◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2002/12/15】



◇第44回◇
2002年を顧みて

 2002年もあと半月を残すのみとなり、このホームページも今年は これが最後である。
 今年の明るい話題を探そうとしたが、なかなか見つからない。
 6月に行われた日韓共同開催のサッカー ワールドカップは、日本選手が善戦したこともあって、大きな盛り上がりを見せた。
また、10月に発表されたノーベル賞に、東大名誉教授小柴昌俊博士 (物理学賞) と島津製作所の社員田中耕一氏 (化学賞) が選ばれたことぐらいである。
1年に2人が受賞するのは初めての快挙であり、また民間会社の一社員田中氏のノーベル賞受賞は、サラリーマン研究者にも希望を与えたし、同氏の素朴さには 多くの人が好感を寄せたに違いない。

 経済は、相変わらず低迷を続けた。
円は 対ドル150円位にまで下げ進むかと思われたが、アメリカの不況のため概ね120円台前半で推移し、日経平均株価は8,000円台にまで落ち込み バブル崩壊後の安値を 何度も更新する場面もあるなど 低迷の一途を辿った。
 構造改革、規制緩和、不良債権処理も、ほとんど進まなかったと言ってよい。
道路公団や郵政事業の民営化問題も色々議論はされたが、族議員をはじめとする抵抗勢力の反発が強く、先の見通しも まだはっきりしない。

 道路関係四公団民営化推進委員会では、12月6日の最終報告を巡って 推進派(今井委員長ら2人)と慎重派(松田委員ら5人)の意見が激しく対立し、委員長が辞任し5人の連名で報告書が提出されるという異例の展開となった。
委員会のこのような混乱が、道路族議員たちを勢いづかせることになるのは 否定できないだろう。
 審議会、協議会、委員会等と名がつく諮問機関は沢山あるが、その大半は 政府側の筋書き通りに答申し、お墨付きを与える仕組みになっており、何のための答申かと かねてから疑問を抱いていた。
その点、今回の民営化推進委員会では、国土交通省や政治家の意向とは無関係に白熱した議論が展開され、今後の諮問や答申のあり方に一石を投じたとすれば評価してよいのではないだろうか。

 景気回復のため 補正予算を組み 大幅な国の財政出動を求める声が、与党内で高まっていたが、先月 2002年度の補正予算については、追加歳出規模を約4兆2,000億円とすることで政府、与党間の合意で決着した。(公共投資1兆5,000億円、雇用対策などセーフティネットに1兆5,000億円など)
 結局、国債の追加発行額は、税収不足の穴埋めも含めて5兆円程度となり、小泉さんの国債発行30兆円以内の公約は崩れてしまった。
それでも自民党の大物議員たちは、不況打開のため 公共事業等にもっと大幅な財政支出をすべきだと不満を表明している。
 今年度の補正予算で 追加公共投資は、与党側の主張で5,000億円追加され、1兆5,000億円になった。しかし、公共事業では一時的には多少経済を刺激することはできても、根本的な解決にならないし、逆に国の財政を更に悪化させるという弊害の方が大きいと思う。( 経済刺激策としての公共投資は、一時的に痛みを和らげるモルヒネのようなもので、体力は逆に弱っていくものだということを認識すべきだ )

 今年は、小泉さんの構造改革、不良債権処理、景気対策等をめぐって自民党内部の不満も日を追うごとに強まり、総理に対して 公然と反撥を示したり、辞任を求める発言さえ出てきた。
 一方野党も民主党鳩山代表が、野党結集を目ざして 独断で自由党小沢一郎氏と協議を行ったことが 党内で問題になり、党代表辞任に追い込まれた。
中野寛成氏の幹事長任命をめぐる問題など、ただでさえ鳩山代表に対する党内の不満が強い中で、軽率な行動のそしりは免れないと思う。鳩山氏の坊ちゃん育ちの側面が露呈した形だ。
後任の代表には 菅直人氏が選ばれ、幹事長には岡田克也氏が就任したが、かっての自民党から旧社会党まで幅広い人々を抱えているだけに、党運営は これからも多難が予想される。
 与党自民党も野党民主党も内部に問題を抱えたまま 年を越し、来年の政局は予断を許さない。

 今夏は、ドイツ、ポーランド、チェコなどヨーロッパで100年来と言われる大水害が発生したのをはじめ、中国など世界各地で水害が発生し 世界規模で異常気象が相次いだ。
これも地球温暖化現象等 地球環境の変化がもたらしたものだろうか。

 国際情勢に目を転じると、今年も世界各地で大小さまざまなテロ事件が起きた。
パレスチナ人による自爆テロは頻発したし、フランス船籍タンカーに対する爆破テロ、インドネシヤ バリ島における爆弾テロ (10月13日180人以上が死亡)、モスクワの劇場での人質占拠テロ (10月24日人質約120人が死亡)、フィリッピンのイスラム原理主義者によるテロ等々である。
 自爆テロについては、目的のために自らの命を犠牲にする崇高なものとして これを肯定する人 (政治家) もいるが、私はこの説には組みしない。
如何に目的が正しかろうと、関係がない人まで無差別に犠牲にしていいはずがない。
目的や手段を問わず、全てのテロ行為は排斥されるべきだ。

 今年後半からの国際的な関心事は、イラクの大量破壊兵器の破棄をめぐって、アメリカがイラクを攻撃するかどうかである。
さいわい、イラクは大量破壊兵器の査察を求める国連安保理決議を受託し、すでに国連による査察が行われつつある。
イラクの広範な領土の隅々まで、完全な査察が可能なのだろうか、私は査察の実効性については些か疑問を抱いている。
まだイラクに対する武力攻撃の危機が去ったとは言いきれない。
 社民党や共産党など左翼政党は、国連安保理決議の前からアメリカのイラク攻撃には反対すべきだと叫んでいたが、これはあまりにも単純で短絡的だ。
先ずイラクに対して国連による査察の受け入れと大量破壊兵器の破棄を訴えるのが先ではないか。
北朝鮮に対する軽率な認識や言動であれだけ赤恥をかいたのに、まだ懲りないとみえる。

 北朝鮮は、10月初旬、核開発は凍結するとの1994年の米朝枠組み合意に反し、既に核兵器の開発を進めていることを アメリカ(ケリー国務次官補)に明言していたが、12月12日には 米朝枠組み合意に基づいて行われてきた核関連施設の凍結措置を解除し、電力生産に必要な核施設の稼働、建設を即時再開すると言明した。米国が今月から重油(年間50万トン)の提供を中断したことへの対抗措置ということだ。
 北朝鮮は危機をあおることによって、アメリカとの対話に持ち込みたいと躍起になっているとの見方が有力だが、これでは全く逆効果で米朝対話は更に遠のき、国際的孤立を一層深めるだけだ。
今後の推移を大きな関心を持って見守りたい。

 今年の国民の最大の関心事はなんと言っても、9月17日小泉首相の北朝鮮訪問に始まった拉致問題である。
これについての私の言いたいことは、すでに本ホームページ
 第40回「小泉訪朝と北朝鮮」(2002.10.15)
 第41回「拉致被害者の帰国問題について」(2002.11.01)
で詳しく書いた。

 社民党や共産党をはじめ、少なからぬ政治家たちの これまでの北朝鮮に対する誤った認識や間違った対応についても指摘した。
それにしても 社民党は、「拉致事件は存在しない、デッチ上げだ」と言い続けてきたことについて、これまでの北朝鮮や朝鮮労働党に対する対応が“不十分”だったと釈明しているが、決して“間違っていた”とは言わない。
朝鮮労働党に抗議文は送ったが、相手からは問題にされず 全くのなしのつぶてだ。11月29日になって、ようやく社民党は朝鮮労働党との友党関係を“凍結”すると発表したが、決して“破棄”したとは言わない。 よほど朝鮮労働党には 未練があるのだろう。
本当に反省しているのなら、自らの誤りを率直に認めて謝罪し、土井党首等は議員辞職すべきだ。

 我が国ではこれまで、外交問題でこれほど国論 (世論) が一致したことはなかった。 マスコミも大きな力を発揮した。
あまりにも平和に慣れ過ぎた人々に、国際問題の厳しさを再認識させる いい契機になればいいと思う。
 北朝鮮は、拉致被害者の子供たちを人質に取って今だに帰そうとしない。拉致事件の違法状態は今も続いている。
 もしこれがアメリカだったらどうするだろうか、多分北朝鮮周辺海域に艦隊を派遣して圧力をかけ、北朝鮮が応じなければ、武力を使って自国民の人質救出作戦を展開するだろう。
この実力行使は 誰も非難することはできない。自国民の救出、保護は、国家として当然且つ最大の責務だからだ。
 しかし、我が国の場合、憲法上からもそれは できないし、またその能力もない。
あくまで話し合いを中心に、国際世論に訴えるなど全ゆる手段を駆使して 人質奪還を実現しなければならない。
 拉致被害者の子供たちの帰国が1日も早く実現し、拉致問題の早期解決を祈りながら年を越すことになりそうだ。(2002.12.15)

 次回は〔第45回〕「2003年の展望と課題」(2003.01.01)

 【出来事】
  • 12月3日 民主党代表鳩山由紀夫氏が12月13日(臨時国会最終日)に民主党代表を辞任する旨を表明(於 同党常任幹事会 両院議員総会)
  • 12月6日 道路関係四公団民営化推進委員会 最終報告書を決め総理大臣に提出(決定前に今井敬委員長辞任)
  • 12月7日(現地時間) イラク 大量破壊兵器に関する申告書を国連に提出
  • 12月9日 関東地方に初雪としては記録的な雪
  • 12月10日 イエメン沖アラビア海で北朝鮮不審船を米軍に協力警戒中のスペイン軍艦が臨検 イエメンへ輸出中のスカッドミサイル15基を発見
  • 12月10日 民主党党首に 菅直人氏が岡田克也氏を破り当選(両院議員総会) 岡田氏は幹事長に内定(新執行部は12月13日の両院議員総会で正式決定)
  • 12月11日 和歌山毒物カレー事件の林真須美被告に死刑判決(和歌山地裁)
  • 12月12日 北朝鮮 米朝枠組み合意に基づく核関連施設の凍結を解除し 電力用核施設の稼働と建設を即時再開すると言明(アメリカの年間50万トンの重油提供中断に対抗したもの)
    また北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)に対し 核施設の封印解除と監視カメラの撤去を求める書簡を送る。
  • 12月13日 第155臨時国会閉会