◇第76回◇
魚釣島不法上陸事件で またまた見せた政府の弱腰外交
去る3月24日、中国人7人が、我国の領土 尖閣諸島・魚釣島(沖縄県石垣市)へ不法上陸し、沖縄県警に逮捕されるという事件が発生した。
上陸した7人は、「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のメンバーとされ、 我国海上保安庁の制止を振り切って 日本領海内に侵入した船から 手こぎボートで強行上陸した。
同日中に、沖縄県警によって 7人全員が 不法入国現行犯で逮捕され、那覇市内の警察に 身柄を移された。
26日には、那覇地検へ送検すると伝えられていたが、政府は、同日午後 突如方針を転換し、直ちに7人を中国へ送還してしまった。
政府は、国内法令に従って厳正に対処すると言っていたのに、国内法令を無視し、外交上の配慮を優先させてしまった。
特に、7人の中で馮錦華容疑者は、2001年8月、靖国神社の こま犬の台座に落書きをした事件で、懲役10ヶ月執行猶予3年の有罪判決を受け 現在執行猶予中の人物だ。
現地魚釣島では、神社のほこらが損傷していたり、開拓者顕彰碑の表面に「中国の領土」という意味の文字が中国語で落書きされているのも確認されている。
余罪等を調べる必要があったのに、送検もしないで 即時 強制送還するという法治国家にあるまじきことを、政府自らが 犯したことになり、極めて遺憾だ。
このニュースを聞いた時、私は2001年5月の北朝鮮 金正日の長男 金正男の偽造パスポート密入国事件を思い出した。
密入国者が金正男だと分かったため、政府は取調べや身元確認さえもせずに、即刻 外務省高官を6人もつけて ファーストクラスの飛行機で 北京に 丁重に送り帰した事件だ。
これこそ、政府自体が法律を無視し、我国の主権を自ら放棄したようなもので、我国外交の一大汚点だと思っている。
こんなことでは、国際社会からも軽視されるし、この種の不法事件は 今後も繰返される。
立場を変えて、中国の領土に 日本人が、日の丸を持って 中国官憲の制止を振り切って上陸したら、中国側はどうするだろう。
当然 逮捕され、実刑を課され、日本政府がどんなに抗議をしても 当分帰国できないだろう。しかし、これが 常識だ。
この種の事件の再発防止のためには、魚釣島に海上保安庁や防衛庁の警備施設を作り、要員を常駐させ、普段から我国の実効支配を 明確にしておく必要がある。
中国を刺激するからと これもできないようなら、事件の再発は防げない。
これまでの我国の弱腰外交は、既に外交上の数々の失態をもたらし、国益を害している。
韓国との間では 島根県の「竹島」問題を抱えており、韓国人が竹島に 不法に上陸したり、竹島の切手を発行して領有をアピールしている。また、日本海の呼び名を「東海」とすべきだ等と 勝手なことを 主張している。
中国では、これまで太平洋等の我国の排他的経済水域で、我国に無断で海洋調査を繰返している。これは明らかに国連海洋法条約違反であり、我国の度重なる抗議も無視されている。
2002年5月に発生した中国瀋陽市の日本総領事館への 中国官憲の不法侵入事件等も、我国の曖昧外交がもたらしたものと言える。
今回の事件に関しても、日本に抗議する中国人達が、北京の日本大使館前に押しかけて、日章旗を焼く事件が発生したが、中国の警官達は これを制止せず、黙認していた。この件について川口外相が、中国の李肇星外相に抗議したが、中国側は これを黙殺している。
中国側のこのような態度は、著しく国際常識を欠くものだが、それなら そのように我国も 対応しなければならない。
少々のことをしても、日本は弱腰で、何もできない国だと思われるている ( 俗な言葉で言うとバカにされている )。こうなると、もう何をされるか分からない。
北朝鮮の拉致問題、不審船問題なども、我国の弱腰外交の結果だと断言できる。日本国内で 日本人が外国に拉致されても、日本政府は、これを防ぐこともできない、助け出すこともできない。残念ながら これが日本外交の現実だ。
ロシアとの北方領土返還交渉が うまくいかないのも、常日頃の我国の弱腰外交が影響していることも間違いない。
中国や韓国は、靖国神社問題や歴史教科書問題等について、不当な内政干渉を行なっている。
しかも、両国は、これを外交カードに使っている。
日本政府は、一度だって これを、内政干渉だと言ったことがあるか。
日本政府は、中国や韓国が行なっている反日教育に対し、抗議したことがあるか。
近隣諸国から このような不当な内政干渉を受けるのも、我国の事なかれ外交や弱腰外交に起因している。
大げさに言えば、今の我国に、まともな外交はない。
憲法前文に「〜国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と書いてあるが、このままでは 「名誉ある地位」どころか バカにされる国になってしまう。
小泉さん得意の「冷静に」「慎重に」も結構だが、外交に関しては毅然として筋を通してもらいたい。
そのことが国際社会からの信頼を得る近道だ。
(2004.04.15)
次回は〔第77回〕
「首相の靖国神社参拝違憲判決」(2004.05.01)
【出来事】
- 4月2日 セ リーグ公式戦開幕
- 4月4日 選抜高校野球大会決勝戦 済美(愛媛)が愛工大名電(愛知)を6対5で破り優勝
- 4月7日 福岡地裁 首相の靖国参拝は憲法違反との判断を示す
- 4月8日 イラクで武装勢力が日本人3人を拘束 3日以内に自衛隊が撤退しなければ3人を殺害すると脅迫 (カタールの衛星TV"アル・ジャジーラ"が放映)
3人は高遠菜穂子(34) 郡山総一郎(32) 今井紀明(18)の各氏
- 4月10日 米チェイニー副大統領 来日(13日まで滞在 その後中国 韓国へ)
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