結果については、賛否両論 意見が分かれるところだろう。
特に拉致問題については、もっと厳しく追及してもらいたかったというのが、多くの国民の心情だと思う。
 日朝首脳会談で、両首脳が取り交わした平壌宣言文に、日本側の植民地時代の反省とおわびのことが入っているのに、拉致問題については謝罪どころか 拉致のの字も出てこない、ただ「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」という言葉でぼかされている。
 両首脳が署名した宣言文は、会談の内容を正確に記載し、後日のための証拠としてお互いに確認し、交換し合うものだ。
金正日が拉致事件を国家犯罪と認め、謝罪したという日本にとって最も重要なことを なぜ記載しなかったのか。
これは 今後の日朝交渉に後々までも影響するだろう。
◆[参照]⇒「日朝平壌宣言」(クリック)
現に会談終了後の北朝鮮マスコミは「小泉首相が植民地時代の謝罪と補償を述べたことは、遅きに失したけれど成果があった」と連日大々的に 宣言文を紹介していた。しかし、拉致問題等については全く報道されない。
これでは北朝鮮の人々に、正しいのは北朝鮮で 悪いのは全て日本だという誤った意識を植えつけてしまう。
北朝鮮の人々にも真実を知ってもらわなければ、真の正常化はあり得ない。
 我が国訪朝団は、宣言文に拉致問題の挿入を 主張もしなかったと言うのだから、その杜撰さや弱腰外交は あきれるばかりである。小泉さんが如何に弁解しようとも 納得するわけにはいかない。
 先方から渡されたリストに 拉致被害者の死亡年月日が記載されていたのを、外務省は 一時これを遺族に対しても隠蔽していたことが判明し、国民の不信を買い非難された。
この時も 朝鮮語を翻訳するのに数時間もかかったという話があったが、これは常識では考えられない。
今は同時通訳の時代だ。朝鮮語に堪能な人を連れて行かなかったのだろうか。まさか!。

 以前 ある外務官僚が「拉致問題のような些細な問題のために 大切な日朝正常化交渉をフイにするのか」と発言したという。
拉致問題は、我が国に対する重大な主権侵害だということさえ分からないのだろうか。
こんな感覚の官僚は即刻首にしてもらいたい。
一部政治家の中にも同様な姿勢を示す者もいた。(社民党、共産党は勿論 自民党の有力議員の中にも居た)
 外務官僚は、省内でも‘拉致’という言葉を避け、北朝鮮に倣って‘行方不明者’という言葉を使っていて、金正日が拉致を認めてから‘拉致’という言葉を使い始めたという。言語道断だ。
こんな無能な外務省に 我が国外交を任せられるのだろうかとさえ思う。
これからの対北朝鮮交渉は情報開示を徹底し、国民監視の中で進めてもらいたいものだ。

 我が国の弱腰外交は外務省だけではない。むしろ国の体質、即ち政治家の平和ボケ、弱腰が外務省に影響を与えている。
 これまでの北朝鮮政策を振り返ってみても
 対日敵視政策をとり、拉致事件や不審船事件を起こす犯罪国家に対し、人道問題と称して食糧援助をしてきたが、はたして一般庶民にまわっているのかも確認できない。軍隊にまわっている可能性が高いと言われている。
 我が国は、北朝鮮系の金融機関 (朝銀) に公的資金をつぎ込み支援しているが、その金融機関からは 朝鮮総連を通じて莫大な資金が北朝鮮本国に送金され、その資金は日本を射程距離においたミサイル配置などの軍事費に使われているに違いない。
 昨年5月の金正日の長男 金正男の偽造パスポート密入国事件の時、当時 田中真紀子外相と親しかった平沢勝栄衆院議員が「絶対に帰すな」と電話したところ、田中外相は、「日本にミサイルでも飛んできたら怖いから直ぐ帰すわよ」と答えたという。
しかもこの犯罪者の身元確認もせずに、政府高官を6人もつけて ファーストクラスの飛行機で丁重に北京に送ったというのだから…。
小泉首相は、これが最良の方法だったと述べている。これが日本の外交の実態だ。

 日朝正常化のためと称して1990年に金丸信元自民党副総裁 (訪朝団長)、田辺誠元社会党副委員長等が北朝鮮を訪問した。
また、1999年には 村山富市元首相を団長とする訪朝団 (野中広務元自民党幹事長ら超党派国会議員団) が北朝鮮を訪問している。
 いずれも日朝友好 正常化に大いに貢献したことになっている。
しかし、実態は、こちらの言うべきことも言わず、マスゲームを見せられ 北朝鮮首脳部からの拉致問題は存在しないという一方的な話を有難く聞きに行ったようなものだ。
これでは日本が馬鹿にされるのは当たり前だ。
村山富市氏、田辺誠氏、野中広務氏等は、小泉訪朝に関する報道、特に拉致問題などのニュースをどんな気持で聞いただろうか。全く反省の弁はない。無責任極まりない。

 先に述べた石岡さんの手紙がなぜ北朝鮮にバレたのだろうか。
家族は、この手紙の件を警察庁や外務省に相談したが、埒があかず 社会党 (現社民党) に相談を持ちかけたところ、社会党では朝鮮総連に依頼し 手紙の件を北朝鮮本国に照会してもらったらしい。
家族たちは、子供たちの身の安全を考え警察庁、外務省、社会党以外には口外していなかったし、朝鮮総連に持ちかければ、北朝鮮にバレるのは当たり前である。
もし手紙の件で石岡さんと有本さんが処刑殺害されたという前提に立てば、当時社会党は、結果的には2人の処刑のボタンを押してしまったことになる。
手紙は、救いを求めるサインでもあっただろうに、それがこんな結果で返ってくるとは、本人達はさぞ悔しかっただろう。
 朝鮮労働党と友党関係にある社民党は、“拉致問題は存在しない。デッチ上げだ”という北朝鮮の言い分を信用してきた。
今になって、社民党は裏切られたとして 朝鮮労働党に抗議したり (10月11日)、友党関係を解消するかもしれないと言っているが、悪魔の国 北朝鮮の実態をあまりにも知らなさ過ぎた社民党の軽率な行為は 糾弾されるべきだろう。
また、北朝鮮 唯一の独裁政党 朝鮮労働党と友党関係を結ぶ社民党は、実は恐ろしい側面を持った政党だと言うべきだ。
 先日、田嶋陽子参院議員が社民党に離党届を提出した時 (10月7日)、土井党首は、初めて記者会見で拉致問題への対応が十分ではなかったと釈明した程度で、とんでもない誤りを犯したという気持は更々ないようだ。

 国の大小を問わず、国家たるものの 全てに優先する最大の責任は 自国民の生命、財産を守ることにある。
少なくとも北朝鮮との関係では、日本は国家としての責任が果たされなかったわけで、国の責任は極めて重大と言わねばならない。
横田めぐみさんら 拉致された方々は、どんなにか日本という母国の救いを待ったことだろう。それを国は 助けることができず、見殺しにしてしまったのである。
 とにかく、我が国外交については、今までの経緯を十分検証し、弱腰外交、場当たり外交、事なかれ外交、外務省益優先外交など 全面的に見直す必要があるし、外交能力の欠如も今回の問題を通して明らかになった。

 一昨年6月 太陽政策を掲げる金大中韓国大統領は、ピョンヤンを訪れ 金正日と南北首脳会談を行ない、当時は国の内外から高い評価と南北融和への大きな期待を抱かせた。
それから2年後の今年6月には、北朝鮮との黄海銃撃戦が発生する等、検証してみると 見るべき成果は ほとんどなかった。
 小泉さんの今回の訪朝も、今 国内外で高い評価と支持を得ているが、金大中大統領の二の舞を踏む可能性は、多分にあると思わねばならない。(2002.10.15)

 次回は〔第41回〕「拉致被害者の帰国問題」(2002.11.01)

 【出来事】
  • 10月1日 台風21号関東地方に上陸 北日本を縦断
  • 10月8日 東大名誉教授小柴昌俊博士 ノーベル物理学賞受賞決定
  • 10月9日 田中耕一氏(島津製作所) ノーベル化学賞受賞決定
  • 10月13日(現地時間12日23時30分) インドネシア バリ島で爆弾テロ事件発生 死亡180人以上 重軽傷300人以上(10月14日現在)
  • 10月14日 釜山アジア競技大会閉幕