◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2003/06/01】



◇第55回◇
北朝鮮の核廃棄をめぐって

 イラク戦争が終結し、世界の関心は北朝鮮の核問題に移ってきた。
去る5月22日から始まったG8外相会議でも、北朝鮮の核開発や拉致問題が取り上げられた。
 米英の圧倒的な武力によるイラク攻撃は、北朝鮮に少なからず衝撃を与えたことは 事実だろう。
北朝鮮に焦りが見られるようだ。それは、米、中、朝の3ヶ国協議に応じたり、韓国との南北閣僚級会談を提案してきたことからもうかがえる。

 しかし、去る4月23〜25日、北京で開かれた米、中、朝の3ヶ国協議では、北朝鮮は金正日体制の保証 (米朝不可侵条約の締結)、重油の提供をはじめとする経済援助 (日本や韓国からの援助も含む) 等が核問題解決の条件だと主張し、進展はなかった。
 目新しいものと言えば、北朝鮮が既に核兵器を保有していることを 自ら明言したことぐらいだろう。その意図は、アメリカを恫喝したつもりかもしれない。
これまで、アメリカとの2国間協議に固執してきた北朝鮮が、中国を加えたのは、中国を後見人 (味方) と思っているからだ。
日本や韓国が参加する多国間協議には、相変わらず応じようとしない。
去る4月27日から行われた南北閣僚級会談でも、北朝鮮は、韓国に経済支援を求めるだけで、核問題については 米朝間の問題だと話合いに応じようともしなかった。

 核兵器の保有を明言したり、核兵器開発を進めている北朝鮮は、イラクより はるかに危険な国なのに、アメリカは、話合いで政治的に解決する姿勢を崩していない。
それは、韓国、日本、中国、ロシアなどの周辺諸国が、平和的な話合いでの解決を主張していることが大きな要因だろう。確かに北朝鮮に対し武力攻撃を行えば、韓国にもその戦火は及ぶだろうし、隣接する中国には多数の難民が流入するだろう。

 日本や韓国にとって北朝鮮の核開発は確かに脅威だ。アメリカは 同盟国 日本、韓国の安全を懸念しているが、アメリカが長距離ミサイル等で直接核攻撃を受けるとは思っていないだろう。
 しかし、北朝鮮の核兵器の脅威は、韓国、日本だけではない。
北朝鮮の友好国中国は、北朝鮮と国境を接しているだけに、将来に亘って北朝鮮と間で紛争が生じないとは言い切れない。
韓国は北朝鮮と対立はしているが、同じ民族、同朋意識が強い。日本は島国で距離的にも離れており、何よりも平和外交に徹している。
 こう考えると、北朝鮮の核開発を最も恐れるべきは 中国ということも言える。中国は内心そう思っているに違いない。

 しかし、中国は、友好国北朝鮮に 対立する言動は 取りたくない。
アメリカの手で北朝鮮の核廃絶をしてもらえれば、これに越したことはない。この思惑はロシアも同じだろう。
 中国は、今回 (4月23〜25日) の米、中、朝3ヶ国協議の場を提供し、自らは いかにも第三者的な顔をして協議に臨んでいる。
 アメリカもこの中国の思惑は十分認識しているはずだ。
アメリカが、日、韓を外した3ヶ国協議に応じたのは、北朝鮮の核問題の舞台に中国を引き込もうという戦略があることは間違いない。
アメリカは、中国の責任は極めて大きいと強調している。
これからは、北朝鮮の核問題をめぐって米、中 間の駆け引きもあるだろう。

 去る5月23日の小泉首相とブッシュ大統領の日米首脳会談では、平和的解決を目ざす方針を確認するとともに、北朝鮮が行動をエスカレートさせた場合は、厳しい対抗措置をとる必要があるということで一致したようだ。
 しかし、北朝鮮に軍事圧力をかけないとすれば、問題解決には相当 時間がかかるだろう。
北朝鮮に何らかの圧力をかけなければ、核問題はいつまで経っても解決しない。
残された道は、経済制裁だろう。
国連決議による経済制裁が最も理想的だが、中国やロシア、韓国も反対するだろう。(中国、ロシアは拒否権を持っている)
 アメリカと日本は、断固として経済制裁を行うべきだし、更に国際社会に対して同調を求めていく必要がある。

 日米首脳会談で、北朝鮮に対しては「対話と圧力」で臨む方針を合意したのに、外務省の田中均審議官が「圧力」部分を公表しないよう主張したことが問題になった。
北朝鮮を あまり刺激すると暴発する恐れがある等と言うのが その理由のようだ。
 しかし、あらゆる圧力を駆使しなければ、北朝鮮は応じてこないということは 分かりきっているではないか。
経済制裁はもとより、アメリカのように相手の出方次第では軍事圧力の選択肢さえ有り得ることを、北朝鮮側に認識させておくことが重要であり、「圧力を加えるぞ」と言うことは、むしろ積極的に表明すべきことだ。
 核開発を進め、すでに核兵器の保有を明言し、拉致問題では 我が国の主権侵害の状態が今も続いているというのに、北朝鮮を刺激してはならないと、どうしてそんなに北朝鮮に気を使わねばならないのか、田中審議官とは一体どんな考え方の持ち主なのか、私には全く理解できない。
 北朝鮮外交には、毅然たる姿勢で臨んでもらいたいというのが、国民の強い願いだ。 田中審議官のやり方は、国民の願いを踏みにじるものだ。
 こんな考え方が、外務省の中に まだ根強く存在すること自体が問題だ。
今回の田中審議官問題については、真相究明と責任の所在を明確にするとともに、この際 外務省は、北朝鮮に対する認識、外交の戦略、戦術について改めて検証し、再確認する必要がある。
(2003.06.01)

 次回は〔第56回〕「車の小話(その1)」(2003.06.15)

 【出来事】
  • 5月14日(日本時間15日) ブッシュ大統領 盧武鉉大統領 米韓首脳会談 於ホワイトハウス
  • 5月17日 政府 金融危機対応会議を招集 りそなホールディングスに2兆円規模の公的資金注入を決定
  • 5月22日 国連安全保障理事会 米国 英国 スペインが提案した対イラク経済制裁解除・戦後統治決議案を全会一致で採択(シリアは欠席)
  • 5月22日 小泉首相 日米首脳会談等のためアメリカへ向けて出発
  • 5月23日 個人情報保護法 参院本会議で可決 成立
  • 5月23日 小泉首相 ブッシュ大統領と日米首脳会談(於 テキサス州クローフォード)
  • 5月25日 大相撲夏場所千秋楽 横綱朝青龍が優勝(13勝2敗)
  • 5月26日 東北地方を中心に震度6弱(マグニチュード7.0)の地震発生