◇第110回◇
第44回総選挙
去る9月11日に行われた第44回総選挙(衆院選挙)では、予想通り自民党が大勝し、単独過半数を制した。(212議席⇒296議席)
これで 小泉内閣の郵政民営化をはじめとする構造改革に、国民が圧倒的な支持を与えたことになった。
自民党内の造反により、郵政民営化法案否決 ⇒解散で、民主党は 自民党の内紛は 政権奪取の千載一遇のチャンスと捉え、岡田党首は過半数が取れなければ党首を辞任すると言っていたが、民主党は惨憺たる結果に終った。(177議席⇒113議席)
(第44回総選挙 各党獲得議席数は、末尾の【出来事】欄参照)
約4年前、小泉さんは、「郵政民営化をはじめとする構造改革を何としても実現する。党内に抵抗があれば、自民党をぶっ壊してでも実現する」と公言して、これが国民の圧倒的な支持を得て 総裁 総理に選出されたことは、まだ記憶に新しい。
小泉さんは、郵政民営化を本丸とする改革路線への国民の支持は、今でも変わっていないと確信していたに違いない。
郵政民営化に反対した民主党や自民党の造反議員達は、民意の把握を誤ったと言うより、民意を無視したと言うべきだろう。
国会で郵政民営化に反対した民主党の敗北は、既に 衆院解散の時点で決まっていたようなものだ。
先の国会で郵政民営化法案が 参院で否決 廃案になったことを、国民は支持していなかった。
自民党は、今回の選挙は郵政民営化の是非を国民に問う選挙だと位置付けた。
野党や造反議員達は 政治課題はもっと沢山あると主張し、郵政民営化が選挙の焦点ではないと懸命に主張した。これは、郵政民営化の是非を選挙で争うと、野党には勝ち味がないと判断したからに外ならない。即ち、民主党や造反議員達は、郵政民営化問題から 国民の目を逸らそうとした。
民主党の魅力は、進歩的な改革政党だというイメージにあったはずだ。
ところが郵政民営化反対を貫いたため、民主党は改革に後向きで、逆に小泉自民党の方が改革的だ という民主党にとっては致命的な印象を国民に与えてしまった。
民主党は、民意よりも反小泉政権の立場を優先させて、郵政民営化に反対したように見える。もし そうだとすれば、これが民主党の致命的な敗因だ。
解散後、郵政民営化断固反対では選挙には勝てないと悟った民主党の岡田代表は、郵貯、簡保はいずれ民営化すべきだと方向転換したが、既に国会で民営化に反対した後では、手遅れだった。
更に、民主党は、郵便貯金の預け入れ限度額 現行1,000万円を500万円に引下げる方針だと説明したが、限度額を引下げれば、郵政事業は大幅な赤字になる。その対策としては、大量の人員削減(リストラ)が必要になるが、その点についての説明はないままだった。
選挙になると、いつもの事ながら、的外れで非常識なことや嘘を堂々と言う政治家が多く見うけられ、彼等の低劣な資質や無能ぶりを痛感させられる。また、他党批判ばかりしていては、票は逃げていく。
特に 政権政党でない野党には、無責任な主張が多い。
例えば、「この4年間の小泉政治で我国の平和が脅かされようになった。」(社民党 福島党首)
今、我国の平和が脅かされていると誰が考えているだろう。中国潜水艦の我国領海への侵犯、中国による東シナ海での我国の海底資源への侵略行為や北朝鮮国家による拉致という我国への主権侵害のことを言うのなら分るが、社民党が言っているのは そんなことではないようだ。
「小泉総理は強権政治、ファッショ政治だ」(造反組の国民新党 綿貫民輔代表 亀井静香氏)。
造反議員にとって、選挙での非公認は確かに痛い。しかし、これは身から出た錆で政治とは関係がない。党規違反者に党が厳しい処分をするのは当たり前、まして郵政民営化の是非を問う選挙となれば、民営化に反対する候補者を公認できるはずがない。問題をすり変えた幼稚な主張だ。
民主党は、政権を取れば、明日にでも厚生年金、共済年金、国民年金の一元化ができるような言い方をしていたが、国民年金は 厚生、共済年金とは、全く仕組みが違う。簡単に一元化できないことは分っているはずだ。
三つの年金の一元化をどのようにやるかについての具体的な説明はなく、民主党の主張は無責任と言わざるを得なかった。
与党が言う厚生年金と共済年金の一元化は技術的には容易だ。しかし、一元化で不利になるのは多分共済年金側だろう。公務員の反発が予想される。
郵政民営化さへできないのであれば、これも簡単にはいかない。
社民党、共産党の主張は、時代遅れで、低次元、論評にも値しない。社民党と共産党の主張には、ほとんど差異がなくなってきた。
特別国会が9月21日に召集されることになったが、この国会での郵政民営化法案成立が確実になった。
今度は、衆院で与党が3分の2以上の議席を占めているので、参院でまた否決しても、衆院で3分の2以上の賛成で再可決すれば法案は成立する。(憲法第59条【法律案の議決、衆議院の優越】)
しかし、今回は、前回民営化に反対票を投じた造反組も、民意に従って多数が賛成に回ると言われており、参院でも順調に可決される見通しだ。
民主党は、党の建て直しを図るためには、今回の惨敗の原因を徹底的に検証しなければならない。
民意がはっきりした後だけに、今後の民主党の郵政民営化に対する出方が注目される。
多分、民主党は、郵政民営化には賛成だが、法案の中味に問題ありとして再度反対するだろう。
しかし、これでは 民主党は、相変わらず民意を無視することになってしまう。
今回の総選挙で、郵政民営化が国民の圧倒的な支持を得たことは確かだが、これまでの小泉政治が国民の評価を得たというものではない。
自民党に対する票には、今後 改革をもっと強力 確実に進めてもらいたいという国民の期待と願望が込められていると見るべきだ。
郵政民営化よりもっと重要且つ困難な問題が山積している。
小泉自民党は 国民の圧倒的支持を得たのだから、小泉さんは自信をもって財政再建や社会保障(年金や医療等)改革等々の諸問題に大いにリーダーシップを発揮して取組み、また ポスト小泉も視野に入れ、確かな路線を敷いてもらいたいものだ。
小泉さんの外交には 問題があり、評価できない。それは総理としての国家観の欠如からきている。
特に対中国、韓国、北朝鮮(拉致問題)外交では、毅然たるものがなく、我国の主体性が曖昧になっている。
8月15日の靖国神社参拝の公約も、外国の内政干渉に屈して実現していない。
このような小泉外交には、多くの国民が失望し、不満を抱いているものと思う。
郵政民営化問題で「殺されてもやる」と言い切った毅然たる姿勢は、むしろ外交面で発揮してもらいたいものだ。(2005.09.15)
次回は(第111回)
「6カ国協議と拉致問題」(2005.10.01)
【出来事】
- 9月4日 東京杉並区等で1時間に100ミリを超す局地的な集中豪雨で水害発生
- 9月6日 大型台風14号が九州(長崎県諫早市付近)に上陸 九州地方を中心に記録的豪雨(死者行方不明27名)
- 9月11日 大相撲秋場所初日(両国国技館)
- 9月11日 第44回総選挙投票日(小選挙区投票率67.51%)
【第44回総選挙 各党獲得議席数】( )内は改選時議席
☆自民296(212) ☆民主113(177) ☆公明31(34) ☆共産9(9) ☆社民7(5) ☆国民4(4) ☆日本1(3) ☆諸派1(1) ☆無所属18(32) ★合計480(477欠員3)
- 9月13日 北朝鮮核問題をめぐる6ヵ国協議( 於北京 )再開 ( 8月7日に中断していたもの )
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