◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/04/01】



◇第75回◇
6カ国協議と拉致問題(その2)

 6カ国協議と言っても、5カ国が 北朝鮮に核廃棄を求めるという 言わば5対1の会議なのだが、参加各国の北朝鮮に対する姿勢や思惑が、夫々異なるため 仲々うまくいかない。
 元々、北朝鮮に核廃棄をさせるのに、北朝鮮も加わった6カ国協議の話合いでやること自体がおかしいのである。
北朝鮮を除く5カ国が協議して、北朝鮮に核廃棄を迫るというのが本当ではないか。
ロシアや中国は 6カ国協議がうまくいかないのは、米朝間の対立が深いからだ等と言っている。
これでは、6カ国協議ではなく、2カ国協議だ。他の4カ国は立会人みたいなものだ。
 また、先日の6カ国協議( 去る2月25日〜28日 )で合意されたという作業部会の開催の目途さえも まだついていない。

 中国とロシアは、北朝鮮とは お互いに友好国、同盟国の関係にあるため、友好を害するような対応は取りたくない。
しかし、この両国は、地理的にも 北朝鮮に隣接しているため、内心では北朝鮮の核保有を最も苦々しく思っている国に違いない。
北朝鮮に強硬なアメリカに期待して、うまく立ち回って 北朝鮮核廃棄の表舞台には立ちたくないというのが本音だろう。
 韓国は、民族的には北朝鮮は同胞だし、将来統一された時の首都をどこに置くべかということまで内々議論されているらしい。
今年のアテネ五輪では、南北朝鮮選手が 合同で行進することで合意しているし、2008年の北京五輪では、南北統一チームでの参加についても協議することになっている。
 このように、中国、ロシア、韓国は 北朝鮮と特殊な関係にあり、圧力をかけてまで 北朝鮮に核廃棄を強く迫る意思はない。
北朝鮮に対して最も強硬なのが アメリカだと言われるが、最も筋が通っているのも アメリカだと思う。

 対北朝鮮についての我国の立場は、核問題の外に 拉致問題という深刻な問題を抱えていることだ。
また、我国領海に工作船を出没させ、麻薬密輸等の国家犯罪を平気で行い、更には東京を火の海にする等と豪語して はばからない危険極まりない国である。
このように考えると、北朝鮮に対しては、我国が 最も強硬であって然るべきなのである。
我国の立場を 関係諸国に十分説明すれば、北朝鮮に対して強硬姿勢をとっても“それは無理もない”と理解を得られるはずだ。
 北朝鮮は、アメリカを重視している。アメリカが同意すれば、日本は それに従うと見ているからだ。
6カ国協議で アメリカが主導権を握るのも結構だが、我国も 置かれた立場や主張を十分にアピールして、日本が同意しければ 6カ国協議の結論はあり得ないという姿勢を 鮮明にすべきだ。
それによって 北朝鮮の顔を こちらに向けさせる、それが外交というものだ。

 これまで我国は、日、米、韓3カ国の連携強化や意思統一を重視してきた。
しかし、前述のように、韓国と日米では、対北朝鮮政策に かなり相違が見られる。
日、米、韓の完全な意思統一は無理だろう。
日、米が 韓国を説得する場面も出てくるだろうし、夫々異なった対応をする場面も 出てくることを承知しておかねばならない。

 北朝鮮問題に対する小泉さんの姿勢にも、いささか疑問を感じる。
小泉さんは、北朝鮮問題について 「日朝平壌宣言を基本に、拉致問題、核、ミサイル問題の包括的な解決を目指し、6カ国協議等を通じて平和的な話合いによって 北朝鮮の核開発の廃棄を強く求めていく」と自らの基本姿勢を述べている。
 しかし、「日朝平壌宣言を基本に…」と言うが、北朝鮮は日朝平壌宣言を 既に破っているではないか。
 例えば
  • 日朝平壌宣言に「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した」とあるが、北朝鮮が 日朝平壌宣言に違反して、米朝合意 即ち“国際的合意”を遵守しなかったから 今日の事態を招いている。
  • 小泉さんは、日朝平壌宣言で拉致問題についても触れている、即ち「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、〜(中略)〜遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。」という部分が、それだと主張する。
    それなら、拉致被害者の家族達を 今だに帰さないことこそ 日朝平壌宣言違反だ。
それでも、日本政府は、北朝鮮が 日朝平壌宣言を破っているとは 決して言わない。
 また、「平和的な話合いによって…」とは いかなる意味で言っているのだろうか。
「平和的」と言わなければ、日本は“武力を使う”と相手に誤解されるとでも思ったのだろうか。まさか。
アメリカは、まだ「平和的に」とは言っていない。
北朝鮮は、核凍結の見返りに、アメリカに“安全の保証”も求めている。アメリカは、武力による核廃棄の選択肢も捨てていないからだ。これが 北朝鮮には 大きな圧力になっている。
北朝鮮に圧力をかけるべき時期に、わざわざ「平和的な話合いによって…」等と強調して言う必要はない、これでは北朝鮮に圧力をかけるどころか 逆に安心させるだけだ。
 また、小泉さんは 政府の基本方針として「北朝鮮との核、拉致等の諸問題を総合的、包括的に解決して 日朝国交正常化を実現したい」とも述べている。
これまでの北朝鮮の態度から見ても、日朝国交正常化が 簡単に実現するとは思えないし、日朝国交正常化は、北朝鮮にとっては大きな利益をもたらすだろうが、現状では 我国の国益に資するところはない。
我国としては 日朝国交正常化を急ぐ必要は微塵もない。
「日朝国交正常化を実現したい」等という政府筋の積極発言は、北朝鮮に誤ったシグナルを送ることになる。
( 私は、金正一体制下での日朝国交正常化は 好ましくないと思っている )

 去る2月12〜13日、平壌で行われた対北朝鮮政府間交渉に、外務省は 田中均外務審議官を出席させた。
田中均外務審議官は、これまで北朝鮮寄りとも受取られるような振舞いで、国民に 根強い不信感がある人物だ。
北朝鮮側から指名があったこと、北朝鮮高官との個人的なパイプを持っていることから 田中審議官を出席させたものと思われる。
国家間の外交交渉が、個人の人脈等で左右されていいものだろうか。
国民の信頼がない田中氏を使わねばならない程、外務省は 人材不足なのだろうか。
田中氏が 如何に有能であっても、これほど国民に不信感がある人物に 国の交渉を任せるわけにはいかない。
政府は、責任者は あくまで薮中三十二アジア大洋州局長だったからと弁解している。
こんな調子では 北朝鮮から足元を見られるだけだし、外務省に対する国民の不信感は 一層深まるだけだ。
田中氏は 外交交渉担当から即刻外すべきだ。

 北朝鮮問題、特に拉致問題に関しての政府の対応は まだまだ甘い。
北朝鮮による拉致という現に進行中の主権侵害行為について、政府や与野党の政治家は、どれだけ深刻に認識しているのだろうかと疑いたくなることもある。
関係諸国に実態を明らかにし、我国の毅然たる姿勢を明確に示すことだ。戦略、戦術はその後だ。 (2004.04.01)

 次回は〔第76回〕「魚釣島不法上陸事件で またまた見せた政府の弱腰外交」(2004.04.15)

 【出来事】
  • 3月14日(現地時間) ロシア大統領選 ウラジーミル・プーチン氏再選
  • 3月16日 東京地裁 「週刊文春」(3月25日号 17日発売)の出版禁止の仮処分を決定(田中真紀子衆院議員の長女が 私生活に関する記事を巡り出版禁止の仮処分を申立てたもの)
  • 3月17日(現地時間) イラクの首都バグダッドでホテル爆破テロ 死傷者多数
  • 3月20日 台湾総統選挙 民主進歩党の陳水扁総統が僅差で連戦国民党主席を破り再選 連戦氏は高等法院(高裁)に選挙無効の訴状を提出
  • 3月22日 イスラム原理主義組織ハマスの創始者アハマド・ヤシン師 イスラエル軍のヘリコプターからのミサイル攻撃を受け死亡
  • 3月23日 第76回選抜高校野球大会開幕(甲子園球場)
  • 3月24日 沖縄県警 尖閣諸島の魚釣島に不法上陸した中国人活動家7人を逮捕 (26日強制送還)
  • 3月26日 平成16年度政府予算 参院本会議で賛成多数で可決 成立
  • 3月27日 パ リーグ公式戦開幕
  • 3月28日 大相撲春場所千秋楽 横綱朝青龍が全勝優勝