◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2003/10/15】



◇第64回◇
総裁選に見る自民党 (その1)

 去る9月20日に行われた自民党総裁選挙では、小泉純一郎、亀井静香、藤井孝男、高村正彦の各氏が立候補したが、小泉氏が60%以上の圧倒的得票で再選を決めた。
当初は、小泉氏再選は微妙だという声も聞かれた時期もあった。
  これは、1回目の投票で小泉氏が過半数を取れず、1、2位の決戦投票になった時、2位以下が結束して2位の候補者に投票すれば 小泉さんは倒せるという見方だ。 確かに選挙戦は、小泉さん対他の候補(亀井、藤井、高村)、即ち1対3で行われた感じだ。

 小泉再選は100%あり得ないと断言して 面子まる潰れの政治評論家も居た。
しかし、この評論家は、自民党内の小泉政策に反対する勢力が 如何に強大であるかということを よく認識していたわけで、予想が当たらなかったことを一概に責めることはできないと思う。
 小泉首相は、構造改革路線を標榜して国民の支持を得ているのだが、なかなか進まない、実行力が伴わないとよく批判される。
しかし、小泉さんの政策実現を阻んできたのは野党ではなく、実は自民党の議員達であったということが、この総裁選を通じて一層はっきりした。
このような党内の反小泉勢力の動向から、当初は 亀井、藤井、高村氏らは、本当に小泉再選を阻めると思ったに違いない。
特に、亀井氏は 小泉再選は500%あり得ないと言い切り、強い自信を述べていたが、これは選挙のパフォーマンスとは言え、最初の頃は 本気で自分が当選できると思っていただろう。

 小泉さんと他の3候補との共通の争点は、経済政策、景気対策についてであった。
小泉さんの改革なくして景気回復なしに対して、3候補の主張は、構造改革よりも 積極的な景気回復対策を行うべきというものだった。
積極的な景気回復策とは、結局は大幅な財政出動を行うということだ。そのためには、更に 国債を大量に発行しなければならない。
 亀井氏は、今年度についても 補正予算で更に10兆円の財政出動をする、藤井氏は、もっと景気回復に軸足を置く、高村氏は不景気の時には積極財政を、好況の時には消極財政をというのが経済学の「いろは」の「い」だ、今は不景気なのだから 積極財政を採るべき等と主張していた。

 バブル崩壊後、政府は不況対策のため、過去10年以上に亘って 公共事業等への積極的な財政出動政策を行ってきたが、景気回復には 全く効果がなかったのみならず、数百兆円に及ぶ累積債務 (借金) を作ってしまい、これが 逆に国民の将来への不安を助長し、景気の足を引っ張る結果にもなっている。( 今、国、地方の累積債務は約700兆円と言われている )
ここまで財政を悪化させてきた政治家の責任を 追及したいくらいだ。
このことを政治家はよく認識してもらいたい。
 高村氏の言う「不景気の時には積極財政を」というのは、一般的には正しいだろう。しかし これは通常の不況 ( ある意味では景気循環型不況 ) の場合であって、長くても2〜3年積極財政を続ければ回復するものである。
 しかし、今の不況は、戦後一貫して右肩上がりで成長し続けてきた我が国経済、産業の構造が、行き詰まってきたことによる。
これには、色々な要因が考えられる。例えば製造業の分野で、中国等後進国の台頭により 国際競争力がなくなってきた等はその典型だろう。
こんな時に、国が積極的に財政出動をしても、景気が回復するはずがない。
したがって、3候補の今の不況についての実態認識や積極財政出動の主張は、完全に間違っていると言わざるを得ない。

 今の不況が、構造的なものであるならば、現状打開のためには、官民挙げての構造改革を実現するしか道はない。
一口に構造改革と言っても、簡単な事ではない。時間もかかるし、苦痛も伴う。しかし、これしかないないのである。
政府に短兵急に景気回復を期待しても、それは所詮無理だ、特効薬はない ということを国民も理解すべきだ。
 聖域なき構造改革を標榜する小泉さんに対して、3候補は、いずれも構造改革については 反対乃至消極的であった。
不況の時に、構造改革をやれば、痛みが増し、一層不況を深刻化させるというのが、構造改革反対の理由のようだ。
特に、亀井氏は、全て小泉政策の反対のことをやればいいと主張していたが、これは論外だ。これほど過激な反小泉政策を掲げながら、よく小泉自民党の中に居れるものだと 政治家の厚かましさには感心する。
3候補とも、構造改革に否定的だったところに、党員票を獲得できなかった一因があったと思う。

 小泉総理が行っている今の緊縮財政は間違っていると言うのが、3候補共通の主張だった。
しかし、平成15年度の一般会計予算約81.8兆円の内、約36.5兆円は、国債発行で賄っている。即ち、収入が少ないので予算の44.6%は 借金で賄っている。( 国債依存度44.6% )
借金をしないで節約しているのなら、緊縮財政と言えるだろうが、貧乏な政府が 膨大な借金をして身分不相応な予算を組んでいるのを緊縮財政と言えるだろうか。
 これまでの国債発行残高は、15年度末で、約450兆円 ( 国民1人当353万円 ) になる。
また、平成15年度の国の予算の内、16.8兆円( 予算の20.5% )は、国債の利払いや償還に消えてしまう。
 これ程国家財政が逼迫している国は、先進国では勿論、世界広しと言えど まともな国にはその例はない。
もっと行政経費を縮めて国債発行を減らせという議論は出ても、もっと国債を発行して借金を増やせという主張がどこから出てくるのかと言いたい。
国の財政破綻が現実化するのは、何十年も先のこと、子供や孫の時代のことだから自分の時代が安泰であればよいと考える政治家が居るとすれば 許せない。
 国の厳しい財政の実態については、多くの国民が将来への不安を抱いているというのに、これを無視して 3候補が 積極財政を主張した点も 党員票を得られなかった大きな要因だったと思う。(2003.10.15)

 次回は〔第65回〕「総裁選に見る自民党 (その2)」(2003.11.01)

  【出来事】
  • 10月5日 民主党 旧自由党との合併党大会開催
  • 10月5日 石原国土交通相 藤井治芳日本道路公団総裁から財務諸表等について事情聴取 藤井総裁の更迭を決定
  • 10月7日 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本 中国 韓国の首脳会議開催 (於インドネシア バリ島)
  • 10月10日 テロ対策特別措置法改正案等 参院本会議で与党3党の賛成多数で可決成立
  • 10月10日 衆議院解散 (第43回総選挙は10月28日公示 11月9日投票)