◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2006/02/15】



◇第120回◇
少子高齢化、人口減少問題を考える(T)

 我国の人口は、昨年から減少に転じた。
少子化による人口減少(自然減)は、我国では史上初のことだと言われている。
当初の予測では、2006年に人口がピークを迎え、それから減少に転ずると言われていたから、人口の減少が2年早まったことになる。 即ち、予想よりも少子化が早く進んだというわけだ。

 出生数が 死亡数より少なくなるから 人口が減少するのだが、少子化現象は 既に1975年頃から着実に進んできた。それにもかかわらず、2005年になってやっと人口が減少に転じたのは、平均寿命の伸びが少子化をカバーしてきたからだろう。
これから 人口は 減少の一途を辿り、このまま行けば 2050年には 約1億人になり、およそ100年後の2100年には 今の半分、約6,400万人程度になると計算上は推定される。

  • 我国の人口のピークは、2004年、概ね1億2,778万人程度だったと思われる。
  • 人口維持に必要な合計特殊出生率は、現在 2.07程度と言われている。(合計特殊出生率とは⇒1人の女性が生涯に産む子供の平均数)
  • 合計特殊出生率は 1975年に2.00を下回って以来、下降線を辿っている。即ち この頃(1975年)から少子化現象が始まったことになる。(それ以前にも、例えば「ひのえうま」の1966年には 1.58に低下するなど、2.0を下回っていた時期もあったが、1971〜1974年のベビーブームで一時盛り返し、以後 出生率は低下に転じた。)
  • 2004年の合計特殊出生率は1.29であり、2005年は更に低下し1.26程度と推定されている。
 出生率が低下してきたのはなぜだろうか。その背景には何があるのだろう。
晩婚化、未婚者の増加、結婚しても子供を作らない傾向(一人っ子の増加)等々が挙げられる。
 その背景には、女性の社会進出があることは間違いない。
それは、女性の社会進出が一般的でなかった時代(戦後昭和24〜5年頃まで)の出生率が高かったことを見れば明らかである。(因みに 昭和24年の合計特殊出生率は4.32、昭和25年は3.65であった)
 男女雇用均等法の制定や保育所の増設等々 女性の社会進出を促す政策が、少子化対策としても推進されてきた。
しかし、よく考えてみると、女性の社会進出奨励策が少子化を加速させた、即ちこれまで少子化対策と言われてきたものが、実は逆に少子化助長策だったとも言える。
これは、少子化現象についての綿密な分析も行わず、大衆の価値観への迎合政治の産物と言ってもいいだろう。その迎合政治は今も続いている。
 子育てをするための経済的余裕がないから、子供は作れないと言う意見がある。これは大嘘だ。
出生率が高かった戦後昭和24〜25年頃までの人々の生活は、今とは比べものにならないくらい貧しかった。むしろ 人々の生活が豊かになるにつれて少子化が進んできた。
「貧乏人の子沢山」と言うのは真実である。
夫婦共稼ぎは、もっと豊かな生活をしたいという欲望からであって、収入が増えたから子供を作ろうということにはならない。 夫婦共働きは、出産、育児の環境から益々遠ざかることになる。

 戦後、我国では、経済成長とともに 国民生活も飛躍的に豊かになってきた。多くの人々が中流意識を持つようになった。
それに伴って、若者達の価値観が大きく変化した。
その価値観とは、より豊かで、拘束されない自由な生活を求めるようになったことだ。
 昔は 成人したら 早く結婚して立派な家庭を築くのが良しとされた。外で稼いでくるのは男性、女性は専ら家庭に在って家事、出産、育児を担当するというのが普通で、言わば夫婦間の分業が行われていた。
 今では、自由で豊かな生活をエンジョイするためには、結婚よりも仕事優先に価値感を見出す女性も多く、また 出産や子育ては、自由で豊かな生活の足かせになると考える人が増えてきた。
 言い換えると家庭中心主義から個人中心主義に変わってきたとも言えるだろう。

 国民のこのような価値観を 国の政策によって変えようとしても、無理だと思う。
猪口邦子少子化担当大臣は「出産無料化」制度の導入について検討するそうだが、これが出産への動機付けになるとは とても思えない。「金をやるから子供を作れ」という単純なものではない。
少子化対策として これまで行われてきた数々の政策( 例えば保育サービスの充実等を謳ったエンゼルプラン、育児休業制度や児童手当等々 ) も 多少は効果はあるのかもしれないが、国の政策によって出生率を回復させ、少子化に歯止めをかけることは困難だ。
 要するに 我々は 出生率低下による人口減少を、やむを得ないものとして受け容れざるを得ないのである。
国の将来図を描いたり、政策を検討するに当たっては、当分は 少子高齢化、人口減少が続くという前提に立って考えるべきだ。 (2006.02.15)

 次回は(第121回)「少子高齢化、人口減少問題を考える(U)」(2006.03.01)
  【出来事】
  • 2月2日深夜(日本時間3日) 乗員乗客約1,400人を乗せてサウジアラビアからエジプトへ向かっていたエジプトのフェリー「サラーム98」(1万1,800トン)が紅海で沈没 犠牲者多数の見込み
  • 2月4日 日朝政府間協議始まる (2月8日まで 於北京) 進展なし
  • 2月7日 宮内庁 秋篠宮妃紀子さま(39)に「ご懐妊の兆候がある」と発表 ( ご出産予定は今秋 )
  • 2月10日(日本時間11日) 第20回冬季オリンピック・トリノ大会開会式で開幕 (26日=日本時間27日=まで)