◇第59回◇
辻元清美 前衆院議員の逮捕
去る7月18日、社民党の辻元清美 前衆院議員ら4人が秘書給与詐欺容疑で警視庁に逮捕された。(他の3人は、土井社民党党首の元政策秘書 五島昌子、辻元前議員の元公設秘書 梅澤桂子、同元政策秘書 佐々木美枝の各容疑者)
社民党は「なぜこの時期に突然逮捕なのか違和感を覚える。捜査上、身柄拘束の必然性があるのか、解散 総選挙を前にしての逮捕には選挙妨害の余地もある」等と述べ、今回の逮捕には極めて批判的である。
更に辻元清美擁護論としては、事件発覚後 本人は非を認めて国会議員を辞職しているし、衆院予算委員会の参考人質疑でも謝罪している。昨年8月には、流用したとされる秘書給与相当額に利息を付して2.300万円余りを国に返納している。
逮捕とはあまりひど過ぎるではないかという意見や 事件が発覚して既に1年4ヶ月も経過した今 なぜなのかと言う意見もある。。
しかし、辻元氏の一連の言動を見てみると、公設秘書給与などは、実態はどうであれ 名義借り等で辻褄さえ合わせておけばどうにでもなるという非常に甘い考えがあるようだ。
本人は公設秘書の給与を他に流用したことの非を認めながら、詐欺罪についての認識はなかったと否認しているが、これは およそ国会議員とも思えない甘い、身勝手な考え方で世間には通用しない。
国から特定の公設秘書に支払われる給与を、名義借り等の策を弄して これを騙し取るという行為が、詐欺という犯罪であることは 誰の目にも明々白々である。
辻元容疑者らを逮捕に踏み切ったのは何故だろうか。これまでの事情聴取について見てみたい。
辻元事務所や社民党関係者からの事情聴取は、昨年の夏頃から始まり、多くの関係者が聴取には応じたが、真相を語る人は少なく、今回全面的に容疑を認め 逮捕を免れた辺見真佐子 元秘書以外は、非協力的な者が多く、中には捜査を声高に批判する者も居るなど、捜査は予想外に難航したそうだ。
辻元氏本人は 事情聴取の中で、「私は普通の人たちとは違う。短時間で済ませてほしい」と特権意識を振りかざしたり、聴取が終わる前に、「疲れたから帰ります」と言って席を立ったという。
また、「(流用は)ワークシェアリングで、時代を先取りしたもので、詐欺の認識はなかった」とおよそ関係がない幼稚な主張をして詐欺罪を免れようともしている。
それでも、捜査当局は 辻元容疑者が容疑を認めれば、書類送検にとどめる方針だったそうだ。
ところが辻元容疑者は、秘書給与流用の事実は認めながら、詐欺は否定するという論理矛盾の論法で刑事責任追及をかわそうとした。
本人のこのような姿勢こそが、逮捕の事態を招いた、即ち自業自得というわけだ。
現に辻元容疑者の弁護人は、本人は容疑事実を認めているのに逮捕とは怪しからんと言っているが、肝心の本人があくまで詐欺容疑を認めないと言うのだから逮捕もやむなしだ。
仮に、本人が詐欺容疑を認めて有罪になっても、多分執行猶予付きの軽い刑が予想される。それは、本人が議員を辞職していること、秘書給与流用相当額を国に返納していることが情状酌量に大きく影響するからだ。
辻元容疑者は、この事件に対して もっと早い段階で正しい処し方を採るべきだった。そうすれば逮捕されることもなかっただろう。
昨年8月、前自民党衆院議員 田中真紀子氏も公設秘書給与流用事件の責任をとって議員を辞職した。事件の内容としては辻元氏と同じだ。
辻元氏の場合は比較的簡単だが、田中氏の場合は 彼女のファミリー企業 越後交通が絡んでいるだけに、捜査もより複雑困難になり、時間もかかるだろう。
しかし、彼女の刑事責任も いずれ司直の手によって国民の前に明らかにされるべきである。
辻元氏との均衡を考えても 田中氏の刑事責任が不問になることはないと思う。
もし、彼女の刑事責任の立件ができないようなら、その理由を国民の前に明らかにすべきだ。
今回は辻元容疑者とともに 土井たか子社民党党首の元秘書 五島(本名渡辺)昌子氏も同時に逮捕された。
社民党にとっては、辻元氏よりも 五島氏の逮捕の方が痛手だっただろう。
五島昌子氏は 長年土井たか子氏の秘書を勤め、土井氏の信頼も厚く、土井さんの分身と言われるほど党内では絶大な力を持っていたという。
その五島氏が、辻元氏の秘書給与騙し取り詐欺行為の指南役をした、しかも議員会館の土井党首の事務所でそれが行われたというのだから、党の組織ぐるみの犯罪と言われても仕方がない。
五島氏は、辻元氏だけでなく、他の新人議員達にも 同じような悪知恵指導をしていたのではないかという疑問もある。
社民党自体の責任、とりわけ土井党首の責任は免れないと思っていたが、土井さんは「自らを戒めて、しっかりと状況を受け止めて、信頼回復のために力を尽くすことが、私の使命と心得て、努力したいと思います。」と述べるだけで、責任の“せ”の字も感じられない。
これでは、これからの土井社民党には、政治浄化を訴える資格も政治家の不祥事を糾弾する資格もなくなった。
土井さんが党首を辞めれば 社民党は潰れると言われるが、こんな無責任党首では社民党の消滅は一層早まるだろう。
国民の支持を失い、どうせ消え行く政党の不祥事を問題にしても、あまり意味がないのかもしれない。(2003.08.01)
次回は〔第60回〕
「海野十三」(2003.08.15)
【出来事】
- 7月18日 警視庁 辻元清美前衆議院議員(社民党) 土井党首の元政策秘書五島昌子ら4人を政策秘書給与詐欺容疑で逮捕
- 7月18日 ブレア英首相来日 19日箱根で小泉首相と日英首脳会談
- 7月20日 九州で集中豪雨 熊本県水俣市の土砂災害等で死者行方不明22名
- 7月20日 大相撲名古屋場所千秋楽 大関魁皇が12勝3敗で優勝
- 7月23日 菅民主党代表と小沢自由党党首会談 今年9月末までに民主党と自由党が合併することで合意
- 7月26日未明 イラク復興支援特別措置法 参院本会議で与党3党の賛成多数で可決 成立
- 7月26日 宮城県北部で震度6強の地震 被害多数
- 7月28日 第156通常国会閉会
- 7月31日 タイ バンコク市内の日本大使館に 北朝鮮からの脱出住民男女10人が亡命を求めて駆け込む
[今年 各地の梅雨明け]
- 6月21日 沖縄地方
- 6月27日 奄美地方
- 7月22日 九州南部地方
- 7月26日 九州北部 中国 四国 近畿 東海地方
- 7月27日 北陸地方
- (関東甲信 東北南部地方は 8月2日)
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