◇第70回◇
二大政党時代は来るか
昨年11月9日の総選挙で、民主党は40議席増の177議席を獲得し、大躍進を遂げた。
一方、自民党も、現有議席には及ばなかったものの、保守新党を吸収合併して 単独過半数の244議席を得た。
少数党 共産、社民両党は大敗した。
マスコミは、この現象を二大政党時代の到来と報じた。
しかし、二大政党時代が到来したとみるのは まだ早い。
自民党の圧勝を嫌って 民主党に投票した人、現政権に対するチェック機能を期待して 民主党に投票した人も多かったのではないか。
そうだとすれば、一時的に議席数を増やしたとしても、民主党が 二大政党に相応しい安定した支持を得ているとは言い難い。
自民党による長期政権は、例外期間を除いて 半世紀も続いている。
自民党が これ程長く政権を維持できたのは、経済成長が順調に持続する等 その政策が 国民の支持を得てきたこともあるが、何よりも野党第1党の旧社会党が あまりにもお粗末だったことにつきる。
社会党は 野党第1党でありながら、もともと政権を取る意思がなく、専ら自民党政権に対する批判、抵抗政党に徹することを旨としていたように思われる。
そのため、社会党の政策や主張は、非現実的で無責任なものになり、また労働組合依存の階級政党的色彩が強く、国民政党として 広く国民の支持を得ることができなかった。
民主党が 本当に 二大政党の一翼を担うためには、まず旧社会党の轍を踏まないことだ。
批判や抵抗政党では駄目だ。常に 自らが 政権党であるならば という立場から、現実的で 実行可能な政策を 示さねばならない。
また、批判する場合は、民主党ならこうすると実行可能で 具体的な 責任ある代案を示すべきだ。
自民党であれ 民主党であれ、責任ある政治をするかぎり、どちらが政権をとっても 政治はそんなに変わるものではない。
色々批判をしてみても、現実に政権を取れば、民主党だって、結局は自民党と大同小異の政治にしかならないだろうし、またそれでよいと思う。
韓国では、一昨年の大統領選挙で、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が、若者達の反米感情をうまく掴み、アメリカとは 一線を画す政策を掲げて当選した。
盧武鉉大統領は、韓国の外交を大きく転換させるかと思ったが、実際に政権の座についてみると、現実には とても公約通りにはいかなかった。
大統領は、就任早々 アメリカを訪問し、ブッシュ大統領への就任挨拶では 反米イメージの払拭に努め、国内の反対論にも拘らず、大量の兵員をイラクに派遣して アメリカへの協力姿勢を 示さざるを得なくなった。
このため、支持率は極端に下がり、汚職問題も絡み、任期まで もつかどうかとさえ言われている。
( 韓国のイラク派兵は、今年 3,000人を追加派兵して 合計約3,500人となり、米英に次ぐ大量兵員を 派遣することになる )
戦後、半世紀もの長きに亘って 自民党が政権を担ってきたことは、自民党の政治が 国民に支持されてきたことを意味する。
政権に就こうとするなら、民主党も この事実を認識した上で 政策を考えるべきだ。
現政権の政策を ことごとく批判し、対立点の明確化に徹するだけでは、政権与党への道は開けない。
大部分の国民は、少しでもいい政治を 願っているのであって、極端な変化を 望んでいるものではない。
特に、政権交代によって 外交方針が変わるのは、国益に合致しない場合が多く、好ましくない。
政権交代が行われても 外交の一貫性は維持すべきだし、国民は、現政権とかけ離れた外交方針を掲げる政党への政権交代は 望まないだろう。
政党政治では 一党政権が長期化すると、その弊害が出てくるものだ。政官業の癒着、金権腐敗政治、官僚政治の横行…etc。
また、政治に緊張感もなくなってくるし、自民党の場合は、更に派閥の弊害も加わる。
特に、今の自民党政治を見てみると、小泉さんが掲げる構造改革路線に 自民党が結束して協力する態勢にはない。
道路公団や郵政事業の民営化、財政改革、社会保障等、小泉さんの政策について、党内族議員達 ( 反対勢力 ) が ことごとく足を引っぱっている。
当初、小泉さんが掲げた構造改革路線は、国民の圧倒的な支持を得たが、その後 小泉首相は 実行力がないと批判されるようになった。
実行力がないのは、本当は 小泉さんではなく、自民党と言うべきだ。
万年与党の座に安住している体質こそが、今の自民党の最大の弱点だ。民主党にとっては、今がチャンス、政権交代を狙うなら この自民党の弱点に着目すべきだ。
極端なことを言えば、民主党が 小泉政策と同じような構造改革路線を掲げ、党内が一致結束して その実現を図る態勢を国民に示し得たら、仮に それが小泉さんの二番煎じの政策であったとしても、もっと多くの国民の支持を得ることが できるかもしれない。
冒頭にも述べた通り、民主党は、昨年の総選挙では 無党派層 ( 浮動票 ) を多数取り込んだもので、安定した多くの支持層を掴んだとは まだ言えないと思う。党が新しいだけに、安定支持層 ( 基礎票 ) を持つ自民党との大きな違いが そこにある。
二大政党の一翼を担うには、多くの民主党支持層を 獲得することが課題だ。即ち、無党派層や自民党など他党支持者からの民主党支持者への転換を図り、支持層を増やすことだ。
政権担当の経験がない政党に、政権を託すことには、誰でも 一抹の不安を感じるものだ。
それだけに、国民の不安を払拭し、国民から 安心して政治を任せられる政党に 脱皮することが急務だ。
民主党は、まだまだ克服しなければならない課題を抱えている。
右は自民党から 左は旧社会党まで 幅広い層を抱えた中で、安全保障の問題、憲法問題など 国の基本に関わる事項について統一した方針や政策をまとめることができるか。
また、民主党政権になった場合、自らの政策の遂行に向けて 挙党一致態勢を確立できるか。
これらの問題は、今の民主党にとっては 極めて困難な問題だろう。しかし、政権を獲得するためには、どうしても克服しなければならないことだ。
安心して政権を任せられる健全な政党による 二大政党時代の到来を 国民は願っている。
先に、自民党は国民の支持を得てきたと述べたが、これは正確ではない。
自民党に代って 政権を担える政党がなかった、即ち自民党より ましな政党がなかったから、結果的に 自民党が 支持されてきただけだ。国民が 自民党を積極的に支持してきたわけではないし、自民党政治に満足しているのでは決してない。
むしろ 多くの人が 今の政治に 不信や不満を持っていると言うべきだろう。
民主党が、今年7月の参院選に勝利し、改選議席の半数近くの議席を確保すれば、更に二大政党時代に一歩近づくことになる。
衆参両院で 民主党が過半数を取ることは困難だし、民主党政権が実現するには、政界再編や連立など色々な過程を経ることになるだろう。
二大政党に向けての民主党に対する国民の期待は大きい。
今の自民党は、小泉効果のお陰で 何とか持ち堪えているが、このままでは 早晩政権を失うことになりかねない。自民党には、古い体質からの脱皮なくして明日はない。(2004.01.15)
次回は〔第71回〕
「国連至上主義を斬る」(2004.02.01)
【出来事】
- 1月1日 小泉首相 靖国神社参拝
- 1月4日(日本時間) 米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査機の1号機スピリットが火星着陸に成功
- 1月11日 大相撲初場所初日(両国国技館)
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