◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2005/06/15】



◇第104回◇
国連改革

 最近、国連改革が論議を呼んでいる。
特に、安全保障理事国拡大の賛否をめぐって 国際社会は大きく揺れている。

 国際連合ができて60年が経過したが、この間、朝鮮戦争、ベトナム戦争をはじめ、大小数々の戦争や紛争が起こったが、国連が十分機能した例は 数える程しかない。記憶に新しいものでは、1990年のイラクのクウェート侵攻の時ぐらいしか思い浮かばない。
世界には、先進国あり、後進国あり、さまざまな立場から自国の利益を最優先に考えるし、元々人間社会そのものがエゴの塊みたいなものだから 国連のもとに一致協力して事に当たるのは、そもそも無理な話なのかもしれない。

 国連の機構、とりわけ安全保障理事会には、致命的な欠陥がある。
世界の平和と安全の責任を担う安全保障理事会は、国連各機関の中で唯一法的拘束力を持つ最も重要な機関である。
国際連合は、1945年に 第2次世界大戦の戦勝国によって作られたものだが、今だに当時のままの機構を維持している。
安全保障理事会の常任理事国は、戦勝国である米、英、仏、露、中の5カ国で構成されている。この5カ国が夫々拒否権を有し 国連に大きな影響力を持っている。
当時は、戦勝国5カ国だけで、これからの世界を牛耳っていこうという意図があったのは間違いない。しかも、その体制は60年後の今も残っている。これこそが国連の致命的な欠陥だ。
(注)
常任理事国の中国は、当初は今の中国ではなく、蒋介石の中華民国政府(今の台湾政府)が常任理事国だった。
また、ロシアもスターリン時代の共産国ソ連が常任理事国だった。


 僅か5カ国で、191カ国が加盟する国連を牛耳ろうと言うのだから、これ程不公正、不平等なことはない。
60年前の第2次世界大戦の戦勝国5カ国に、未来永劫に拒否権付きの常任理事国を独占させる根拠も正当性もないことは明白である。
安全保障理事会では、拒否権を持つ常任理事国5カ国の内、1カ国でも反対すれば物事は決まらないのだから、機能不全に陥るのは当り前だ。
拒否権こそが、欠陥国連と言われる所以だ。常任理事国を増やしても、拒否権を そのままにしていたのでは、真の改革にはならない。全ての常任理事国に拒否権を与えないことが真の改革に繋がる。
 また、常任理事国は、任期を設けて、民主的に選ぶべきだ。(現在の非常任理事国は10カ国で任期2年)

 常任理事国としては、自分達5カ国だけで独占している特権(拒否権)を、絶対に手離そうとしないだろう。また、この特権を他国に広げることにも反対だろう。
他の一般の国々は、これ以上 不合理な特権国を増やすべきではない と考えるのも理解できる。
国連改革の中で、安全保障理事会の拡大を声高に主張するのは、もっぱら常任理事国入りを目ざす日本、ドイツ、インド、ブラジル等で、他の諸国はあまり熱心でないのも頷ける。

 その外にも、今の国連には おかしな点が沢山ある。
国連憲章の中にある「旧敵国条項 」が今だに削除されず、日本やドイツ等の敗戦国に対する旧敵国としての差別扱いの規定が残っている。(国連憲章第53条 第107条)
 我国から見れば、国連分担金も大いに問題がある。
我国の分担金は、米国に次いで2位で全体の約20%も負担している。
常任理事国の負担率は、米国約22%、英国約6%、仏約6%、中国約2%、露約1%である。
分担金を1〜2%しか払わない国が、拒否権という大きな特権を持っているというのは、20%も負担している我国から見れば実に不自然だ。
国連分担金制度や財政見直しも、国連改革の一環として行うべきだ。

 常任理事国入りを目ざす日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国は、国連改革の一環として常任理事国の拡大に向けて多数派工作を展開している。
我国も常任理事国入りを目ざして、強力な運動を展開しているが、国連の現状、我国の国際的立場を考えると国益に叶うものであり当然のことだ。
常任理事国入りを目指す4か国グループの立場としては、当然 新常任理事国も拒否権を有するのがベストだが、拒否権には 反対が強いため、次善の策として 当分の間(15年後の見直しまで)拒否権は行使しないとする修正案をまとめ、国際社会の支持を得ようとしている。
 しかし、これに反対する勢力は、拒否権を持つ中国をはじめ イタリア、パキスタン、メキシコ、韓国等根強いものがあり、予断を許さない。特に反日中国は、日本の常任理事国入りには絶対反対の意向を示している。
アメリカも本音は常任理事国の拡大には反対のようだ。但し、日本の常任理事国入りだけは賛成と言っている。
 今回の国連改革の先行きは、全く不透明、特に日本やドイツ等常任理事国入りを目ざす4か国グループの主張が認められる可能性は少ないと思われる。

 常任理事国入りを目指すブラジルのアモリン外相は、国連改革については、現在の常任理事国も含め 拒否権自体をなくすのが 究極的な理想だとの考えを示したそうだが(6月9日ブラジル有力紙報道)、全く同感だ。
 今回の国連改革運動を契機に、特定の国 5カ国の拒否権が、いかに理不尽で不公正、不平等なものであるかを 全世界が認識し、拒否権なき安全保障理事会実現の国際世論が高まることが望ましい。拒否権が、これまで国連の機能を大きく阻害してきたことは まぎれもない事実だ。
今回、常任理事国入りを目指した日本、ドイツ、インド、ブラジル等が、この運動の先頭に立って 国際世論を喚起すれば、拒否権なき安全保障理事会の実現も夢ではなくなる。

 日本ほど 国連至上主義を信奉している国はない。
しかし、欠陥だらけの国連に多くを期待すべきではない。特に、我国の安全保障を国連に委ねる考えは、危険極まりないことと言うべきだ。
アメリカも時々国連を軽視する場面があるが、アメリカは国連の欠陥をよく見抜いている。アメリカから見れば正しい選択であろう。(勿論、国連軽視はアメリカだけではないが…)
我国も欠陥国連に過度の期待は禁物、今の国連は 残念ながら 頼るところではなく、利用するところだという程度に考えておくべきだ。(2005.06.15)

 次回は(第105回)「郵政民営化問題」(2005.07.01)
 【出来事】
  • 6月6日 斉藤実さん(71) ヨット(酒呑童子U)による東回り単独無寄港世界一周に成功 出発地点の神奈川県三浦市の油壼に233日ぶりにゴール
  • 6月7日 海洋冒険家の堀江謙一さん(66) ヨット(SUNTORY マーメイド号)で東回り単独無寄港世界一周に成功 出港地の西宮市の新西宮ヨットハーバーに250日ぶりに着岸
  • 6月8日 サッカー 2006ワールドカップ(W杯)ドイツ大会アジア最終予選B組で日本代表チームが北朝鮮戦を2−0で破りW杯出場を決める 於タイ バンコク
  • 6月10日 関東甲信地方 九州北部・山口地方が梅雨入り
  • 6月11日 九州南部 中国 四国 近畿 東海地方が梅雨入り