◇第143回◇
NHKの受信料
NHKの不祥事の発覚を契機に、受信料不払いが増加し 問題になっている。
毎日 テレビを見ている私は、NHKの受信料は、当然 払うべきものだと思っているのだが、必ずしもそうでもないらしい。
菅総務大臣は、受信料の2割値下げとセットで放送法を改正して支払いの義務化を図ると言う。
ということは、今は 受信料支払いは 義務ではないということになる。
NHKの受信料については 放送法第32条に書いてある。
分かりやすく言うと、NHKの放送を受信できるテレビを持っている者は、NHKと受信契約をしなければならない…と書いてあるのだが、受信契約をしなければ、受信料支払いの義務はないということらしい。
(受信料を払っている者は、受信契約に基いて払っているはずである。受信料を払うことによって受信契約を結んだことになり、受信料支払いの義務を負うことになる…分かったような分からない話である)
「NHKと受信契約をしなければならない」と書いてあって、「テレビ所有者は、NHKと受信契約をしたものと見做す」とは書いてない、即ち見做し規定ではないから、テレビを持っているだけでは 受信契約をしたことにはならない。したがって、受信契約がなければ、受信料支払いの義務が 当然あるとは言えないという論法らしい。
NHK受信料不払いは、対象世帯の2割〜3割にも達しているという。まともに払ってきた私にとっては驚くべき数字だ。
しかし、大方の国民は、受信契約などと難しいことは意識せず、やはり受信料は払うべきものと思っているはずだ。だから7〜8割の人々は受信料を払っている。
NHKは、放送法で 広告放送(コマーシャル)等営利目的の業務は禁止され、運営は受信料によることになっている。
受信料収入がなくなれば、NHKは存続できなくなる。
NHK不要論に立てば 話は別だが、やはり受信料は 払うべきものだ。不払い者の存在は 著しく公平を欠くことになり、それは社会規範に もとることだ。
私は、今の放送法でも、“受信契約をしなければならない”と義務付けているのだから、受信料支払いの義務はあると思う。
しかし、放送法に不備があると言うなら、是正すればよい。(例えば、テレビ所有者は、NHKと受信契約をしたものと見做す等と)
受信料支払いの義務がないことになれば、NHKは、国民の善意による受信料(寄付)に頼ることになるが、そんな善意の受信料など払う者はいないだろう。
NHKの不祥事(職員の横領事件等)への抗議手段としての受信料不払いも、正当化することはできない。法治国家の国民としては許されないことだ。
不祥事については、刑事民事などの公的処罰を含む処分や再発防止策に委ねるべきものだ。
今の政府、総務省の姿勢には 極めて問題がある。
冒頭にに述べたように、総務省は、放送法を改正して受信料支払いを義務化すると言っている。これでは、今は 受信料支払いの義務は ないと公言して、不払いを容認し、ゴネ得を助長することになる。放送法の不備を是正すると言うべきだ。
受信料の2割値下げとセットで受信料支払いの義務化を図ると言う菅総務大臣の考え方にも 賛成できない。
受信料の金額と支払いの義務化とは 全く関係がない。したがって、この両者をセットにすべきではない。
受信料をいくらにするかは、NHKの運営にいくら費用がかかるかという問題であり、受信料義務化とは別個な問題として 検討すべきだ。
NHKの体質に 大きな問題があることを指摘しなければならない。
受信料不払いを助長させた原因の大部分は、NHKにある。
これまで 受信料の徴収に真剣に取り組んでこなかったからである。国民年金保険料の納付率が低いと非難を受けた社会保険庁の体質に似ている。
NHKの2007年度の予算によると、受信料約6,000億円を徴収するための費用として、何と761億円も計上している。極めて非常識な数字だ
。
この一事を見ても、NHKの体質に 大きな問題ありと言うべきである。
民間に比べれば、やはり お役所仕事で親方日の丸的体質であることは否定できない。
NHKには、改善すべきことが沢山あるようだし、抜本的な改革が求められる。その成果は 受信料の引き下げの形で国民に還元すべきだ。
民間放送は、どうしても視聴率至上主義的傾向や興味本位、大衆迎合的な番組になり勝ちだ。それは営利目的で運営されている民放の性格上 やむを得ない面もあるだろう。
しかし、公共放送であるNHKには、常に不偏不党、公正の立場が求められる。番組編成に当たっては、視聴率優先主義を排し、公共の福祉や文化の向上等に寄与するため、より一層質の高い放送を目ざして、視聴者の期待に応えてもらいたい。
【追記】 NHKは、最近ようやく 特に悪質な受信料不払い者に対し 法的手段を講じて 効果を挙げているようだが、これにも限界がある。 政府が、放送法を改正して 受信料の義務を明確にしても、給食費不払いに見られるように 社会規範意識が低下した情況では、受信料不払いをなくし、不公平を一掃することは困難と思われる。 総務大臣は、受信料の義務化によって 受信料収入が2割増えると見込んでいるようだが、国税徴収のような強制徴収を徹底しない限り、それは無理だ。 受信料不払いを根絶するためには、スクランブル放送しかないだろう。(スクランブル放送とは、放送にスクランブルをかけて視聴不能にし、受信契約者については スクランブルを解除する方法。WOWOW等が採用しているタダ見防止策)
スクランブル方式にすれば、NHKを見る者だけが受信料を払うことになり、問題は一挙に解決する。
スクランブル方式採用には、 デコーダーの必要等の難問もあるが、検討する価値はありそうだ。
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(2007.02.01)
次回は(第144回)
「問題になった政治家の発言」(2007.02.15)
【出来事】
- 1月15日 第2回東アジア首脳会議(東アジアサミット) 於フィリピン セブ (ASEAN10ヶ国 日 中 韓 インド オーストラリア ニュージーランドの16ヶ国が参加)
- 1月20〜21日 大学入試センター試験
- 1月21日 大相撲初場所千秋楽 横綱朝青龍が14勝1敗で優勝(14日目に20回目の優勝決める 20勝達成が初土俵から49場所目 新入幕から37場所目は大鵬の夫々57場所目39場所目を抜いて史上最速)
- 1月25日 第166通常国会召集(会期 6月23日までの150日間)
- 1月26日 参院副議長角田義一氏(民主党会派離脱中) 扇議長に辞表を提出(政治資金の不正処理疑惑問題で副議長職を引責辞任)
- 1月30〜31日 対北朝鮮金融制裁をめぐる米朝協議 於北京
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