◇第122回◇
少子高齢化、人口減少問題を考える(V)
人口の減少は、社会に さまざまな問題をもたらす。
例えば、住宅が余って 空き家が増えてくる。一方で、より快適な住宅へのニーズに応えて 新たに住宅が建設されれば、更に空戸は増え、古い団地等は廃墟になるという社会問題も発生する。
人口の減少は、デ メリットばかりではない。メリットも大いにある。
先ず輸入依存度が高い食料の自給率が 改善される。身近なところでは、通勤ラッシュの緩和や道路の渋滞緩和等が思い浮かぶ。
少しは窮屈な生活から解放されるような気もする。
要は、デ メリットを克服し、メリットを最大限に活かせる社会へ変革していくことだ。
何も手を打たないまま 人口が減少していけば、社会の活力は失われ、経済も社会保障も深刻な事態を迎えるだろうことは容易に推測できる。
人口の減少は、購買力の低下、労働力の減少を招き、経済規模を縮小させる。即ち GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)の低下は避けられない。
しかし、GDPが全体として縮小しても、国民1人当たりのGDPを維持 向上させることができれば、国民生活は保たれるし、豊かな国造りが可能だ。
人口の減少に伴い、当然労働力人口も減少するが、高齢化が 更に労働力人口の減少に拍車をかける。
(労働力人口とは⇒満15歳以上の人口のうち、就業者・休業者・完全失業者の合計を指す。学生・家事従事者等職を求めない者、即ち非労働力人口を除いたもの)
厚労省 雇用政策研究会の報告によると、労働力人口は、2004年の6,642万人から、2015年に6,232万人に、2030年には5,592万人に減少していくと推計される。
人口は減っても、我国経済に必要な労働力は 確保しなければならない。
また、超少子高齢化社会の到来は、公的年金や医療保険等の社会保障制度の財政を困難にすることが懸念されている。
我国の社会保障制度は、現役世代(20歳〜64歳)が、高齢者(65歳以上)を支える仕組みになっている。
2000年の時点では、現役世代3.6人で1人の高齢者を支えていたのが、2025年には1.9人で1人の高齢者を支えることになり、2050年には、僅か1.4人で1人の高齢者を…という驚くべき推計がなされている。
減っていく労働力人口に、どう対処するかは極めて重要な問題だ。
労働力の確保を図るには、定年を延長したり、外国人労働者を受入れることが考えられる。
先ず、定年を大幅に延長すべきである。
高齢化社会をもたらした平均寿命の伸びを活用しない手はない。
平均寿命が伸びたお陰で、70歳位まで働けるようになったのだから、高齢者を労働力人口に組み入れればよい。
大幅な定年延長は、労働力の確保のみならず、社会保障の財政改善にも大きく寄与する。行く行くは、70歳くらいまで定年を延長し、これまでの支えられる側が、支える側に回れば、社会保障の財政問題も解決する。
外国人労働力への依存は、必要最小限に抑えるべきだ。無節操な外国人労働者の受入れは、新たな社会問題を惹き起こす危険性があるからだ。
少子高齢化・人口減少社会を克服するためには、それにふさわしい社会構造を実現しなければならない。
そのためには、これまで進めてきた構造改革(含、財政再建)を着実に成し遂げ、更に これを 将来の少子高齢、人口減少社会に向けての変革に繋いでいくことが重要だ。
これがうまくいけば、我国の将来は決して暗いものではなく、明るい展望も期待できる。
(2006.03.15)
次回は(第123回)
「少子高齢化、人口減少問題を考える(W)」(2006.04.01)
【出来事】
- 3月2日 平成18年度一般会計政府予算案(79兆6860億円) 衆議院本会議で可決 参議院へ送付
- 3月9日 日本銀行 金融の量的緩和策(2001年3月に導入)の解除を決定(政策委員会・金融政策決定会合で)
- 3月12日 大相撲春場所初日(大阪府立体育会館)
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