◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2003/01/01】



◇第45回◇
2003年の展望と課題

 今年も色々な難問を抱えながら新しい年を迎えた。
今 我が国が陥っているデフレ不況に特効薬はなく、今年も厳しい年になりそうだ。
 小泉内閣が発足して今年は3年目を迎えるが、これまで小泉さんが掲げる構造改革もあまり進展しなかった。今年は構造改革を着実に推し進め、将来への基盤作りを実現してもらいたいものだ。

 不良債権処理は、どの程度進むだろうか。急激に不良債権の処理を行えば、倒産する企業が多発するだろう。そうなれば金融不安に陥る事態を避けるため、銀行への公的資金の注入もあり得る。
我が国経済の現状からみて、不良債権の処理が必要であることは間違いないのだが、これを政策的に どの程度加速させるかは、大変難しい問題だ。
これと並行して 政府は失業対策、雇用の確保など 十分なセーフティーネットを構築する必要があるのだが、今の国の厳しい財政事情等を考えると これまた簡単にはいかない。 

 小泉さんの公約、構造改革が どの程度進むか、今年は正念場だと思う。
 郵政三事業 ( 郵便、貯金、保険 ) は、既定方針通り 今年4月から 公社化されることが決まっているが、更に民営化についての議論が活発化すれば、郵政族が徹底抗戦するだろう。しかし、国民は 早期民営化を期待している。
 道路公団の民営化問題については、昨年提出された道路関係四公団民営化推進委員会の結論が どのくらい尊重されるか、道路族との間で また一波乱ありそうだ。今年 具体的な方向が決まらねば、骨抜きになってしまう。
自民党道路族議員たちは、相変わらず、以前計画した9,342キロの内 未整備区間2,300キロは建設すべきだと叫び続けている。約40兆円といわれる道路公団の債務返済を どう考えているのだろうか。
これ以上の赤字路線や将来国民の負担に跳ね返ってくるような道路建設だけは、絶対にご免蒙りたいものだ。
 構造改革は、郵政事業や道路公団に限ったことではない。行政改革を始め、政府がやるべき改革は まだ沢山ある。
政府は、行政改革を徹底し、民間に倣って 行政経費の本格的な削減を実行することや規制緩和を一層推進することが肝要だ。

 今の不況は国民の消費意欲の減退にあると言われているが、これは国民が将来に対する不安を持っていることが 大きな要因だと思う。
 約700兆円になるという国、地方の膨大な累積債務 ( 借金 ) を、将来国民はどうやって返していけばいいのか。
そんな中で、将来の年金は大丈夫か、医療保険の財政も年々悪化しているが将来どうなるか…etc。 減税しても どうせまた増税されると思っているから消費には回らない。
国の“場当たり主義”的な政策に、賢明な国民は もう踊らされない。
 過去のずさんな政策のツケが今 まわってきていると言っても過言ではない。
この際政府は、国民にとって厳しい現実も率直に説明し、将来展望を示すとともに、それに向けての痛みを伴うかもしれない政策を 着実に実行することだ。

 今年 9月には、小泉総裁の任期が切れ、自民党の総裁選が行われる。
構造改革、不況対策、財政政策など一連の小泉さんの政策に対し、自民党内には強い反発もある。
小泉さんが再選されるかどうかは、予断を許さないと思う。
 民主党では、在任期間わずか2ヶ月余りで失脚した鳩山代表に代わり、先月新たに菅直人氏が代表に就任したが、自民党から旧社会党までの幅広い層の寄せ集めという党内事情を考えると党の運営は前途多難だ。
現に熊谷弘前副代表ら5人は、先月 民主党を離党し保守党と合流して「保守新党」を結成した。野田党首ら3人は新党には参加せず自民党に入党した。
民主党内には、まだ離党予備軍を抱えていると言われ、内部混乱は まだまだ続くだろう。
 今月召集される通常国会で2003年度の予算や関連法案が通過すれば、小泉さんは 総裁選を待たずに 衆院を解散するだろうという見方が強い。
低迷している民主党の現況等を考えると、総選挙で自民党は大勝はしなくても、負けることはないと自民党は見ているだろう。
 自民党内で小泉さんに対する反発が強まれば、新たな政界再編の動きもあるかもしれないし、政局問題は今年は目をはなせない。

 国際問題では、昨年に引き続きイラク問題と北朝鮮問題が大きな関心事になるだろう。
 イラクについては、国連による大量破壊兵器の査察が、国際社会、特にアメリカが 納得できるような実効を挙げられるかどうかである。
アメリカは イラクが提出した申告書には 重大な国連安保理決議違反があると言っており、国連査察団も 同じような見解を示している。今のところ武力攻撃は避けられないとの見方が強いが、今後のイラクの出方次第にかかっていることも確かだろう。
また、フセイン体制がそのまま続くのか、崩壊するのかという問題もある。
 北朝鮮は、昨年10月 米朝枠組み合意に反し、核兵器の開発を既に数年前から進めていることを明言したため、アメリカは年間50万トンの重油供給を昨年12月から中断した。
これに対抗して 北朝鮮は、先月一方的にIAEA(国際原子力機関)による核施設の封印解除と監視カメラの機能を停止させたり、IAEAが派遣している査察官を退去させ、黒鉛減速炉の再稼働に向けての作業に着手した。北朝鮮は、IAEAに対し 1か月ほど後に再稼働させると通告している。
これで米朝枠組み合意は完全に破棄された。
 北朝鮮が再開しようとしている黒鉛減速炉からは、核兵器に転用可能なプルトニウムを抽出することができる。
北朝鮮は 使用済み核燃料の再処理施設「放射化学研究所」を1〜2ヶ月で再稼動させると表明しているが、これは電力生産とは関係のない施設だ。
これを容認すれば、近い将来北朝鮮は核保有国となり、北東アジアの安全を著しく脅かし、極めて危険な存在になることは明白だ。
我が国にとっては、反社会的国家北朝鮮の存在の方が イラクよりはるかに危険で深刻な問題だ。
 北朝鮮に対しては、国際圧力を強化することにより、核開発をどうしても断念させなければならない。
国際社会に背を向ける 危険極まりない北朝鮮の動向に対し、その友好国である中国やロシアが どんな対応を見せるかにも注目したい。

 韓国では、昨年12月19日 次期大統領に太陽政策を掲げる民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が選ばれた。
盧武鉉氏は、引き続き北朝鮮に経済支援を続けながら融和策を進めるというスタンスであり、強硬姿勢をとる日米とは 少し温度差があるようだ。
 北朝鮮の核開発問題については、平和的解決に向け、米国だけに任せず韓国が主導的役割を果たしていくと述べている。
同氏は以前、在韓米軍の撤退を主張したこともあり、今回も米韓地位協定の改定を公約に掲げるなど アメリカとは距離を置く姿勢にも見える。このためアメリカは米韓関係に一抹の不安を持っていることは否定できないだろう。
 しかし、同時に盧武鉉氏は日米韓の緊密な協力を行っていくとも述べ、これらの懸念を払拭しようと努めているようだ。
 北朝鮮問題について日米韓の強力な連携態勢がとれるのか、今後の韓国の姿勢を注目していく必要がある。

 北朝鮮との国交正常化交渉は、再開の糸口が掴めないまま 年を越した。
拉致問題について北朝鮮は、拉致被害者を帰さないのは 一時帰国の約束違反だと主張し、交渉は中断されたままになっているが、誘拐犯からようやく取り戻した被害者を、約束だからといって犯人側に引き渡すバカはいない。
 北朝鮮は、国際社会からますます孤立化を深め、深刻な事態に陥っていることは事実であり、そんな状況のなかで、今年は日朝交渉に新たな展開があると期待している。
 北朝鮮との間で、拉致問題を抱えているのは 我が国特有の問題であり、核問題等は関係諸国と連携して対応するとしても、拉致問題、特に現地に人質として取り残された子供たちの奪還は 最優先に実現しなければならない。決して核問題に拉致問題が埋もれるようなことがあってはならない。
また、拉致問題については、事件の全貌解明、公式な謝罪、責任者の引渡しや損害賠償等相手方に強く要求すべきことについても忘れてはならない。
 いずれにしても今年は、内外共に波乱の年になりそうだ。(2003.01.01)

 次回は〔第46回〕「日本外交協会と北朝鮮」(2003.01.15)

 【出来事】
  • 12月15日(現地時間) ゴルフ国別対抗ワールドカップ(於 メキシコ)で日本代表伊沢利光 丸山茂樹組が優勝
  • 12月16日(現地時間) 外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2) 於 ワシントン
  • 12月19日 韓国大統領選挙 民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補(56)がハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)候補(67)を抑えて当選(盧氏の大統領就任は2月25日)
  • 12月21日 国際原子力機関(IAEA) 北朝鮮が黒鉛減速炉1基の封印を一方的に除去するとともに 監視カメラによる監視を阻止する措置に出たと発表
  • 12月25日 保守新党が発足 熊谷弘氏ら5人が民主党を離党し 保守党と合流して結成 (代表には熊谷弘氏が就任 保守党の野田党首ら3人は新党には参加せず自民党に入党)
  • 12月27日 北朝鮮 IAEA(国際原子力機関)の査察官の国外退去を決定 その旨IAEAに通告
  • 12月29日 北朝鮮 NPT(核拡散防止条約)からの脱退を示唆