◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/06/01】



◇第79回◇
子供の使いと言われた小泉訪朝

 去る5月22日小泉総理は、金正日総書記との首脳会談を行うため、北朝鮮平壌を訪問した。
拉致被害者や家族の会はもとより、多くの国民は、現地に取り残された拉致被害者の家族8人の帰国、死亡したと発表された人達や行方不明者の徹底究明がなされ、拉致問題が大きく前進するものと期待した。
しかし、この期待は見事に裏切られた。

 今回、蓮池さん、地村さん夫妻の子供達5人が帰国できたのは、本当に良かった。
曽我ひとみさんについては、夫のジェンキンスさんが脱走兵として訴追されることを恐れて、日本行きを断った。2人の娘さん達も父親1人を残して日本に帰ることができないという気持ちは よく分かる。
ジェンキンスさんの訴追問題は、ひたすらアメリカにお願いするしかない。何しろ軍規厳しい軍隊で、敵国に脱走亡命したのだから アメリカの厳しい姿勢も理解できる。
今回、曽我ひとみさんの家族が帰国できなかったのは致し方ない。

 日帰り訪朝では、突っ込んだ議論をするためには、十分な時間が確保できないのではないかと思った。
ところが、実際の会談は、11時過ぎから12時30分過ぎまで、僅か1時間30分で終わった。
12時30分に会談終了と聞き、これは午前の会談が終わったものと思った人が多かったのではないか。
1時間半と言うが、通訳を入れての会談だから、実質約40分の会談ということになる。
わずか40分の話合いで、何が議論できるだろうか。金正日との間では、激しい議論は行われていない、事前に合意されたものを確認するなど形式的なものだったと断言してもいいだろう。
不明者の問題にしても、さまざまな目撃情報もあるし、北朝鮮の調査内容の矛盾点など指摘主張すべきことは山程ある。何故突っ込んだ話をしなかったのか。
会談は北朝鮮のペースで進んだように思われる。
 日朝首脳会談に当たり、拉致被害者や家族会の要望は平沼拉致救出議員連盟会長を通じて小泉首相には十分伝わっていたはずだ。
粘り強い会談を期待していたのに、小泉さんは、この期待を完全に裏切ってしまった。

 小泉さんの今回の日朝首脳会談の狙いの中心は、拉致問題ではなく、北朝鮮との国交回復にあったようだ。
拉致問題は日朝国交回復の障害になっているから、拉致問題を解決しなければならない、日朝国交回復のための拉致問題解決というのが小泉さんのスタンスとみるべきだ。
小泉さんは、一昨年の日朝平壌宣言を再確認し、国交正常化のための訪朝だと はっきり言っている。
 北朝鮮との早期国交正常化が必要だと小泉さんは言っているが、我国にとって国交正常化を急ぐメリットが何処にあるのだろうか。
今、国交正常化をしても、北朝鮮に経済支援の約束をさせられるだけで、我国が得るものは何もない。国交正常化を急ぐあまり、誤った対応をすることは 国益を大きく害することになると思う。

 小泉訪朝の目的の一つが、日朝平壌宣言の再確認と言っているが、日朝平壌宣言は北朝鮮により、既に破られており、今更再確認する意味はない。即ち
  • 日朝平壌宣言に「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した」とあるが、北朝鮮が 日朝平壌宣言に違反して、米朝合意 を遵守しなかったから 今日の北朝鮮核問題を招いている。
  • 日朝平壌宣言の中で「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、〜(中略)〜遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。」という部分が、拉致問題に関する部分だと言うが、それなら今まで、子供達を日本に帰さなかったこと等は、適切な措置をとらなかったことになり、明らかに日朝平壌宣言違反だ。

   不明者10名についての再調査を北朝鮮が約束したと言うが、全く期待できない。
正確な調査を担保するものがないのが致命的だし、またねつ造した資料を出してくるに違いない。調査に日本側の参加を認めると言われても、北朝鮮が自由に調査させるはずがない。
 しかも、政府は国交正常化交渉の中で真相究明をしていくと言っているが、これも大きな間違いだ。
国交正常化交渉は、拉致問題が全て解決してから始めるべきだ。
 不明者10名のことだけが取り上げられているが、その外にも数百名の行方不明者が居り、北朝鮮に拉致された可能性が強い。
これらの行方不明者についても、10名と同様 徹底した真相究明が行われねばならないし、 その外にも、責任追及の問題、損害賠償の問題等、究明追及すべきことは沢山ある。
 小泉さんの最近の動向を見ると、拉致問題は この辺で けりをつけようという意向が見え隠れする。

 今、6カ国協議が行われている核開発問題については、金正日は交渉相手はアメリカと考えており、小泉さんが相手にされないのは初めから分かっていた。
 このように考えると 小泉さんは、政府専用機を2機も飛ばして 一体何のために訪朝したのか、訪朝の成果は何もなかった。
日本の総理大臣が迎えに来ないと子供達は帰さんぞと言われて、のこのこ出かけて行っただけだ。
日本の総理大臣も軽く見られたものだ。

 成果がなかったと言うだけではない。日朝首脳会談が我国の国益を害することになってしまった。
小泉さんは、25万トンの米支援と1,000万ドルの医薬品の無料提供を申し入れたが、何故この時点で こんな経済支援の約束をしてしまったのか。
小泉さんは、これは人道的なもので 国際機関を通じて支援するものだから見返りではないと弁解するが、誰もが5人帰国の見返りだと見ている。
 更に、経済制裁は 発動しないと言ったことだ。
日朝平壌宣言を遵守する限りという条件が付いていると言うが、それなら北朝鮮側は 既に日朝平壌宣言を破っているのだから、即刻 発動すべきだ。
 逆に 経済制裁に関しては、北朝鮮が拉致問題等について誠意をもって対処しなければ、いつでも発動する用意があると言うべきではなかったのか。
北朝鮮に経済制裁の圧力をかけるため、せっかく議員立法で外為法を改正したのに、総理大臣自らが これを反故にしてしまう、こんなことが許されていいのだろうか。

 今回の首脳会談で 北朝鮮は、拉致という国家犯罪さえ外交カードに使い、米や医薬品をまんまとせしめた。
更に小泉さんは、在日朝鮮人に差別は行わず、友好的に対処する等と約束をさせられた。これは、朝鮮総連施設への課税、万景峰号の検査等についても影響を与えかねない由々しき問題だ。
 これだけではない。去る5月28日小泉さんは、朝鮮総連全体会議に祝意を伝えるメッセージを送った。
朝鮮総連は本国へ不正送金をするなど犯罪集団ではないか。また在日朝鮮人が拉致や工作員活動に関わっていることは広く知られている。
こんな朝鮮総連にメッセージを送るとは、これが日本の総理大臣のやることか、まさに言語道断としか言いようがない。
 家族連絡会副代表の飯塚繁雄さんが、今回の小泉訪朝を「子供の使い、いやそれ以下だ」と言って批判していたが、全く同感だ。 (2004.06.01)

 次回は〔第80回〕「どうなるイラク問題」(2004.06.15)

  【出来事】
  • 5月17日 イラク統治評議会議長アブドルザハラ・オスマン氏 自爆テロにより死亡
  • 5月17日 民主党の小沢一郎氏 国民年金に未加入期間があったことが判明し 同党代表就任辞退を表明
  • 5月18日 民主党 党代表に岡田克也氏を選出(両院議員総会)
  • 5月22日 小泉首相 金正日総書記との首脳会談のため訪朝
  • 5月22日 北朝鮮拉致被害者 蓮池 地村両家の子供達5人が帰国
  • 5月22日 大相撲夏場所千秋楽 横綱朝青龍が13勝2敗で並んだ北勝力を優勝決定戦で破り優勝
  • 5月27日 イラクのバグダッド近郊で日本人フリージャーナリスト2人を含む4人が乗った車が銃撃され 日本人2人と通訳が死亡
  • 5月29日 九州 四国 中国地方梅雨入り宣言