◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2007/01/01】



◇第141回◇
2007年を迎えて(T)

 総理就任3ヶ月の安倍さんにとって、今年はその力量が評価される重要な年になるだろう。
特に7月に予定されている参院選は、安倍新首相の大きな試金石になる。与党が参院選に敗れるようなことになれば、その後の政権運営は 不安定になり、安倍内閣は致命的な打撃を受ける。
 最近 安倍内閣の支持率は、郵政民営化造反議員の復党問題、道路特定財源の一般財源化問題(後述)、タウンミーティングのやらせ質問等が影響してかなり低下した。
また、政府税制調査会長 本間正明氏が 公務員官舎への不適切入居問題で辞任に追い込まれ(昨年12月21日)、佐田玄一郎行政改革担当相が政治資金収支報告書虚偽記載問題で引責辞任した(昨年12月27日)。これらの不祥事は 安倍内閣に更に追い打ちをかけるダメージになりそうだ。
 支持率を回復し、参院選を勝ち抜くためには、古い自民党から脱却した新鮮な改革政治を国民にアピールするしかない。

 まず、強く叫ばれている国の財政再建に向けての2007年度の政府予算編成に注目したい。
昨年12月に発表された2007年度政府予算案によると、景気回復による税収を、2006年度予算より約7兆6千億円も多い約53兆5千億円を見込むことができたため、新規国債発行額を、2006年度より 約4兆5千億円減らして約25兆4千億円に抑えることができた。
今回、景気回復により 大幅な税収増を計上できたのは ラッキーだったと言うべきであり、将来に亘って税収増を期待すべきではない。今後とも 歳出削減に 厳しく取り組むべきことは言うまでもない。
予算総額は 2006年度に比べて4%増の約82兆9千億円、その内 政策に使われる一般歳出が同1.3%増の約47兆円となり 3年ぶりに増加に転じた。これは社会保障費の増加等によるものとは言え、財政改革の見地から見れば 課題を残したと言うべきだろう。
予算編成に当っては、景気回復により 多少税収が増えたからと言って、歳出削減の手を緩めることなく、財政再建に向けての着実な第一歩を踏み出すことが重要である。
 今月25日から始まる通常国会では、先に参院選を控えている事情もあり、党内外から強い抵抗がありそうだ。
現に 安倍さんが力を入れている道路特定財源の一般財源化については、道路族議員らの自動車業界等を巻き込んでの激しい抵抗に遭い、結局平成20年の通常国会で必要な法改正を行うことで 取り敢えず合意をみた。
しかし、これは 道路整備費を上回る税収部分について一般財源化するのが柱となっており、道路特定財源の一般財源化は 骨抜きにされてしまう可能性が強い。
国民は、厳しい国家財政に鑑み、特別扱いの道路特定財源の存在を望んでいない。道路特定財源を一般財源化することによって、新規国債発行額を縮小する等 財政再建に役立て、今後予想される国民負担増(増税等)の抑制を図るべきだ。
安倍内閣が、道路族議員ら抵抗勢力に屈して 妥協するようなことになれば、それは古い自民党への逆戻りを意味し、安倍総理はもとより、自民党に対する国民の支持率は著しく低下するだろう。

 昨年 民主党は、政策よりも政府自民党との対決を重視する場面が多く、国民の不評を買った。
右から左までの寄せ集め集団と言われる体質は一向に改善されない。 なにしろ、今だに原子力発電を容認するかどうかさえ決めかねているのが民主党の現状なのだから…。
今 民主党に求められているのは、憲法改正、国の安全保障や防衛、国の財政再建対策、社会保障等々、国の根幹に関わる問題について、党としての方針を明確にし 現実的 建設的な政策を策定して、国民の前に示すことである。
 昨年暮に問題になった本間氏(元政府税調会長)や佐田氏(元行政改革担当相)の不祥事の追及のみに、汲々としているようでは失格である。政治家や政党の本来の使命は、自らの政策を政治に反映させることにあるはずである。
基本政策で相容れないはずの共産、社民両党と共闘を組み、政策よりも政府与党との対決優先の姿勢では、国民の支持は得られない。

 高い支持率に支えられて発足した安倍内閣も、相次ぐ不祥事等で支持率が低下し、求心力にも陰りが出てきた。
民主党には、今夏の参院選は チャンス到来と言うべきなのだが、党の理念や政策が見えないし、小沢執行部の党運営も ちぐはぐである。これでは、とても国民の支持は得られない。
参院選まで、まだ半年ある。昨年 民主党が 永田元議員による偽メール事件で致命的なダメージを受けたように、政治の世界では、何が起こるか分からない。参院選の見通しは不透明で、両陣営とも予断を許さない。

 我が国経済は、デフレから脱却し 概ね順調に推移しているように思われる。
平成14年2月から始まった景気回復が、昨年11月で58ヶ月に達し、戦後最長だった「いざなぎ景気」(昭和40年11月〜45年7月の57ヶ月)を超えたと言われている。
 景気拡大期間が戦後最長を更新したとは言え、成長率は低く、個人所得や消費が伸びず、国民にとって好況感はあまりないようだ。
しかし、企業の業績は かなり回復してきたため、これから個人所得の伸びが期待される。
ただし、個人消費の大幅増は期待できないだろう。それは、我が国経済が成熟期に達しており、国民の間にあまり買いたい物がないこと、更に 将来に対する不安があるからだと思う。将来に対する不安とは、国家財政が逼迫しているため、将来の社会保障(年金、医療等)に期待が持てないと多くの人々が感じていることだ。

 今年から 団塊の世代が一斉に定年を迎える(団塊の世代=第1次ベビーブームの1947年〜1949年頃生まれた人々)。即ち 2007年問題の到来である。
景気はそれ程良くないのに、人手不足の傾向から 求人倍率は上昇し(失業率は低下)、 定年延長の動きが加速されるだろう。定年延長は 結構なことだ。同時に高齢化社会と社会保障の問題がクローズアップされるだろう。
 これからは、かっての高度成長期のような好景気は期待できない。当分は、それなりの景気が持続できれば良しとすべきなのかもしれない。(2007.01.01)

 次回は(第142回)「2007年を迎えて(U)(2007.01.15)
  【出来事】
  • 12月15日 第165臨時国会会期を12月19日まで4日間延長 野党4党(民主 共産 社民 国民新)が安倍内閣と麻生外相の不信任決議案を提出したため(両不信任決議案は与党の反対多数で否決)
  • 12月15日 防衛庁の省昇格関連法と改正教育基本法が参院本会議で自民公明両党等の賛成多数で可決成立(防衛庁の省昇格関連法は民主党も賛成)
  • 12月18日 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議 1年1ヶ月ぶりに再開 於中国北京
  • 12月18日 宙航空研究開発機構(JAXA) 技術試験衛星「きく8号」を搭載したH2Aロケット11号機の打ち上げに成功 於鹿児島県種子島宇宙センター
  • 12月21日 政府税制調査会長本間正明氏 公務員宿舎に女性と同居していると報じられた問題で引責辞任
  • 12月22日 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議 成果なきまま休会 今後の日程不明
  • 12月23日(日本時間24日未明) 国連安全保障理事会 ウラン濃縮停止を拒否しているイランに対し 核 ミサイル関連物資の禁輸などを定めた制裁決議を全会一致で採択 イランは直ちに同決議を拒否
  • 12月27日 佐田玄一郎行政改革担当相 政治資金収支報告書虚偽記載問題で引責辞任 後任に渡辺喜美氏(内閣府副大臣)が就任(12月28日)
  • 12月30日 イラクのフセイン元大統領の死刑執行(去る11月5日イラク高等法廷で1審死刑判決 12月26日上訴審で控訴棄却 死刑が確定していたもの) )