◇第93回◇
2005年を迎えて
昨年暮、インドネシアのスマトラ島沖地震(マグニチュード9.0)による大津波は、インド洋周辺各国を襲い 史上最悪の被害をもたらした。被害国は12カ国に及び、ロイター通信は 死者は 既に12万人に達したと報じているが全容は まだ分らない。
この大津波の恐怖が冷めやらぬ中で世界は新年を迎えた。
さて今年は、予定された国政選挙はないし、小泉首相の任期も来年9月までと決っているので、特段の事がなければ、小泉さんとしては 総理として 落着いて仕事ができる最後の1年になるはずだ。
2001年4月、総理に就任した時に掲げた構造改革や規制緩和等の公約が、具体的にどの程度実現できるかが、はっきりする年でもある。
これまでのところは残念ながら、期待された行政改革や規制緩和等で見るべきものは ほとんどない。
これは族議員や官僚の抵抗によるところも大きいと思われるが、小泉さん自身にも進退を賭けてでも…という気持がない。妥協や丸投げが目立つようになってきた。
このままだと、小泉さんには実行力がないと言われても仕方がない。
今年こそ 小泉さんには、総理就任時の原点に帰って、当初の公約を少しでも実現してもらいたいものだ。
小泉さんが 特に力を入れている郵政民営化問題も党内には反対論が根強い。これ又 道路公団の二の舞になるようでは、小泉さんの評価に止まらず、明日の自民党はない。
民主党は、一昨年の総選挙、昨年の参院選と着実に議席を伸ばしている。
自民党攻撃に終始することなく、国民に目を向けた現実性のある政策をアピールできれば、小泉以後、近い将来 民主党政権も現実味を帯びてくるだろう。その意味で、今年は 民主党にとっても大切な年と言える。
今年の景気は、昨年の水準を維持できるかどうかだろう。いい材料は見当たらない。
むしろ下降線を辿る可能性も少なくないと思う。
国、地方の膨大な財政赤字が 問題になり、消費税をはじめ 増税問題がクローズアップするだろう。
安易に増税するのではなく、その前に行政改革や公的部門のリストラ(人員削減や給与水準の引下げetc)等、徹底した歳出削減を実行しなければ 国民の同意は得られないだろう。
今年は財政構造改革を真剣に考える年にしなければならない。
いつまでも問題先送りでは、手遅れになってしまう。
国際問題では、やはりイラク問題だろう。
反政府武装勢力によるテロが益々頻発し、最悪の治安情勢の中で、今月末に予定されているイラクの国民議会の選挙が実施できるかどうかが懸念されている。
仮に選挙が実施できたとしても、イラクが安定に向かうことは とても考えられない。
最も苦悩しているのは、アメリカだろう。本来、治安確保に当たるべきイラク警察は、テロにより弱体化し、治安の確保には無力だ。米軍でさえ治安確保に手を焼いている。
アメリカは、抜き差しならぬところまで来てしまった。
イラクのサマワ地区に派遣されている我国自衛隊の活動は、確かに地域の人々に大変感謝され、イラク政府からも高く評価されている。
政府は、自衛隊のイラク派遣期間について、昨年12月9日の臨時閣議で1年間延長を決めた。(今年12月14日まで)
しかし、最悪の治安状況下で混迷を深めるイラクが 今後どうなっていくのか、先行きが全く見えない中では、これ以上の自衛隊の駐留は 意味がなくなってきたのではないか。
我国の自衛隊派遣は、イラクに対する国際支援もさることながら、アメリカとの同盟関係に配慮したものであることは間違いない。
しかし、先の見通しがないまま、いつまでもアメリカに付き合うべきかという疑問はある。国民議会の選挙後の状況などを見極めながら、自衛隊の撤退時期を検討すべきだろう。
我国にとって最も重要なのは、やはり北朝鮮問題だ。
北朝鮮の核廃棄をめぐる6カ国協議は、今年も難航するだろう。
韓国では 盧武鉉大統領が、北朝鮮の核開発が自衛のためだという主張には一理あるとか、金正日体制は維持さるべきという趣旨の発言をする等、かなり北朝鮮寄りになってきている。
去る12月17日、鹿児島県指宿市で小泉、盧武鉉 日韓首脳会談が行われたが、北朝鮮問題について 我国が盧武鉉大統領と共通の認識が持てないのは当然である。
5カ国の関係は、中 韓 露 対 日 米という図式になってきており、5カ国が一致して、北朝鮮に核廃棄を求めて 圧力をかける体制にないことが問題だ。
5カ国が揃って経済制裁等の強い圧力をかけなければ、北朝鮮に核廃棄を認めさせることはできない。
拉致問題は、昨年11月に行われた第3回日朝実務者協議の際、北朝鮮は横田めぐみさんの遺骨だとして別人の遺骨を提供する等不誠実極まりない態度を取り続けている。
更に、北朝鮮外務省は、鑑定結果について「特定の目的のために 事前に綿密に企てられた政治的脚本に基づくものであるとの疑惑を抱かざるを得ない」(12月14日)等と言って 日本のDNA鑑定結果は信用できないと非難する始末だ。
日本政府は、北朝鮮提出資料には、同国の主張を裏付けるものは皆無、物証も信憑性なしとする分析結果を公表し(12月24日)、北朝鮮には、これを 北京大使館を通じて文書で伝達して抗議するとともに、真相究明と生存者の帰国を求めた。(12月25日)
これに対し、北朝鮮の朝鮮中央通信は 12月31日、外務省スポークスマンの談話を発表し、日本側の姿勢は受け入れられないと強く反発し、日朝の政府間協議に意義を見出す必要がなくなった等と 今後 日本との政府間協議を打ち切ることも辞さないという構えを示している。
*[参照] 「北朝鮮外務省スポークスマンの談話」←クリック
このような理不尽な北朝鮮の反応は、予想通りである。
こんな相手と こんなやりとりを これ以上続ける意味はない。
事態を進展させるには、直ちに経済制裁や万景峰号の入港制限措置等の制裁措置を断行するしかない。
それでも小泉さんは、直ちに制裁には踏み切らないと言っている。
小泉さんの国交正常化へのこだわりには 異常なものがある。金正日との密約でもあるのだろうか。
今、国交正常化を急ぐことは、我国国益を著しく害することにしかならない。
北朝鮮との国交正常化は、金正日体制が潰れてから考えればよい。
北朝鮮問題は、核問題も拉致問題も金正日体制が続く限り解決しそうにない。(2005.01.01)
久々に見た心温まる新聞記事⇒「日本が島を守ってくれた」(クリック) ご覧下さい
次回は(第94回)「“拉致問題”認識で対応は変わる」(2005.01.15)
【出来事】
- 12月17日 北京の日本人学校に 北朝鮮から逃れてきた脱北者7人が韓国亡命を求めて駆け込む
- 12月17日 小泉、盧武鉉(ノ・ムヒョン)日韓首脳会談 於鹿児島県指宿市
- 12月18日 高松宮妃 喜久子さま ご逝去
- 12月21日 政府 日本観光予定の李登輝台湾前総統にビザ発給
- 12月24日 平成17年度一般会計予算政府案を閣議で決定(82兆1829億円 前年度プラス720億円)
- 12月24日 政府 拉致問題で北朝鮮提出資料の信憑性皆無であることを公表(北朝鮮にも精査結果を伝達 抗議 12月25日)
- 12月26日 インドネシアのスマトラ島沖で強い地震(マグニチュード9.0) 大規模な津波がインド洋周辺各国を襲い死亡者は12万人以上と言われている(邦人も多数犠牲に)
- 12月27日 台湾の前総統 李登輝氏が来日(名古屋、金沢、京都などを観光旅行 1月2日まで)
- 12月29日 東京等に初雪
- 12月30日 天皇家の長女紀宮さまと東京都職員の黒田慶樹さんの婚約内定正式発表
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