◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/03/01】



◇第73回◇
平成16年度政府予算と国家財政

 今国会で平成16年度の国の予算が審議されている。
平成16年度の一般会計の政府予算案概算は、下表の通りである。(単位は百万円)
歳  入
 1.租税及印紙収入
41,747,000 (50.8%)
 2.その他収入
3,773,925 (04.6%)
 3.公債金
36,590,000 (44.6%)
-
-
  合 計
82,110,925 (100%)
歳  出
 1.国債費
17,568,580
 2.地方交付税交付金等
16,493,484
 3.一般歳出
47,632,011
 4.その他
416,850
  合 計
82,110,925

 平成15年度の予算規模も約82兆円だったし、内容も前年度とほとんど同じである。

 予算総額は約82兆円だが、歳入は「1.租税及印紙収入」と「2.その他収入」を合わせても44,5兆円、即ち全体の約55パーセントしか収入はない。
不足分の約45パーセントは、「3.公債金」で、即ち今回も国債 (借金) を36.59兆円発行して補うというものだ。( 国債依存率約45% )
バブル崩壊後の税収不足を 補うための国債発行は、最近の予算の特徴だ。特に平成11年度からは 毎年30兆円を超える国債発行が続いている。
この結果、平成16年度末の国債発行残高は 483兆円となる見込みで、これは国民1人当たり378万円、年間税収の12年分に相当する。
 更に平成17年度以降も 新規国債発行額は 過去最高を更新し続け、我が国経済が 政府見込み通り順調に推移しても、平成19年度の国債発行は42,8兆円になると財務省は試算している。

 歳出約82兆円の内、約17.5兆円が 国債費として消えていく。したがって、これを差し引くと 実際に使える金は、地方交付金等を含めて約64.5兆円しかない計算だ。
( 国債費とは、発行した国債の利払いや償還等に当てる経費で、国債発行残高が累増するにつれて国債費の割合も高まり、国の財政を圧迫していく )

 これを、家計に例えれば、例えば300万円しか収入がないのに 毎年200万円づつ借金をして 500万円の生活をしているようなもだ。
しかも、この500万円からは、これまでたまった借金の利子や元本を100万円づつ払っていかねばならない。( したがって、実際に生活に使える金は400万円 )
こんな生活が いつまでも続くはずはない。
節約して 300万円に見合ったつつましい生活にするか、もっと働いて500万円の収入をあげるか、或いはその中間をとって、生活を少し切り詰め、収入を もっと増やして400万円の生活をするかであろう。
 これが企業なら もうとっくに倒産している。
国は 国債を発行して金を調達できるが、こんな企業には 銀行は金を貸してくれない。

 国債発行残高は 483兆円になる見込みだが、これが国、地方を合わせた長期債務残高になると、平成16年度末で 実に719兆円になると見込まれている。
 このまま 財政悪化が続いていけば、先は一体どうなるのだろうか。政治やマスコミの世界でも、これについての深刻な議論はあまり聞かない。
今は低金利時代だが、将来 金利が上がったら、累積債務は 金利負担に堪えられず財政破綻につながる。
このまま国債発行を続ければ、いづれ国債の暴落を招くだろう。それが 何を意味するかは容易に想像できる。
累積債務を解消し、財政再建のためには インフレにする必要があると言う意見 ( インフレターゲット論 ) もあるが、インフレになれば金利も上がる、金利負担によって 財政は更に圧迫されるというジレンマがある。
 今の我が国の逼迫した財政については、政治家は勿論、国民も もっと深刻な問題として認識すべきだ。

 自民党政府は、2010年代初頭に プライマリーバランス ( 基礎的財政収支 ) の黒字化を達成すると言っているが、このままでは到底無理だろう。
今後 税収が飛躍的に伸びていくことは期待できない。
 歳出削減のためには、公共事業等の徹底縮減は勿論、これまで当然増経費とか義務的経費と言われてきた分野、例えば公務員のリストラ (人員削減や給与の引下げ) や国会議員の定数や歳費の引下げをはじめ、社会保障費をも含む あらゆる分野にメスを入れる必要がある。
バブル崩壊後、民間企業が行ってきた 厳しいリストラや合理化、企業努力を考えると当然のことだ。
同じ経済社会の中にあって、民間が血の滲むような努力をしている時、国や地方自治体も例外であるはずがない。

 政府や政治家には、国や国民の将来について 責任ある政治をしてもらいたい。
例えば、道路族議員は、国の財政がこんなに逼迫しているのに、道路を作ることは 子や孫に財産を残すことになるのだから、以前決めた9,342キロの道路は あくまで作るべきだと主張している。
しかし、これは、将来 子や孫に 更に大きな借金を残すだけだ。
財政が好転するまで 道路建設は棚上げにするのが常識ではないか。財政が好転した時に、必要な道路建設について検討すればいいではないか。
道路族議員の態度は、将来の国民に対して まことに無責任というべきである。また一度決めたことは どんなに事情が変わろうとも それに固執する態度は、柔軟性を欠き、硬直的な考え方だと言わざるを得ない。
 今の政治家は 与野党を問わず、「場当たり主義」、問題の「先送り主義」や「迎合主義」が目立ち、国の将来を考える政治家が少ないのは残念だ。

 今、年金の財源をめぐって大きな問題になっているが、少子高齢化を迎え 年金財源がもたなくなることは、今始まった話ではない。
10年も20年も前から 分かっていたことではないか。
問題の先送り主義や場当たり主義の結果が 今の深刻な問題を生んでいる。
先を見通して早めに手を打っていたら、こんなに深刻な問題には ならなかったはずだ。
 それでもなお、今年は 参院選挙を控えているため、抵抗の強い課題は避け、将来への持続可能な年金制度への改革、再構築は先送りされてしまったようだ。( 将来の厚生年金保険料の上限は 18.30%に下げられたし、70歳以上の高所得者に対する厚生年金の保険料負担やパートタイマーへの厚生年金適用拡大は 見送らた…etc )
 この種の問題は、年金問題に限らず沢山ある。確かな構造改革の必要性が叫ばれるのもこのためだ。(2004.03.01)

 次回は〔第74回〕「6カ国協議と拉致問題(その1)」(2004.03.15)

 【出来事】
  • 2月18日 イランで石油製品等積載の貨物列車が爆発炎上 死者320人 負傷者数百人との情報
  • 2月21日 国連アナン事務総長 来日(23日小泉首相と会談 24日国会演説 25日離日)
  • 2月24日 モロッコで地震 死者500人以上 負傷者多数
  • 2月25日 北朝鮮の核問題等をめぐる第2回6か国協議開催 於北京(28日まで)
  • 2月27日 オウム真理教 麻原彰晃(本名松本智津夫48才)に死刑判決 東京地裁