◇第131回◇
自民党総裁選
ポスト小泉の自民党総裁選の日程は、9月8日告示、20日投票、党三役人事等の決定を経て、29日に臨時国会を召集して新首相を選出、組閣という運びになりそうだ。
小泉さんの総裁任期が、当初から決まっていたため、ポスト小泉をめぐる話題が 随分以前からマスコミに取り上げられた。
マスコミは、総裁候補者を麻垣 康三( 麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫、安倍晋三 )等と面白おかしく報じた。
この外にも、自薦、他薦、無責任なマスコミ薦等で何人かの名前が挙がっている。例えば、山崎拓、与謝野馨、額賀福志郎、鳩山邦夫、河野太郎等の名前も出ている。
有力候補であった福田康夫氏は、7月21日に出馬しないことを正式に表明した。
7月27日には、谷垣禎一氏が正式に出馬表明をした。出馬宣言第1号である。
支持率に関するマスコミの世論調査では、安倍氏がトップで 他を断然リードしている。
今回当選しなくとも、次回以降を狙って立候補する人もいるだろう。(小泉さんも3回目の挑戦で当選している)
夫々の候補者が、どんな公約を打出すのかが国民関心の的だ。
候補者の政策は、これまでの小泉路線に対してどうなのか、という尺度で比較されるだろう。
例えば、小泉さんに、近い考え方を持っているのが安倍氏のようだし、我国の財政事情を深刻に捉え、かねてから増税の必要性を訴えてきたのが 既に立候補を表明した谷垣氏だ。谷垣氏は、2010年代の早い時期に消費税率を10%にしたいと述べている。
総裁候補者達は 公約や考え方を明らかにし、活発な政策論争等を通じて 政権構想を国民に分り易く示してもらいたいものだ。
ポスト小泉政権に与えられた課題は大きい。
小泉さんが積み残し、次期国会に継続審議になっている重要法案だけでも「教育基本法改正法案」、憲法改正に必要な「国民投票法案」、共謀罪創設の「組織犯罪処罰法改正法案」、防衛庁を省へ格上げするための「防衛省設置法案」等がある。
いずれも国民にとって関心が高いものばかりだが、国会審議はすんなりとはいかないだろう。
これらは、小泉政権時代に ようやく国会に提出された重要法案であり、次期政権で 廃案にするわけにはいかない。
早い段階で是非成立させてもらいたいものだ。
次期政権で取組むべき最大の課題は、何といっても財政再建問題だろう。
小泉さんは、財政再建について、2010年代初頭にはプライマリーバランス (財政支出が、借金に頼らず 税収を中心に賄われているかどうかを示す指標) の黒字化を目指すという指針を示しただけで、具体的な取り組み、特に増税問題は 完全に次期政権に委ねられた。
徹底した行政改革がその前提とは言え、今や増税 (含 消費税) の必要性については、大方の国民がやむなしと感じている。
次期政権が、消費税等を いつから どの程度アップしようとするのか、国民の重大関心事である。
逼迫した財政の中で、社会保障 (含 少子高齢化対策) を どう実現していくか等々…。
次期政権は、大筋では 小泉路線を踏襲するとしても、前途には 重大な難問が山積していると言っても過言ではない。
総裁選候補者達が、重要且つ困難な諸問題に どんな青写真を持っているのか、大いに関心があるところである。
次期総裁選候補者の中で既に温度差が出ているのが、東アジア外交問題である。
中国、韓国との首脳会談も開けない不正常な関係を是正すべきだという考え方がある。
端的に言えば、中国、韓国が靖国神社参拝に反対しているから、総理大臣は靖国神社に参拝すべきでない、A級戦犯は分祀すべきである、靖国神社に代わる国立の戦歿者追悼施設を新設すべき等という意見である。
これらの意見は 要するに、中国、韓国の内政干渉に屈してでも、中韓両国との友好を図るべきという立場だ。山崎拓氏らがその立場を取っている。谷垣禎一氏も参拝しないと言っている。
アジア外交の建て直しと言えば聞こえはいいが、その中味は、何もない。ただ靖国神社に参拝しないと言うだけだではないか。
対中韓関係の元凶は、中韓両政権の根底にある我国への対抗意識からくる反日姿勢であって、靖国問題ではない。
中国は、小泉後継首相が靖国神社参拝をやめれば 日中首脳会談に応じてやってもいいと表明している(7月28日の中国の王毅駐日大使の発言等)。これこそ覇権主義に基づいた不当な内政干渉以外の何ものでもない。
先日、昭和天皇が、A級戦犯が靖国神社に合祀されていることに不快感を持っておられたというメモの報道があったが、これが靖国問題に影響を与えるようなことがあってはならない。過去の天皇の発言が、政治や宗教に影響を与えるというおかしなことになる。
天皇の言葉を政治に利用することになり、憲法上も絶対に許されないことは明白だ。
【増原防衛庁長官更迭事件】
1973年、当時の防衛庁長官搆エ惠吉氏が防衛問題について昭和天皇に内奏した際、陛下から「国の守りは大事なので、しっかりやってほしい」とのお言葉があったことに感激、記者団に披露した。野党はこれに激しく反発、マスコミも“天皇の政治利用”に当たるとして厳しく批判し、増原長官は更迭された。
例えば、当時 朝日新聞は社説で 増原長官の発言は“天皇のお言葉を政治的に利用しようとするもの”であるとして激しく非難した。
ところが今回 朝日新聞は社説で 昭和天皇発言メモに関して、“A級戦犯合祀 昭和天皇の重い言葉”と題して昭和天皇の発言を尊重すべきだと主張している。全く一貫性がない。
朝日新聞の如きマスコミには、本当にいい加減なものが多い。
総理大臣たる要件は、優れた政策と実行力の兼備は当然だが、その前に 確固たる国家像に裏打ちされた信念の持ち主、使命感に燃えた人物であることが必須要件だ。
外交では、我国の立場や正論を堂々と主張できる人物でなければならない。
まして、外国の内政干渉に屈するような人物は、総理大臣どころか、政治家としての資質以前の問題と言うべきだ。
今、我国には、財政問題、消費税、社会保障(少子高齢化対策)、治安対策、安全保障 更には教育問題等々国民生活に直結する重要課題が山積している。
また、最近の北朝鮮のミサイル発射問題に鑑み、我国の防衛をどう見直すかも重要な課題だ。
これらの諸問題に立ち向かうには、尋常にはいかない。前例に捉われない小泉さんのような改革的手法も必要になるだろう。
総裁選の行方は、候補者達がどんな政策を示すか、強い信念と使命感に裏打ちされた実行力を どれだけアピールできるかに懸かっている。
(2006.08.01)
次回は(第132回)
「平和を考える」(2005.08.15)
【出来事】
- 7月15日(日本時間16日未明) 国連安全保障理事会 北朝鮮のミサイル発射非難の決議案を全会一致で採択 北朝鮮は決議の全面的拒否を表明
- [参照]⇒ 北朝鮮 国連採択決議全文(クリック)
- 7月15日(日本時間16日未明) 第32回主要国(G8)首脳会議(ロシア サンクトペテルブルクサミット)開幕 (17日まで)
- 7月17日 インドネシア・ジャワ島南西部沖でM7,7の地震 津波により800人以上が犠牲に(7月19日現在)
- 7月17日 イラク派遣の陸上自衛隊部隊 クウェートへの撤収完了
- 7月19日 全国各地での大雨長雨で洪水 土砂災害 土石流等の被害続出 死者行方不明20数名(19日現在)
- 7月22〜23日 九州南部を中心に記録的な豪雨 人命を含む被害甚大
- 7月23日 大相撲名古屋場所千秋楽 横綱朝青龍が14勝1敗で14日目に優勝を決める(17回目) 大関白鵬(13勝2敗)の横綱昇進と関脇雅山(10勝5敗)の大関昇進見送り
- 7月26日 九州南部 九州北部(含 山口県) 四国地方が梅雨明け
- 7月26日 気象庁 平成18年7月15日〜24日に発生した豪雨について"平成18年7月豪雨"と命名(長野県や鹿児島県等で死者・行方不明者26人)
- 7月24〜28日 東南アジア諸国連合(ASEAN)閣僚会議 26日ASEANプラス3(日中韓)外相会議 28日地域フォーラム(ARF)北朝鮮問題等についての議長声明 於マレーシア・クアラルンプール
- 7月30日 中国 近畿 東海 関東甲信 北陸地方が梅雨明け
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