◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2003/02/01】



◇第47回◇
不思議な国 北朝鮮

 北朝鮮を“ならずもの国家”とは、ブッシュ大統領も うまい表現をしたものだ。
 密かに核兵器を開発し、あとで国際社会から非難を浴びた国はあるが(インド、パキスタン)、堂々と「核兵器を開発するぞ!」と国際社会を脅す国は前代未聞だ。

 日本近海に武装した漁船 不審船を出没させ、巡視船に見つかると全速力で北朝鮮の母港 (清津) へ逃げ帰る。
工作員を上陸させ、麻薬の密輸や善良な日本人を誘拐拉致するという凶悪犯罪を平気でやってのけるのが北朝鮮だ。

 2001年5月 金正日の長男 金正男が偽造パスポートで密入国した事件があった。金正日の長男と言えば日本では皇太子に当たる人物だ。
 北朝鮮からは「申し訳ない。何とか穏便に取り計らってもらいたい」と謝罪と依頼の申し入れがあるのかと思ったら、とんでもない、「そんな事実はない。事件は日本側のデッチ上げだ」と逆に日本を非難する始末だ。
北朝鮮は、我々には理解できない本当に不思議な国だ。
 それでも日本政府は、身元確認もせずに 外務省高官を6人もつけて ファーストクラスの飛行機で 丁重に北京に送り帰した。
さらに小泉首相の「これが最善の対応だった」という発言の“オマケ”までついている。日朝間には拉致問題があるというのに…。
これでは日本もまた不思議な国だと思われているだろう。

 拉致問題について、北朝鮮は絶対にあり得ない、北朝鮮には“拉致”という言葉さえないと一貫して頑強に否定してきた。
ところが昨年9月17日の小泉、金正日首脳会談で、金正日は 一転して拉致や不審船の事実を認め、「ごめんなさい」と謝ったのだから これで一件落着 と主張する北朝鮮の図太さ? 何と表現したらいいのだろう、開いた口がふさがらない。

 韓国も 北朝鮮には、これまで随分痛い目に遭わされてきた。
それでも太陽政策を掲げる金大中大統領は、北朝鮮への経済支援による融和政策を続けてきた。
2000年6月、金大中氏は ピョンヤンで金正日との首脳会談を行い、一時は南北雪解けムードになるかと思われた。
しかし、昨年6月には、黄海で領海侵犯した北朝鮮警備艇との銃撃戦が発生し、韓国側に多数の死傷者を出すなど、太陽政策は 全く効果を挙げていない。
 北朝鮮核開発問題については、アメリカ任せにせず、韓国が主導的役割を果たしたいと言っているが、去る1月21日〜24日に開かれた南北閣僚級会談では進展はなかった。その後、金大中大統領の特使として 林東源(イム・ドンウォン)大統領特別補佐役を訪朝させたが、全く成果を挙げることなく 帰国せざるを得なかった。金正日は林東源氏には 会ってもくれなかった。
 金大中大統領の後を継ぐ盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も太陽政策を継承していくと思われるが、不思議な国 北朝鮮相手では決してうまくはいかないだろう。
最終的に南北統一を目ざすならば、金正日政権の崩壊に向けての政策から始めねばならないからだ。
しかし、今 南北間の緊張が高まり、武力衝突になれば 韓国も戦火を浴び 大変な事態になる。
また、金正日体制が崩壊すれば、北朝鮮は混乱し 多数の難民が 韓国内に流入して韓国は とても これには対応できない。仮に南北統一ができるとしても、今それをやれば 営々と築いてきた韓国経済は一挙に破綻してしまう。
 したがって、時の政権としては 北の金正日体制はそのままにして、できるだけ穏便平和裡に済ませたいと考えるのだろう。
韓国は、北朝鮮に経済援助を続け 北朝鮮の経済自立が達成されてから、南北統一を考えるという筋書きを描いているのかもしれないが、金正日体制下では不可能だ。
 北朝鮮問題に対するスタンスが日米と韓国では違うということも認識しておく必要がある。
それは、韓国と北朝鮮の人々は同じ民族 同朋であり、南北統一はお互いの共通の悲願ということが基本にあるからだ。
更に付言すれば、これまで一貫して反日教育をしている点も南北共通している。
 北朝鮮問題に関しては、我が国は、韓国とは立場がいささか異なるということを、よく踏まえておく必要がある。

 北朝鮮は、昨年10月 米朝枠組み合意に反し、核兵器の開発を既に進めていることを明言したため、アメリカは枠組み合意に基ずく重油提供を昨年12月から中断したが、これは至極当然な措置だ。
 これに対抗して北朝鮮は、一方的にIAEA(国際原子力機関)による核施設の監視体制を排除し、黒鉛減速炉の再稼働に向けての作業に着手した。
更に北朝鮮は、電力生産とは無関係な使用済み核燃料の再処理施設まで稼動させようとしており、1月10日には NPT(核拡散防止条約)から脱退するなど 事態を一層エスカレートさせ、核開発問題は アメリカとの協議でしか解決できないと頑強に言い張っている。
 北朝鮮の意図は、アメリカを協議の場に着かせ、アメリカから経済支援を引き出そうとする狙いだと言われている。
なぜ北朝鮮は、隣の友好国 中国やロシアに支援を求めずに、憎い憎いアメリカから支援を受けようとするのだろうか。
中国やロシアが積極的に北朝鮮に経済支援をしているという話もあまり聞かない。友好国なら もっと支援してやればいいのにと思うのだが。
 また 金正日体制維持の保証を アメリカに求めているともいわれるが、あまりにも被害妄想的だ。
 中国は、アメリカは重油提供を再開し、北朝鮮と話し合うべきだと言っているが、これは一方に偏した理不尽な意見だ。
北朝鮮から韓国への亡命を目ざして、中国へ逃れてくる難民を捕らえて 北朝鮮に送り返す中国の非人道的な姿勢は、北朝鮮国民との友好国ではなく、単に金正日政府との友好国に過ぎないことを示している。

 アメリカは、北朝鮮に対しては武力攻撃は行わず、国際圧力の中で外交による解決を図りたいとしている。
北朝鮮との対話の用意もある、核開発を断念すれば、食糧やエネルギーの支援をしていいとまで言っている。
 アメリカが武力行使を行わないのは、韓国に戦火が及ぶこと、イラクとの二面作戦は避けたい、ロシアや中国への配慮などいろいろあるだろうが、国際圧力を強めることにより、北朝鮮は一層孤立化を深め、金正日体制は 早晩崩壊すると見ているのかもしれない。
また、北朝鮮の核武装を最も脅威に感じるのは、周辺国 (韓国、中国、ロシア、日本) であり、アメリカは 自ら直接手を下さなくても、隣接する大国 ロシアや中国がそれを許さないだろうと思っているのかもしれない。

 北朝鮮がアメリカを相手にするのは、幼児が大人に立ち向かうようなものだ。
いま時、武力で北朝鮮を侵略しようとする国などあり得ないのだから、核兵器の開発断念はもとより、国際社会に開かれた民主的な平和国家に生まれ変われば、国際社会からの支援により食糧難や貧困問題も解消し、経済自立への道も見えてこようというのに…。
本当に北朝鮮は、愚かで不思議な国だ。
不幸なのは、一般国民だ。(2003.02.01)

 次回は〔第48回〕「万年与党と万年野党」(2003.02.15)

 【出来事】
  • 1月16日 天皇陛下 前立腺癌手術のため東大医学部付属病院にご入院 18日前立腺全摘出手術
  • 1月20日 第156通常国会召集(会期 6月18日まで150日間)
  • 1月20日 横綱貴乃花引退
  • 1月21日〜24日 韓国北朝鮮 第9回南北閣僚級会談 於ソウル 核問題等について進展なし
  • 1月26日 大相撲初場所千秋楽 大関朝青龍が優勝(14勝1敗)
  • 1月27日(日本時間28日) 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC) 国際原子力機関(IAEA)が 国連安全保障理事会に イラクの大量破壊兵器開発疑惑に関する査察活動について正式報告
  • 1月29日 大関朝青龍 横綱に昇進
  • 1月30日 東京都の大手銀行を対象とした外形標準課税訴訟控訴審判決(東京高裁) 都側敗訴