◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/07/01】



◇第81回◇
年金制度改革をめぐって

 去る6月16日、第159通常国会は、150日間の会期を終えて閉会した。この国会の大きな焦点は年金問題だった。
少子高齢化社会や経済不況のため、このままでは 将来 年金財源が不足し、年金支給ができなくなるというものだ。
問題は財源不足の一点にあるのだから、保険料収入の確保 (保険料の引き上げ) と保険給付の引下げしかない。
国民のコンセンサスを得ながら、将来に亘って維持できる合理的な制度をどう作りあげていくかである。
 年金破綻の問題は、今始まったものではない。既に10年20年前から分かっていたことだ。
政治や行政の“事なかれ主義”や“先送り主義”などの無責任体制で今日まで放置されてきたものだ。
年金制度の抜本改革は、遅きに失したけれど、国民生活には極めて重要な問題である。

 しかし、年金国会と言われた先の国会 (第159通常国会) では、年金制度改革の中身に関する与野党間の議論は、国民の目には ほとんど映らなかった。
特に野党民主党は、年金自体の議論より、政府自民党のアラ探しに奔走してしまった。
 厚労省が国民年金保険料納入PRのため、女優の江角マキコさんのポスターを使ったところ、江角さん自身が保険料未納であったことが判明、民主党の菅代表は、ここぞとばかりに 江角さんを国会に招致すべきだと主張する始末だ。
これから国会で 重要な年金問題を真剣に議論すべき時に、年金制度の抜本改革には直接関係ない江角さんを、国会に招致してどうしようというのだろう。一体何を考えているのかと言いたい。
 中川、麻生、石破各大臣らの保険料未納が明らかになると、菅代表は、まるで鬼の首でも取ったように「未納3兄弟」と面白おかしく宣伝し、責任追及をしようとした。
未納閣僚達は、うっかりミスを認め、陳謝しているのだから これ以上追及すべきことではない。過去の保険料未納のうっかりミスと大臣の資質や職務とはおよそ関係がない。
菅民主党にとっては、国民生活に極めて重要な年金制度の改革よりも、個人の保険料未納問題の方が重要らしい。
 その内に、菅氏自身が、保険料未納であったことが判明した。
本人は さぞバツが悪かったと思うのだが、そこはさすが国会議員、それでも色々弁解して自らの責任は仲々認めようとしなかった。こんな態度を見ると、国会議員である前に、人間としての資質を疑わざるを得ない。
 福田官房長官は、自分にも未納期間があったとして、さっさと官房長官を辞めてしまった。
菅氏は、福田氏に先を越された形で代表辞任に追い込まれてしまった。当然の成り行きだ。
 小泉首相が、昔 国民年金加入が任意であった時期に、加入していなかったことについても 民主党は問題にした。
国民年金加入が任意であった時期なら、加入しようとしまいと、勝手ではないか。当時の未加入は何ら非難されることではない。
菅氏の後任代表を 一時引き受けた小沢一郎氏も、国民年金加入が任意の時期に 未加入であったとして、代表就任を辞退してしまった。小泉さんを批判した手前、辞退せざるを得なかったのだろう。全くつまらん事だが、これも自業自得だ。

 国民年金保険料のうっかり未納については、本人は反省してもらわねばならないが、責任追及すべき程の問題ではない。
これからの年金問題をどう構築していくかという国民にとって最も重要な問題を ないがしろにしておきながら、参議院では 意味のない馬鹿げた議事妨害のための長時間演説や旧態依然たる牛歩戦術の抵抗姿勢は、国民に 決していい印象は与えない。
問題の本質には関係がない個人の保険料未納問題ばかりを取り上げ、年金制度改革さえも党利党略に使おうとする民主党は、野党としても失格だ。
 福田官房長官も未納問題で辞任したのは理解できない。菅氏がもたもたしていたので、一撃食らわすための作戦だっとすれば分からぬでもないが…。
 マスコミの中にも、テレビのニュースキャスターが、保険料未納があったとして、番組の中で謝罪したり、しばらく出演を自粛したりした者もいたが、私に言わせれば漫画的としか言いようがない。
ニュースキャスターなる人種は、こんな問題でも国民に謝罪しなければならない特権階級だと思い上がっているのかもしれない。

 冒頭にも述べたように、年金問題は 一言で言えば金がないということだから、制度改革は、保険料や税金を引き上げるか、給付を引き下げるか しかない。いずれにしても国民に負担を求めることになるのである。
 今、年金改革問題は、来たるべき参院選挙( 7月11日投票 )の争点にもなっている。
「それでは国民負担を増やすことになる…」等と相手党を攻撃する政党は多いが、年金改革には 国民負担増は避けて通れないことを、率直に示して年金改革を訴える政党は少ない。
これでは、選挙目当ての大衆迎合主義で、年金改革問題を真剣に考えているとは到底思えない。抜本改革は程遠い。

 先の国会での年金の議論は、国民にほとんど見えなかった。その責任は政府与党にある。
政治の怠慢 ( 場当たり主義、事なかれ主義、先送り主義 ) が、今日の事態をもたらしていることも率直に認めねばならない。これは与野党に責任がある。
保険料積立金の不適切な運用 ( 回収困難な保養施設グリーンピア等への投資など ) や流用なども明らかにして 責任を明確にしなければ、年金制度への国民の不信感は解消しない。
 去る6月5日、年金改革関連法案は、野党の抵抗の中で参議院で可決成立はしたが、将来に亘って通用する抜本改革とは程遠い内容だ。近い将来 必ず見直しが必要になる。抜本改革の早期実現が望まれる。
低負担 高福祉と言うわけにはいかないのだから、その点を国民に訴えることから始めねばならない。(2004.07.01)

 次回は〔第82回〕「曽我ひとみさんの問題」(2004.07.15)

  【出来事】
  • 6月16日 第159通常国会閉会
  • 6月21〜22日 北朝鮮核問題6カ国協議作業部会 於北京
  • 6月23日 北朝鮮核問題をめぐる第3回6ヵ国協議(26日まで) 於北京
  • 6月24日 参院選公示 (投票日は7月11日)
  • 6月28日 イラク暫定政府への主権移譲完了