◇第142回◇
2007年を迎えて(U)
国外に目を転ずれば、今年の我が国の最大の関心事は、やはり北朝鮮問題だろう。
色々言ってみても、北朝鮮が核実験を行い、核保有国になった事実は否定しようがない。
昨年12月18日 約1年1ヶ月ぶりに再開された北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は、案の定 何の成果もないまま、12月22日に休会になってしまった。しかも、再開の目安さえもない。
2003年8月から これまで 6回に亘って行われた6カ国協議は、北朝鮮に核開発の時間を与えたのみで 失敗であった。
一方 北朝鮮側は、今回 金融制裁に関する米朝協議の開催に漕ぎつけただけでも前進と見ているだろう。
北朝鮮との協議や話し合いによる解決が不可能であるとすれば、これまでのような6カ国協議を このまま続ける意味はない。
だが 北朝鮮には 経済的に危機に瀕しているという弱点がある。国際社会が結束して、更に厳しい経済制裁を徹底し、北朝鮮を追い込めば 事態打開の道は開ける。
しかし、中露は北朝鮮を追い詰めることに反対し、韓国は北朝鮮に宥和政策を取っているのが現状だ。これでは北朝鮮核問題の平和的解決は 困難と言わざるを得ない。
我が国としては、北朝鮮への経済制裁を強めるとともに、安全保障に関しては、最悪の事態を想定した防衛態勢の整備に万全を期すことだ。
日本国民が心を痛めている拉致問題についても、北朝鮮は核保有国として一層強硬な態度に出てくると思われ、残念ながら 今年の進展は 期待できないだろう。
イラクでは、宗派対立や部族間対立が激化し、大規模なテロが多発する等、治安は一層悪化している。
アメリカの一部マスコミは、イラクの現状を内戦と表現し、前国連事務総長アナン氏も内戦状態にあると明言していた。
ブッシュ政権は、昨年の中間選挙敗北により イラク政策の見直しを求められ、ラムズフェルド国防長官が辞任した。後任のロバート・ゲーツ新国防長官の采配が注目される。
これから アメリカは、長期的には イラク駐留軍の段階的縮小を模索していくものと思われるが、前途多難が予想される。
去る1月10日、ブッシュ大統領は、対イラク新政策を発表した。これは、2万人超のイラク駐留部隊の一時的増派を行い、今年11月までに 治安権限をイラク政府へ全面的に移管することが目標等となっているが、米国内では 民主党をはじめ反対意見が多数を占め、予断を許さない。
いづれにしても、ブッシュ大統領は 極めて難しい舵取りを迫られており、今後の成行きに 世界の関心が集まる。
昨年 我が国はイラク派遣自衛隊を撤収したが、今年は イラク派兵部隊を撤収する国が増えるだろう。
北朝鮮と並んでイランの核開発も国際社会の非難を受けており、とりわけ 米国及びEU(英、仏、独)が、核兵器開発の放棄を強く求めている。
昨年12月23日、国連安全保障理事会は、国連憲章第7章41条( 経済制裁を中心とする非軍事的制裁措置 )に基づくイラン制裁決議を全会一致で採択した。イランは 即日これを拒否している。
決議内容は、イランに対し ウラン濃縮や再処理活動、重水炉建設の停止を義務付け、国連全加盟国に対しては イランの核・ミサイル開発に寄与する物資・技術の禁輸を求める等となっている。
しかし、米国も支持した英、仏、独が 当初作成した決議原案は、イランに石油利権を有するロシア、中国に反対されたため、採択された決議は かなり後退した内容になっている。
これは、昨年の北朝鮮核実験に対する国連制裁決議採択(10月14日)に際して、日、米が主張した当初案に 中国、ロシア、韓国が反対したため、後退した妥協案に落着いたケースに似ている。
また、北朝鮮-イラン間では、ミサイル・核技術の交換も頻繁に行われているらしい。それは 昨年 北朝鮮の幹部(崔泰福最高人民会議議長)がイランを訪問し、アフマディネジャド大統領と会談していることからも明らかだと言われている。
国連のイラン制裁決議には、イランが60日以内に決議を履行しない場合は、“さらなる適切な措置”を取ることになっており、北朝鮮問題とともに今年の動向が注目される。
それにしても、ロシアや中国の自己中心的な利権絡みの行動は、国際社会から批判されても仕方がない。
最近、色々な事件や不祥事が、連日 新聞社会面を賑わしている。
いじめによる自殺、子供への虐待、青少年を含む凶悪犯罪、飲酒運転事故、贈収賄や談合、給食費 NHK受信料 医療費の不払い…等々。
このような社会規範紊乱の現象は、日本人の質の低下を物語っており、我が国の未来に憂慮すべき影を落としているように思う。
事件や不祥事が起こる度に、再発防止対策が検討されるようだが、問題は簡単ではない。小手先の対策は無駄だ。
問題社会をもたらした原因を辿れば、それは長年に亘る不適切な教育にある。とりわけ、日教組が教育に及ぼした弊害は計り知れない。それを許してきた政府、文部省の責任も大きい。
不適切な教育がもたらしたもの、それは…無責任な自由、間違った平等、利己主義、倫理道徳観の欠如、甘えの構造、厳しさ 根性の欠如、遵法精神の欠如、学力の低下、家族の絆の衰退、社会や国家への帰属意識の欠如等々…挙げればきりがない。
教育を正常化するためには、これまでのタブーを排し、教育の本質にメスを入れた教育改革が必要だ。
昨年ようやく教育基本法の改正が実現した。
教育改革は、国家的大事業だ。自民党は今夏の参院選で、教育改革を政権公約の柱の一つにする方針という。
教育問題に熱心だと言われている安倍さんに大いに期待したい。(2007.01.15)
次回は(第143回)
「NHKの受信料」(2007.02.01)
【出来事】
- 1月7日 大相撲初場所初日(両国国技館)
- 1月9日 防衛庁が防衛省に昇格
- 1月9日 安倍首相 麻生外相 夫々ヨーロッパに向けて出発 (安倍首相訪問先→英 独 仏 ベルギー EU NATO)(麻生外相訪問先→ルーマニア ブルガリア ハンガリー スロバキア)
- 1月13日 北海道太平洋沿岸東部 オホーツク海沿岸に津波警報 北海道から和歌山県までの太平洋沿岸に津波注意報発令(37,000世帯に避難勧告) 北西太平洋を震源とするマグニチュード8.2の地震のため (被害なし)
- 1月13日 安倍首相 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議等の開催地フィリピンのセブに向けてフランスを出発
- 1月14日 安倍首相 温家宝首相との日中首脳会談 日本ASEAN首脳会合 日中韓3ヶ国首脳会談に出席 於フィリピン セブ
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