◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2003/11/01】



◇第65回◇
総裁選に見る自民党(その2)

 自民党総裁選を通じて、亀井、藤井、高村の3氏は程度の差こそあれ、小泉首相の構造改革路線を真正面から批判し、反対して戦った。
党内には 小泉政策に批判的な反対勢力が多いため、党内の選挙なら、小泉政策を批判し、反対することによって小泉再選を阻止できると考えたに違いない。党内情勢 ( 特に国会議員 ) に限って見れば、その分析は間違っていなかったと思う。
 しかし、亀井氏ら3候補の最大のミスは、世論調査による支持率が50%を超えている小泉首相の国民的人気を無視してしまったことだ。
構造改革反対、小泉路線の反対をやればいい等と主張する亀井氏らの姿は、同じ自民党であるのに…と違和感を感じた国民も多かったのではないだろうか。

 今回の総裁選で 小泉さんが再選されなかったら、小泉さんを落選させた自民党ということになり、自民党に対する国民の支持率は 大きく低下してしまっただろう。
これでは、自民党は構造改革に背を向ける政党、派閥重視の古い体質の政党…等々悪いイメージに一転し、これでは目前に迫っている総選挙には勝てない。
 総裁選の形勢は 日を追う毎に小泉優勢になり、選挙戦後半には 勝負は決まり、話題は 専ら新内閣や解散総選挙に移ってしまった。
これは、議員達が、総選挙で当選するためには、また自民党が勝利するためには、やはり小泉自民党でないと勝目はないと考えたからだ。

 今回の総裁選を通じて注目すべきは、派閥が殆んど機能しなくなったことだ。
大物の反小泉抵抗勢力を抱える堀内派では、早々に派閥の会長堀内氏が小泉支持を表明し、派としては自主投票になってしまった。
 最も深刻だったのが最大派閥の橋本派だった。
橋本派では、派内から藤井氏が総裁選に出馬するというのに、参議院自民党幹事長の青木幹雄氏ら参院議員の大勢と元官房長官 村岡兼造氏ら衆院議員の一部が小泉氏支持に廻っってしまった。
このため、藤井氏は、橋本派を代表してではなく、個人として出馬せざるを得なくなった。
 ここで切れたのが大物議員と言われる野中広務元幹事長(78才)だ。
青木氏や村岡氏を裏切り者だと名指し、毒饅頭を食わされている等と痛烈に非難していた。
また次期総選挙には出馬しない、自ら退路を断って小泉再選阻止のために闘う等と勇ましいことを言っていたが、この態度は、実に大人げなく、見苦しく感じた人も多かったと思う。
退路を断つという決意は、小泉再選を阻止できなければ 議員を辞める、ということなら分かるが、派内が自分の思う通りにならないから 辞めてしまうというのでは、最初から白旗を揚げたことになる。
 野中広務氏は、議員外交と称して中国等を訪問しているが、親善外交の名の下に、実は主体性のないご機嫌伺い外交でしかなかった。日本外交にとっては、マイナスの面はあっても プラス面はなかったと私は評価している。
また、1999年に村山元首相等と北朝鮮を訪問した時、野中氏は金正日から毒饅頭で 歓待を受けたと言ってもいいだろう。
その時 彼は、拉致問題を採り上げるどころか、拉致はでっち上げだと言う北朝鮮の言い分を 頭から信用してしまったのだから。
いずれにしても、野中広務氏は高齢だし、引退するのは結構なことだと冷ややかに見ている人が多いだろう。

 小泉氏は圧倒的多数の得票で総裁選に大勝した。
しかし、これによって自民党の体質が変わるものではないし、小泉さんの構造改革路線に反対する抵抗勢力が 強力であることに変わりはない。
自民党が小泉氏を総裁に選んだのは、あくまでも総選挙のためであって、小泉さんの政策を支持したからではない。
 総裁選で小泉さんを支持した青木氏も、小泉さんの政策は 支持していない。彼は、郵政民営化や道路公団民営化には元々反対だし、閣僚は、民間からでなく 国会議員から選べ、竹中大臣(金融経済財政政策担当)や山崎幹事長は交代させろ等と注文をつけていた。
 民間人からの大臣登用は 極力控えるべきという主張もおかしな話だ。国会議員よりも 優秀でふさわしい民間人が居たら 大臣にすべきだ。憲法では閣僚の半数は民間人を任命してもいいと規定している。
民間人を大臣にすると 国会議員に割当てられる大臣ポストが少なくなるということなら、余りにも身勝手で国民無視の主張だ。
 竹中大臣更迭の主張は、小泉さんの構造改革路線を否定することだ。

 党内に、強大な抵抗勢力を抱えている中で、構造改革を成し遂げることは容易ではない。ことごとく潰される可能性もある。
このことは小泉さんもよく認識しているようで、実に巧妙に手を打っている。
まず、総裁選の時の小泉さんの公約を、総選挙の自民党の政権公約(マニフェスト)に盛り込んだことだ。
幹事長ポストには、国民的人気のある若手の安部晋三氏を起用したため、党内に批判のあった山崎拓氏の副総裁昇格の是非論は吹き飛んでしまった。
今行われている総選挙対策に関しても、安部新幹事長は、自民党の顔として よくその役目を果たしているように思われる。
 従来の組閣は、各派閥から出された閣僚候補の名簿に基づいて決められたものだが、9月22日の第2次小泉改造内閣組閣では この方式は採られなかった。
派閥とは無関係に、総理が独りで決めたため、党内にも マスコミにも 情報は全く漏れなかった。ここでも派閥は機能しなくなった。
 改革推進内閣と銘打って組閣された内閣の陣容を見ると、あらゆる抵抗をも撥ね退けて 改革を断行するという意図がよく窺える。
あれだけ党内に反撥が強かった竹中平蔵氏を そのまま留任させた。これは、あくまでも構造改革路線を貫く強い姿勢を党内外に示したことになる。
 国土交通大臣には石原伸晃氏を当てた。これまで行政改革担当大臣として道路公団民営化を推進してきた石原氏は、今度は攻守ところを変えて、道路公団を直接管掌する国土交通省に乗り込んで 民営化を推進することになった。
これまた、道路公団民営化に対する小泉さんの並々ならぬ決意を示したものと言えよう。
既に藤井日本道路公団総裁の更迭問題をめぐっても、藤井氏は辞表提出を拒み、抵抗を示したため、已む無く手間と時間がかかる解任手続きを取らざるを得なかった。石原大臣には、これからも大変な苦労が待ち構えているものと思わる。
 総務大臣には、前政調会長の大物代議士 麻生太郎氏を起用した。
郵政事業は、総務省の管轄だ。抵抗の多い郵政事業の民営化を 実力者麻生氏に賭けたのだろう。
麻生氏が郵政事業の民営化に どのくらい積極的なのか、よく分からない。しかし、総務大臣を引受けた以上、総理の意に沿って民営化を推進しなければならない。
地方財政「三位一体の改革」も小泉内閣の重要課題だ。
ここは麻生氏の手腕に期待したいところだ。

 今回の自民党総裁選、小泉再選は、党内派閥に大きな変化をもたらした。
一つは総裁選で、派閥の締付けが効かなくなったこと、もう一つは、組閣に際して派閥が全く関与できなくなったことだ。
これでは派閥に所属しているメリットは ほとんどなくなり、派閥の存在意義が半減した。結構なことだと思う。
 改革推進内閣の行く手には、強力な抵抗勢力が待ち受けており、前途多難だと思われる。
小泉さんが、組閣でも示したように 改革推進に強い姿勢を示せば、それだけ更に抵抗も強くなってくるだろう。

 去る10月10日に衆議院は解散し、来る11月9日には、いよいよ総選挙が行われる。
結果は予断を許さない。 小泉さんの人気と自民党の人気は別だ。
自民党自体が 構造改革推進の抵抗勢力だと国民の目にに映れば、小泉さんの人気がどんなに高くても 自民党の勝利はない。
自由党を合併して 装い新たに発足した新民主党に賭けてみようと思う国民も多いはずだ。
長年与党の座を独占して浸透した古い体質を 一掃するためには、この辺で野党の苦い経験をしてみるのも、長い目で見れば、自民党のためになるのかもしれない。(2003.11.01)

 次回は〔第66回〕「第43回総選挙の検証」(2003.11.15)

 【出来事】
  • 10月15日 中国 有人宇宙船「神舟5号」打上げ成功
  • 10月16日 国連安保理事会 米国等提出のイラクへの多国籍軍派遣等を盛り込んだ決議(1511)を採択
  • 10月17日 国土交通省 藤井治芳日本道路公団総裁の解任手続きとしての聴聞実施
  • 10月17〜21日 アジア太平洋経済協力会議(APEC) 於タイ バンコク(17〜18日閣僚会議 20〜21日首脳会議)
  • 10月17日 ブッシュ米大統領来日 小泉首相と首脳会談
  • 10月24日 石原国土交通相 日本道路公団の藤井治芳総裁を解任 本人に通知
  • 10月27日 プロ野球日本シリーズ 福岡ダイエーホークスが対戦成績4勝3敗で阪神タイガースを下し優勝
  • 10月28日 第43回衆議院選挙公示(投票日は11月9日)