◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2006/10/01】



◇第135回◇
自民党総裁選を振り返る

 去る9月20日に行われた自民党総裁選挙では、予想通り 安倍晋三氏が麻生太郎、谷垣禎一両氏を大差で破り、第21代総裁に就任した。9月26日の臨時国会で、自民、公明の賛成多数で第90代(57人目)の総理大臣に指名された。
 当初、ポスト小泉は、麻垣康三で争われる等と言われていたが、福田康夫氏は 早々と情勢を察して不出馬を宣言した。賢明だったと思う。また、立候補の意思を持っていた山崎拓氏や額賀福志郎氏等も途中で断念したが、仮に出馬していたら惨敗に終っていただろう。

 総裁選は 安倍氏断然優勢の中で進み、既に勝負は決まっていたため、誰が総裁になるかの関心はなかった。
マスコミだけが、各候補は 争点を示せ、小泉政権との違いは、靖国問題は…等と言って煽り立てた。
同じ自民党の中で、しかも小泉内閣の閣僚であった3人に、考え方や政策に根本的な違いがあろうはずがない。
強いて言えば、いくつかの政治課題の中での重点の置き方の差異ぐらいだろう。(但し、谷垣氏だけは 東アジア外交の建て直しのため、靖国神社参拝は しないと言った)
各候補者は、自らの信念や政策を淡々と述べればよいのであって、マスコミの尻馬に乗って あえて他候補との争点を際立たせるようなパフォーマンスは如何なものかと思っていたが、その節度は概ね守られたようだ。

 安倍さんの人気は、北朝鮮の拉致問題で示した毅然たる姿勢から始まったように思われる。
国民は、そこに安倍さんの信念や国家観に共感を感じたのだろう。その背景には、これまでの我国の外交、とりわけ対中国、対韓国外交における 事なかれ主義や曖昧主義に対する鬱積した国民の不満があったと見るべきだ。
 今我国が直面している政治課題は、例えば財政再建、教育問題、社会保障(含少子化)、外交防衛問題等々多岐にわたるが、国民が新総理に求めているものは、個々の政策よりも、国のリーダーに相応しい人物かどうかである。
国のために命を賭してでもやるという強固な信念の持ち主であるかどうか、理念に裏打ちされた世界観や国家観を持っているか、リーダーシップを発揮して、自らの政策を実現できる人物かどうか…等々であろう。

 谷垣禎一氏は、財政再建を最重要課題に挙げ、消費税率10%への引上げの必要性を説いた。深刻な国の財政事情を訴え、増税の必要性を率直に国民の前に明らかにした点は 評価できる。しかし、財政再建や増税の必要性は、自民党のみならず 国民共通の認識になっており、特に目新しいものとしての迫力はなかった。
 彼の最大の敗因は、東アジア外交の建直しを図ると言い、そのために靖国神社参拝は しないと述べたことである。
東アジア外交の建て直しと言いながら、中国の一方的な東シナ海資源開発や尖閣諸島の領有権問題、韓国による竹島の不法占拠問題等にどう対処するのか、肝心なことには 全く触れていない。これでは谷垣氏の外交の中味とは、ただ 中国や韓国の内政干渉に屈して靖国神社に参拝しないということだけではないか。谷垣氏の姿勢は 中国や韓国に迎合的だと受止められた。

 麻生太郎氏については、最近の北朝鮮ミサイル発射問題に関する国連安保理非難決議に際して、安倍官房長官との連携プレーで見せた姿勢や外務大臣としての手腕が、国民の間で高く評価された。
総裁選では、豊かさと安心を実感できる国造り等を訴え、教育問題では義務教育の年齢の1〜2年前倒しというユニークな意見も述べていた。
 靖国問題については、靖国神社の自主的任意解散により 非宗教の特殊法人とし、国営化すべきであるという思い切った意見を述べている。しかし、靖国神社が自主的に解散することは考えられないし、また 任意解散を助長するような政治家の言動は、宗教に対する政治介入になることは明らかである。靖国神社を非宗教化して国営化することは、今の我国の政治状況からも困難である。
麻生さんの考え方は理解できる一面もあるが、実際問題としては 実現不可能と言うべきだろう。

 安倍さんは、個々の政策より、彼の政治家としての姿勢、国のリーダーとしての適格性が評価されたと思う。
また、小泉さんに最も近い路線と目された彼が、小泉人気をそのまま引き継いだ格好だ。
 党内の安倍支持の動きは、時間の経過と共に高まっていった。これは、自民党の議員達が、自らの考え方や政策よりも、利害や損得勘定を優先し、勝ち馬に乗ろうとしたことを物語っている。
平素の言動から、どう考えても安倍さんとは、主義主張が違うと思われる人が安倍支持に回っている。こんな信念なき政治家が多数居ることは 嘆かわしい限りだ。

 自民党総裁選と時期をほぼ同じくして、民主党と公明党の役員改選が行われた。民主党では 9月25日の臨時党大会で小沢一郎氏の無投票再選が決まり、公明党では 9月30日の党大会で太田昭宏幹事長代行が無投票で新代表に就任した。
 3年前 小沢一郎氏は、「一兵卒となって…」と言って民主党に合流したが、今や一兵卒どころか大将に のし上ってしまった。
民主党は、まさに「庇を貸して母屋を取られる」の感じだ。無気力な民主党では、今 小沢、菅、鳩山の仲良し3人組の顔しか見えてこない。中堅、若手連中の声は 一向に聞こえてこない。色々な意見があるはずなのに…。豪腕小沢に恐れをなしたか。
その小沢氏も9月25日の党大会後、体調不良で入院してしまった。(検査入院とは言うのだが)
 公明党も今次改選で代表、幹事長が交代したが、党の人事は創価学会の意向によって決まることは間違いないようだ。少なくとも創価学会の意に反した人が党の役員になることはあり得ない。
宗教政党である公明党に 政教分離を語る資格はない。
 いづれにしても 民主党や公明党の党首改選に、国民の関心はなかった。(2006.10.01)

 次回は(第136回)「安倍新総理に期待するもの」(2006.10.15)
  【出来事】
  • 9月15日 麻原彰晃(松本智津夫 51)の死刑確定 最高裁 弁護側の特別抗告を棄却
  • 9月17日 台風13号 夕刻長崎県佐世保市付近に上陸 日本海へ(死者行方不明10名 延岡市で突風による列車転覆等被害多数)
  • 9月19日 タイで陸軍によるクーデター (タクシン首相は国連総会出席のため米ニューヨークに滞在中)
  • 9月20日 自民党総裁選 [結果]安倍晋三464票(議員票267 党員票197) 麻生太郎136票(議員票69 党員票67) 谷垣禎一102票(議員票66 党員票36) 他に議員票に無効1票
  • 9月24日 大相撲秋場所千秋楽 横綱朝青龍が13勝2敗で優勝(14日目で決まる)
  • 9月25日 自民党安倍総裁 党3役人事を指名 臨時総務会で承認 幹事長に中川秀直政氏 総務会長に丹羽雄哉氏 政務調査会長に中川昭一氏 尚幹事長代理に石原伸晃氏 国会対策委員長に二階俊博経氏
  • 9月25日 民主党臨時党大会 小沢一郎代表の再選を正式に承認 菅直人代表代行 鳩山由紀夫幹事長の再任も了承 小沢代表検査入院
  • 9月26日 第165臨時国会召集(会期12月15日までの81日間) 安倍晋三氏を首相に指名
  • 9月26日 安倍内閣組閣 新政権発足
  • 9月29日 乗客 乗員約150人を乗せたブラジルGOL航空の国内線旅客機が墜落 小型ジェット機と接触した模様
  • 9月30日 公明党定期大会 代表に太田昭宏氏を選出(代表代行に浜四津敏子氏が 幹事長に北側一雄が指名される)