◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/02/01】



◇第71回◇
国連至上主義を斬る

 イラクへの自衛隊派遣の是非をめぐって与野党が対立している。
反対論の多くは、国連決議に基くものではないから というのが多い。
反対する民主党も、国連のお墨付きがあれば 問題はないようだ。
民主党の小沢一郎氏も、国連決議に基く多国籍軍には、日本も参加すべきだというのが持論だ。
 我が国では、与野党を問わず、国際紛争は 全て国連によって解決されるべきだという国連中心主義的な考え方が根強い。

 はたして国連は、そんなに頼りになるものなのだろうか。
国連が創設されて半世紀以上になるが、これまで 数多く発生した国際紛争の処理に 国連がどれだけ機能し、成果を挙げてきただろうか。
国連が 十分その役割を果たしたと言えるのは、1990年のイラクのクウェート侵攻による湾岸戦争ぐらいしか思い浮かばない。
国連ができて最初に遭遇した大きな国際紛争は、1950年に起きた朝鮮戦争だった。国連軍は 侵略者北朝鮮を相手に戦ったことになっているが、国連軍とは名ばかりで、実体は 国連のお面をかぶったアメリカ軍と北朝鮮、中共(中国)軍との戦争だった。

 国連は、1945年に 国際連盟に代る新たな国際機構として設立されたものだが、第2次大戦の遺物的な側面を持っている。
その一つが 国連憲章の中に今だに残っている旧敵国条項だ。 「旧敵国条項 」(国連憲章第53条 107条) とは↓
第2次大戦中 連合国の敵であった日本やドイツ等について 差別扱いを定めている。実際には死文化しているが、同条項の削除は行われておらず、半世紀以上経った今なお残っている。


 安全保障理事会では、第2次大戦の戦勝国 米、英、仏、露、中を常任理事国とし、これらの5カ国に拒否権を持たせている。
まさに 第2次大戦の遺物とも言うべきものだが、これこそが、国連の最も重要な役割 安保理活動の最大の障害になっている。
5カ国の意見が一致しない限り、国連安保理は全く機能しない仕組みになっている。
半世紀も昔の戦勝国5カ国だけで 国連を牛耳っていこうというエゴが、今も厳然と存在している。
今、イラク問題で国連が機能できないのも、元をただせば この拒否権にある。

 国連分担金も不合理だ。
 分担率は、各国の経済力 ( 国民総生産を基準 ) に応じて決まるが、トップのアメリカが22.0% ( 上限 )、2番目が日本で19.5%である。
国連加盟国が 192カ国もあるというのに、日米の2国だけで全体の40%以上も負担している。
旧敵国条項の対象国 日本とドイツだけで全体の3割(29.3%)も負担しているのも異常だ。
拒否権を有し 国連に大きな影響力を持つ常任理事国の中国は、僅か1.5%、ロシアに至っては実に1.2%という有様だ。
常任理事国は、拒否権と言う特権を持っている点を考慮すれば、少なくとも 10%以上は負担するのが筋だろう。
 国連分担金を滞納している国も多いが、中でも アメリカは 最大の滞納国だ。国連をそれほど重視していないのかもしれない。
日本は真面目に支払っている。

 このように 国連は 欠陥だらけの組織、欠陥機構と言っても差し支えない。
特に常任理事国の拒否権制度がある限り、期待される国連本来の機能を発揮することは 未来永劫にできないだろう。
 また、国連では 組織の肥大化、非効率さから来る財政危機も指摘されている。国連の行政改革も必要だ。
日本は国連の経費の2割近くも払っているのだから、国連改革に影響力を行使できるはずだ。国連の矛盾点や問題点を解消するための外交努力をすべきだ。
今だに 旧敵国条項の削除さへもできないでは、あまりにも情けない。

 我が国の安全は、国連に委ねるべきだとの意見がある。
  北朝鮮による国家犯罪、拉致問題に 国連がどれだけ動いてくれたか、ほとんど頼りにならないではないか。
北朝鮮の核開発問題も、米、中、露の意見が合致しなければ、国連は タッチできないではないか。
 もし、日本が 北朝鮮から攻撃を受けた場合、国連が助けてくれると思ったら大間違いだ。中国が拒否権を発動したら 国連は動けない。
やはり、同盟国アメリカに守ってもらうか、日本独自で自衛するか しかない。
アメリカの力を借りないとすれば、核保有国北朝鮮に対抗するには、我が国も 核保有国にならなければならない。
我が国自衛力で足らざるところは、同盟国アメリカに助けてもらうしかない というのが現実だ。

 民主党は、自衛隊とは別組織で、海外での治安維持活動などの国際協力を行う国連待機部隊の創設構想を提唱している。( 1月13日の党定期大会 )
国連傘下のもとでなら、国連待機部隊が 戦闘行為を伴う紛争地域での治安維持活動を行っても構わないということのようだ。
民主党には、国連待機部隊が 国連の指揮命令に従うのであれば、憲法が禁じた国権の発動にはならないとの思惑があるようだが、賛成できない。
 先に述べた通り、国連、国連と言うけれど、国連は そんなに信頼できる価値あるものではないと思う。
自衛隊は あくまで我が国の意思によって動くべきだし、国連に派遣すべき時は 我が国の自主的判断により派遣すればよい。
本来の自衛隊の外に 国連待機部隊を作るのは 二重組織で、国費の無駄使いだ。
 自衛隊の本来の使命は、我が国の防衛であって、他国に派遣しての国際支援活動は、災害派遣と同様 副次的な仕事に過ぎないという本質を見失ってはいけない。

 今の国連には、致命的な欠陥ある。
常任理事国の拒否権の問題をはじめ、改革すべき点が多い。
国連が創設されて半世紀も経過したのに、国連の改革は ほとんど行われたことがない。
各国の利害が対立する国際関係は、そんなに甘いものではないし、国連改革は これからも期待できないだろう。
 国連至上主義に基ずいて、我が国の安全を考えるのは極めて危険だ。
我が国と国連との関係は、常に国益に合致したものでなければならない。(2004.02.01)

 次回は〔第72回〕「自衛隊のイラク派遣論争」(2004.02.15)

 【出来事】
  • 1月16日 イラクへの陸上自衛隊先遣隊約30人がクウェートに向け出発 
  • 1月19日 第159通常国会召集(会期 6月16日まで150日間)
  • 1月25日 米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査2号機オポチュニティーが火星着陸に成功
  • 1月25日 大相撲初場所千秋楽 横綱朝青龍が全勝優勝
  • 1月29日 学歴詐称の古賀潤一郎衆院議員(民主党福岡2区)に対し 民主党は臨時常任幹事会で除籍処分を決定
  • 1月29日 北朝鮮への経済制裁を可能にする外国為替・外国貿易法(外為法)改正案が衆院本会議で賛成多数で可決(自民 公明 民主 3党の共同提案 社民は賛成 共産は反対) 参院に送付(2月6日の参院本会議で可決成立の見通し)
  • 1月30日 東京地裁 青色発光ダイオード(LED)の特許権を所有する日亜化学工業(徳島県阿南市)に対し 発明者の中村修二氏に200億円(請求額満額)の支払いを命じる判決