◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2004/10/01】



◇第87回◇
たかがプロ野球

 今回、プロ野球界では、オリックス・ブルーウェーブと近鉄・バファローズの合併問題に端を発した球界再編問題で、球団側と選手会側が激しく対立し、選手会側は9月18日(土)と19日(日)の両日、プロ野球初のストライキを行った。
マスコミは この問題を大きく捉えて報道した。ストが回避されたと言っては 号外を、またスト突入と言っては号外を出し、一般紙も一面トップで「スト決行」とか「スト収拾」などと派手な見出しを載せた。
たかがプロ野球のストライキで、マスコミがこんなに大騒ぎをするとは、日本は まことに平和な国だ。
 結局、9月23日、新規参入を希望する球団 (「ライブドアー」「楽天」) の審査を早めて、来期は12球団2リーグ制を維持する方向で決着した。

 プロ野球選手がストライキをするのは自由だが、労働組合法で保護される争議行為には当たらないと思う。
選手会は、労組法でいう労働組合ではないはずだ。また、選手は労基法でいう労働者でもない。
選手は、各個人夫々が球団側と交渉して契約金や報酬を契約で決める。即ち、選手一人一人が個人事業主だからだ。
一般の労働者のように 就業規則や賃金規則によって労働条件が決められる雇用関係にはなく、選手と球団の関係は契約関係である。(都労委が労働組合であることを認めたと言うが、それには賛成できない)
したがって、選手会のストライキは、労組法上 保護される争議行為には当たらず、ストに対しては賃金カットではなく、債務不履行の損害賠償の責任が生ずることになる。

 仮に選手会が労働組合だという立場にたっても、球団の合併や存続に関することは、経営側の専権事項であり、労使間の団体交渉やストの対象にはならない。(但し、これによって、解雇が生じたり労働条件が不利になる場合は この限りでない)
 古田敦也選手会長がオーナーたちと話をしたいとの発言を受けて、読売ジャイアンツの前オーナー渡辺恒雄氏が「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が…」と言って世間の顰蹙(ひんしゅく)を買ったが、その気持ちは分る。
渡辺発言は間違ってはいないが、あまりにも堂々と言い過ぎただけだ。

 闇雲に合併反対を叫んで いくら署名運動をしても、球団の経営が成り立たねば仕方がない。慈善事業ではないのだから。
ジャイアンツ以外は、各球団とも 経営は大変だろうと思う。セリーグ各球団は、巨人戦で何とか稼いでいるようだが、パリーグの大半の球団は 大きな赤字を親会社に補ってもらっているのが実情だろう。
どうすれば各球団の経営が成り立つようになるかを考えねばならない。

 我国のプロ野球界は、巨人一辺倒という誠に歪(いびつ)な形になっている。これが今日の混乱をもたらしている根本原因だと思う。
東京ドーム球場での巨人戦の放映は、日本テレビが独占しているし、巨人戦の大半はTV放映される。金に糸目をつけず他球団の優秀な人気選手を引き抜いてくる。 巨人ファンは益々増え、これでは球団経営が悪くなるはずがない。
 (他球団から有名選手を続々引き抜いてくるものだから、巨人には出場しない高給取りの4番バッターが何人もいるという有様だ)
セリーグ、パリーグのチームの戦力に差はない、むしろパリーグの方が強いくらいだ。それなのにセリーグの方が人気があり、球団の経営状態も良い。セリーグ各球団は巨人戦で稼げるからだろう。
 一方、パリーグでは、経営困難とみて 球団数を減らして 1リーグ制移行を狙ったのが、今回の騒動の始まりだろう。
ところが、そこに 予定外のライブドアーや楽天が プロ野球に参入したいと言ってきたものだから、最初の目論見が外れてしまったというのが本当だろう。
 とにかく、巨人とその他の球団では、経営環境や条件に大きな格差がありすぎる。それがプロ野球界の諸悪の根源になっている。
試合は1チームだけではできない、相手が要る。優れた優秀な企業が独走可能な一般の業種とは ここが違う。
巨人には反省すべき点が多々あるし、パリーグ側が経営上の観点から1リーグ制にしようとした意図もわかる。
 とにかく 今のプロ野球界には、致命的な構造欠陥がある。

 それにしても、プロ野球選手は恵まれ過ぎている。年俸1億円以上の選手が何十人もいる。近鉄も中村紀洋選手に5億円もの年俸を払えば 経営が赤字になるのは当たり前だ。今期 ほとんど活躍していない巨人の清原和博選手が、4億5,000万円もの年俸をもらっているのは 社会常識では考えられないし、こつこつ働いている庶民から見れば矛盾を感じるだろう。
社会常識から著しくかけ離れた高額年俸が、球団の経営を圧迫していることは事実だ。

 同じプロスポーツ選手でも、プロゴルファーと比べてみると、プロ野球選手が如何に恵まれているかがよく分る。
プロゴルファーの場合は、トーナメントに出場して結果を出して初めて賞金にありつける。
プロゴルファーは数多く居るが、全員トーナメントに出場できるわけではない。前年度の賞金ランキング等から絞られた ごく 一部の者しか出場できない。更に、トーナメントに出場できても予選で落ちれば、無収入、いや逆に赤字になる。(キャディーフィー、交通費、宿泊費など全て自分持ち)
どんなに有名 優秀な選手でも、トーナメントで結果を出さなければ1銭ももらえない。 普通4日間の試合で優勝賞金は2,000万円程度だ。
昨年、賞金王になった伊沢利光選手は年間約1億3.500万円を稼いだ。プロ野球選手のように3〜5億円も稼ぐ者は居ない。
最近のように不況になってくると、トーナメントのスポンサーも減ってくる。年間のトーナメント数が減れば、稼げるチャンスもそれだけ減る。
完全な実力本位の世界であり、不安定な職業でもある。
一旦契約すれば多額の年俸が保障され、交通費や宿泊費まで全て球団におんぶに抱っこの プロ野球選手とは大違いだ。

 今回、選手会側は、近鉄とオリックスの合併問題をあきらめ、新規参入球団を含む12球団による 2リーグ制を来期も維持する方向で決着した。
新規参入を希望している「ライブドアー」と「楽天」のどちらが新しい球団として認められるか、にも興味はある。
しかし、今回の騒動になった原因は 何一つ解決されていない。近い将来、同じような問題が出てくる可能性は十分ある。
また経営が困難になり、投げ出す球団が出たら、その時はその時の話だ。しかし、ファンは、離れていく。
 たかがプロ野球、大した問題ではない。(2004.10.01)

 次回は〔第88回〕「コンタクト レンズ」(2004.10.15)
  【出来事】
  • 9月17日 プロ野球界再編問題で球団側と選手会側の話合い纏まらず18日(土)と19日(日)のスト実施決まる
  • 9月21日(日本時間22日) 小泉首相 ブッシュ米大統領と首脳会談 於ニューヨーク
  • 9月23日 日本プロ野球組織(NPB)と日本プロ野球選手会の協議 新規参入球団を入れて12球団 2リーグ制維持の方向で決着
  • 9月25日 日朝実務者協議(26日まで) 於北京
  • 9月26日 大相撲秋場所千秋楽 大関魁皇が優勝(13勝2敗)
  • 9月27日 自民党新三役決まる 幹事長武部勤(山崎派) 政調会長与謝野馨(無派閥) 総務会長久間章生(旧橋本派)
  • 9月27日 第2次小泉改造内閣が発足
  • 9月29日 台風21号九州南部に上陸 日本列島を縦断