◇第48回◇
万年与党と万年野党
戦後、特に55年体制 (昭和30年) 以降、ほとんど自民党が政権を独占してきた。
例外として 1993年から1994年にかけて 一時自民党が野党になったことがあった。
当時、細川内閣は 自民党の長期政権に代わる新しい政権として期待されたが、蓋を開けてみると、目新しい政策もなく内部崩壊してしまったし、後を継いだ羽田内閣は、組閣早々にして 議会の支持を得られず 潰れてしまった。
1993年には、政権交代が実現し易い制度、金のかからない選挙などを 謳い文句に、これまで長く続いてきた衆院の中選挙区制を小選挙区比例代表並立制に改正したが、それでも自民党は、いろいろ言われながらも 相変わらず第一党の地位を保ち続けている。
昨年 民主党では、党首選で再選された鳩山氏が 僅か2ヶ月で辞任に追い込まれた。菅直人氏が後を継いだが、熊谷弘前副代表らが離党し、保守党に合流して保守新党を結成するなど 党内結束はバラバラだ。
自民党から旧社会党までの寄せ集め的集団の色彩が強い民主党では、当然なのかもしれない。
これでは、党としての政策をまとめ上げ、自民党と対等に渡り合うことなど できるはずがない。
いくら“政権奪取”と叫んでみても 犬の遠吠えにしか聞こえない。世論調査での支持率は、わずか数パーセント、これが野党第一党の有様だ。
自由党は、自民党の不満分子的色彩が強い。
党首の小沢氏は、自民党時代には なかなか立派なことを言う人だと思ったこともあったが、自由党の小沢氏は、まさに自民憎し一色に見える。
自民党を倒すためなら、たとえ主義主張が180度違う社民党とでも組むという姿勢では、国民の支持は得られない。
社民党や共産党は論外だ。
社民党の前身社会党は、労働組合をバックにした階級政党的色彩やイデオロギー的色彩が強く、国民政党とは程遠く、政権を目指すというより、もっぱら反対や抵抗勢力としての存在意義しかなかった。
現社民党は、旧社会党の古い部分のみを継承しているようで 今や社民党に存在意義はない。
共産党は、今なおその綱領に「日本の当面する革命は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する新しい民主主義革命、人民の民主主義革命である。…それをつうじてこそ、労働者階級の歴史的使命である社会主義への道をも 確実に きりひらくことができる。…」等と書かれている。
いまだにマルクス レーニン主義を固持しており、口先で いかに民主主義を唱えようとも 昔からの共産党の本質は 全く変わっていない。
日本共産党の綱領は 世界のどこへ出しても通用しない。通用するのは北朝鮮ぐらいだろう。
公明党は、創価学会を支持基盤としており、いくら“政教分離”だと言ってみても 所詮 宗教政党であり、政権を担える国民政党にはなり得ない。基本的な部分で 自民党と相容れない考え方を持っており、今 与党の一角を占めているのは、妥協の産物に過ぎない。
保守新党の主義主張は、ほとんど自民党と大差ない。昨年暮れ、保守党の野田党首らが自民党に復帰したし、これから伸びる政党ではなく、むしろ過渡的な政党だと思う。
自民党は、過去半世紀の長きに亘って政権与党の座を独占してきた。
これは、現実的な政策が 国民の支持を得てきたからであることは否定しないが、これに代わるべき健全な野党が存在しなかったことが最大の理由だと思う。
万年与党になると、マンネリ化して内部に緊張感はなくなり、色々な弊害が出てくる。古い体質や既得権へのこだわり、癒着構造や汚職等々である。
一昨年の総裁選で 小泉さんが “自民党を潰してでも、構造改革をやる”と言って総理に就任した時、驚異的な支持率を得たのは、旧態依然たる自民党の体質を打破してもらいたいという国民の願望によるものだ。
それでも自民党の体質は、今なお変わっていないし、国民の不満も少なくない。それでも自民党政権は続く。
それを許しているのは、不甲斐ない野党の責任だ。
野党は政党政治の本質に立ち返ってもらいたいものだ。
これまでの野党は、国民が安心して任せられる政策を持っていない、少なくとも国民の目には映らなかった。
もっぱら、政府、与党のスキャンダル探しや無責任な批判や抵抗に明け暮れている。
国会の予算委員会の論争を聞いていても、自らの政策や主張よりも、政府側の些細な失言を針小棒大に取り上げ 「勝った、勝った」と はしゃぐ姿は、実に低次元な議論と言うべきだ。
国益や国民のための政策より、自民党政府を潰すことの方が重要だと考えているようだ。
“消費税反対”“福祉の充実を”などは誰でも言える。その財源についてはあまり言わない、これでは無責任だ。人気取りの甘い言葉に、賢明な国民は踊らされない。
国の財政がここまで深刻になったのも、与野党合作の大衆迎合的無責任な“場当たり主義”がもたらしたものだ。
特に外交に関することは 政争の具にすべきではない。
社民党の前身社会党時代の北朝鮮に対する対応などは、まさに国益を害する典型で論外だ。
歴史教科書問題や靖国神社参拝問題についての韓国や中国の抗議は、多くの国民は内政干渉だと思っている。
国民の一部に それに反対する意見があるからと言って、野党が 中国や韓国と一緒になって政府批判をすることは、我が国外交を著しく阻害し、国益に反する行為だ。
少なくとも外交問題だけは超党派でやってもらいたい。
政府の立場では言えない事を 野党が補完することもできる。例えば歴史教科書問題などについて、いつも国会で政府を追及するような大声で“これは内政干渉だ”主張してみては如何。野党の立派な仕事として多くの国民から支持されるはずだ。
野党は、打倒自民党ばかりに執着するのではなく、もっと国民の方に目を向けてもらいたい。
「デフレ不況は、全て自民党政府の責任だ だから自民党政権を倒して政権交代を…」といくら声高に叫んでみても、国民は、自民党政権の責任ではあるだろうが、今の野党が政権を取ったら もっと悪くなると思っているに違いない。
少なくとも どんな政策を実行するのか分からない政党に、政権を任せることには 多くの国民が不安を感じるのは当然だ。
野党は、党派を超えて結集すれば、政権交代は可能だと言っているが、民主、自由、社民夫々主義主張が全く違う3党が集まって一体何ができると言うのだろうか。これこそ国民を愚弄した話だ。
国民は政権交代を望んでいるのではない、良い政治を望んでいるのだ。
野党はもっと勉強して、具体性のある政策を広く国民の前に示すべきだ。
野党第一党の民主党は、自民党に対して「政権をこちらによこせ」と言っているが、それは言う相手が違う。国民に対して言うべきものだ。
政権を選ぶのは国民なのだから、その政策が国民の支持を得られれば、政権党への道が開かれるのは自明の理だ。
時の政権の失政に対しては、いつでも政権交代可能な野党の存在を国民は望んでいる。
健全な野党が存在しないということは、政党政治がうまく機能していないということで 国民にとって不幸なことだ。
しかし、政党や政治家ばかりを責めても仕方がない。究極の責任は国民にあるのだから…。
<03.02.15)
次回は〔第49回〕
「イラク問題 北朝鮮問題」(2003.03.01)
【出来事】
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