◇第123回◇
少子高齢化、人口減少問題を考える(W)
現在のような低い出生率が続いていけば、人口は減少の一途を辿り、遂には日本民族は消滅することになる。
しかし、そんなことはあり得ない。
この世に生きとし生けるもの、即ち大部分の生物は、子孫を残すために存在しているようなものだ。
人間以外の動物に、もし価値観というものがあるとすれば、それは子孫を残すことが最大の価値観だろう。人もその例外ではないはずだ。
少子化をもたらす典型的な個人中心主義者、即ち 家庭や家族を持たない独身者の一生をシミュレーションしてみると、それが如何に無味乾燥で 無価値なものかは説明するまでもない。
気ままな1人暮らしの快楽等と言うものは、若い時の一時的なものだ。
家族も兄弟もいない孤独な人には、人生の最期を看取ってくれる人もいない。
これ程侘びしい無意味な人生はないはずだ。
こんなつまらない 少子化をもたらすような価値観がいつまでも続くはずはない。
一般論として、先進国では 出生率が低く、乳幼児の死亡率が高い後進国では 出生率が高くて 人口が増加する傾向にある。これは自然の摂理のように思われる。
我国の少子化現象もその例に漏れないと思われるが、その外にも色々な要因が考えられる。
最も大きなものは、人生に対する価値観の問題だと思う。
戦後(昭和20年以降)、我国は高度経済成長を成し遂げ、物質的には 大変豊かになった。
その反面、倫理観など精神面は、ないがしろにされてきた。最近、いろいろな分野で モラルの低下が指摘されるが 当然の帰結だと思う。
戦後の教育では、偏った考え方から 道徳教育を意図的に避けてきた。今、その弊害が社会に蔓延している。
学校では、多発する凶悪犯罪の影響で 命の大切さは教えても、親子の関係や家族の大切さなどは あまり取り上げない。
社会を構成する最小単位の協同体である家庭の重要性や家族のきずなの大切さは、学校教育でも もっと重視されなければならない。
多発する犯罪はもとより、連日報道される不祥事は、全て倫理感(モラル)の欠如からきている。ニートと称される人も増えてきたし、フリーターが数百万人も存在する社会は まともではない。
元をただせば、それらは 全て教育に起因している。
人々の価値観の形成に大きく係わる教育が、今の少子化現象と無関係とは言えない。
最近 女性の社会進出を評価する反面、専業主婦を軽視する風潮があるのは極めて遺憾だ。
家庭に在って 出産、育児に専念する主婦が、もっと高く評価される社会にすべきだ。
また、子供は 母親のスキンシップで育てるのが最も良い。
やむを得ない場合は別として、子供を託児所に 長時間預けて働くのは 子供のために良くない。子育ての外注を推奨するような政策は採るべきでない。
最近、所得税で配偶者控除を廃止する動きがあり、既に 配偶者特別控除が 昨年から廃止された。少子化に歯止めをかけるためにも、専業主婦には もっともっと優遇措置を講じるべきなのに、これでは 専業主婦を軽視し、少子化に益々拍車をかけることになる。
国の姿勢を疑いたくなる。
政府は、育児と仕事が両立できる社会を実現することが 少子化対策だと 相変わらず 矛盾することを言っている。
そもそも、出産 育児と女性の就業は相反することであり、女性の社会進出が出生率の低下を招いているという根本認識を欠いている。綺麗事からは、真の対策は生まれない。
男女同権を誤って解釈し、女も男と同じようにすべきだという風潮がある。
当然のことながら、男性と女性は、生理的にも肉体的にも 持って生まれた差異がある。得意、不得意、向き、不向きもある。端的な話が、男に子供を産めと言っても無理な話だ。
やはり男女は、生まれながらにして備わっている特質に応じて分業するのが自然だし、それは決して男女不平等ではない。
誤った風潮は、正していかねばならない。
いずれにしても、少子高齢、人口減少社会の到来は避けて通れない。
今から将来に備えての改革、変革を着実に進めていくことが重要である。
また、一方では、少子化に歯止めをかける努力も必要だ。そのためには、少子化の背景にある価値観を 本来在るべきものへ転換していかねばならない。その根源は教育だ。
今ここで、我国の人口が減少に転じたのは、これ以上の人口増加は好ましくないという自然の摂理かもしれない。
我々は これを好意的に受け止め、対応に誤りなきを期すべきだ。
(2006.04.01)
次回は(第124回)
「拉致事件の国内捜査」(2006.04.15)
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