◇第116回◇
2005年を振り返る
今年も国の内外で色々なことがあった。
政治面では、何と言っても 郵政民営化をめぐる解散 総選挙(郵政民営化を訴えた自民党の大勝)が、政治に大きなインパクトを与えたことを挙げねばならない。
これにより 郵政民営化のみならず、改革の芽が一斉に吹き出した感じだ。
その背景には、これまで敢えて目を背けてきた深刻な現実、即ち逼迫した国の財政を直視せざるを得なくなったことがある。
これまで政治が避けてきた厳しい問題も議論されるようになった。
例えば
医療保険、年金や増税等の議論は、国民負担増に繋がる問題だ。公務員の削減や給与等の見直し、政府系金融機関の統廃合、三位一体の改革 (地方分権の推進)、特別会計の問題等々である。
自民党内の抵抗勢力と言われる守旧派の勢力は、表舞台から姿を消しつつある。
総選挙の結果、野党民主党は 大敗を喫しただけでなく、党内に大きな衝撃を与えた。
党代表に新進気鋭の前原誠司氏が選ばれたが、彼には、これまでの民主党とは違った斬新なイメージがある。
改革については自民党よりも積極的な部分もあり、自民党も うかうかしておれない。
問題は、前原路線で党内結束が図れるかどうかだが、既に反前原勢力が反発しており 前途多難だろう。
これまでタブー視されてきた憲法改正問題も、ようやく議論されるようになった。
自民党は、11月22日の結党50年記念大会で新憲法草案を発表したし、民主党も党憲法調査会(枝野幸男会長)を中心に、憲法改正に向けた基本的な考え方を盛り込んだ「憲法提言」を取りまとめる等 積極的な動きを見せている。
憲法は、頻繁に改訂するものではないだけに、改正に当たっては拙速主義は避け、我国にふさわしい立派な自主憲法の制定を期待したい。
自民党の改正案に自衛軍が明記されていることについて、韓国の盧武鉉大統領が早速不快感を示したそうだが、盧武鉉という人物はどこまで非常識な人間なのだろう。まともに相手にすべき人物ではない。
それとも 他国の大統領に、不見識な内政干渉発言を許す我国の外交姿勢にこそ 問題ありと言うべきか。
経済面では、バブル崩壊後、長いデフレ不況下にあったが、やっとトンネルを抜け出し、株価も15,000円台に乗せた。
鉄鋼等素材産業が好景気だったのは、中国の経済成長、好景気によるところが多い。
今年は著しい原油高になり、これが世界経済の足を引張っている。我国経済にとっても不安材料ではある。
11月には、マンション等の耐震強度偽装問題が発覚した。該当する物件の数が多いため大変な問題になっている。
構造計算書を偽装していた姉歯建築設計事務所の刑事、民事の責任が追及されるのは当然だが、この偽装を見過ごした行政、民間の検査機関の責任も大きい。
マンションからの退去を余儀なくされる被害者側の状況は深刻だ。責任を負うべき民間企業に補償や救済能力がないとすれば、行政がどこまで面倒をみるか、問題は重大且つ複雑だ。
今回発覚した問題は 氷山の一角だという見方もある。
12月8日には、みずほ証券が総合人材サービス業ジェイコム(マザーズ市場)株 1株を61万円での売り注文を、誤って1株1円で61万株の売り注文と入力したため、同証券が400億円超の損害を蒙るという前代未聞の事件が発生した。
更に、誤発注取消しができなかったのは、東京証券取引所のシステムの不具合によることが判明、鶴島琢夫東証社長が引責辞任を表明するなど、東証側の責任が問われている。
尚、みずほ証券の誤発注により莫大な利益を得たとされる国内外の証券会社6社が、その利益の返上を検討しているという。誤発注に付け込む形で多額の利益を得たとして批判が高まっており、当然だと思う。
大きな列車事故もあった。4月25日、JR西日本 福知山線で電車脱線転覆事故が発生、死者107名 負傷者数百名という大惨事になった。
原因は簡単、運転士の無謀運転だった。
背景には、社員の職場規律の乱れがあったと思う。経営責任は、不適格者を運転業務に就けていたことである。
今年も相変わらず 凶悪犯罪が目立った。青少年や外国人による犯罪も多い。
最近では、11月から12月にかけて、広島県と栃木県の小学1年生の女の子が、相次いで誘拐殺害され、更にその後、京都府宇治市で、塾の講師が小学6年生の女生徒を塾内で惨殺するという痛ましい事件が発生した。
治安対策の一層の強化が必要であることは言うまでもないが、変質者対策を含む犯罪予防措置を真剣に考えるべきだ。
昨年に続き、今年も世界的な規模で自然災害が多発し、多くの人命が失われた。
国内では、九州地方で 地震と風水害で大きな被害(含 死傷者)を出した。即ち、3月の福岡県西部沖地震、7月梅雨期の九州の水害、9月の台風14号九州上陸等々である。
海外に目を転じると、2月のイラン南部地震、3月のインドネシアスマトラ沖地震等々、とりわけ10月8日のパキスタン北部地震では、被害が インド、アフガニスタンにも及び、死者 8万人とも10万人とも言われ、被害の全容は今だに把握できない程である。
アメリカでは、8月にハリケーン「カトリーナ」がフロリダ州南東部からルイジアナ州を直撃し、ニューオーリンズが壊滅的状況に陥るなど記録的な人的物的被害をもたらした。 さすがの大国 アメリカも 自然災害には勝てなかったようだ。
今年は、この地域 (カリブ海、大西洋にかけての海域)でのハリケーンの発生件数は 記録を更新したという。
イラクの爆弾テロは、日常茶飯事のごとく繰返され、もはや珍しくもなくなったが、今年はイラク以外の国でもテロが多発した。
7月のロンドンでの地下鉄、バスの同時多発爆弾テロ、10月のインドネシア バリ島での自爆テロでは 日本人も 巻き込まれ死亡した。10月 インドのニューデリーでの同時多発爆弾テロ、11月にはヨルダンのアンマンでも同時多発爆弾テロが発生した…等々。いずれも多くの死傷者を出している。
テロではないが、フランスでは、10月下旬に パリ郊外の移民街で起きた暴動がフランス全土に拡大し、数千台の車が放火される等の破壊行為が繰返され、非常事態を宣言する事態にまで発展した。
 [ 優勝した朝青龍 (11月場所) ] |
フランスのような先進国で、これ程までの暴動が起こるとは 意外であった。
大相撲界では、横綱朝青龍の独り舞台だった。
11月(九州)場所まで7場所連続優勝、年6場所完全制覇、年間最多勝(84勝)、いずれも史上初の偉業を達成した。敬意を表したい。
また、関脇琴欧州が、大関に昇進した。初土俵から19場所目での大関昇進は、朝青龍の22場所目を抜いて史上最速の出世記録である。それにしても日本人力士の奮起を促したい。
プロ野球では、レギュラーシーズン2位の千葉ロッテマリーンズが、プレーオフで 同1位の福岡ソフトバンク ホークスを降してパリーグ優勝決め、更にセ リーグの優勝チーム阪神タイガースを4勝0敗で圧倒し、日本シリーズを制覇した。
また、今年 初めて開かれた「アジアシリーズ2005」 (日本、韓国、台湾、中国の代表チームが参加) でも、日本代表として出場した千葉ロッテマリーンズは、圧倒的な強さで優勝した。
終盤では、千葉ロッテマリーンズの強さだけが目立ったプロ野球だったが、パ リーグの1位〜3位のプレーオフ制度の是非について議論が起きている。
 [ 今 年 の 漢 字 ] |
今年は、景気が上向いてきたこと以外に、あまり明るい話題はなかったが、強いて挙げれば、
愛・地球博(愛知万博)が開催され (3月25日〜9月25日)、入場者数が目標を700万人も上回って2,200万人超に達したこと、
11月15日に、天皇家の長女 紀宮清子さまと東京都職員の黒田慶樹氏が結婚されたことぐらいだろう。
因みに 12月12日に発表された今年の漢字は「愛」だった。(左写真は京都清水寺にて)(2005.12.15)
次回は(第117回)
「2006年の展望」(2006.01.01)
【出来事】
- 12月6〜14日 民主党前原代表 米中を訪問 (6〜10日米国) (11〜14日中国)
- 12月8日 政府 臨時閣議でイラクへの自衛隊派遣1年延長を決定(イラク復興支援特別措置法に基づく基本計画の変更)
- 12月12日 政府(農水省 厚労省) 北米(米国 カナダ)産牛肉の輸入再開を決定
- 12月12〜14日(於マレーシア クアラルンプール) 12日東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議→13日日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議→14日東アジア首脳会議(東アジアサミット)
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