◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2007/04/01】



◇第147回◇
米 北朝鮮に大幅譲歩

 これまで 約3年半にも亘って難航してきた北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議が、去る2月13日、米国の譲歩によって 一気に共同文書の作成に漕ぎ着けた。参照⇒「6カ国協議共同文書」
更に、この共同文書に基づく5つの作業部会も予定通り行われ、日朝国交正常化以外の作業部会は 概ね順調に推移した。
即ち、米国は、経済制裁措置としてマカオの銀行(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連口座の資金約2,500万ドル(約29億円)を全額を解除して北朝鮮に返還するという予想外の大幅譲歩を示した。重油5万トンは韓国が供給することになった。
北朝鮮は、 寧辺(ニョンビョン)の核施設の停止や封印、国際原子力機関(IAEA)の監視に同意する意向を示していた。
このため、3月19日からの第6回6カ国協議では、 寧辺の核施設の停止等 初期段階措置の実施に向けての合意が得られるものと期待されていた。
 ところが、北朝鮮は、凍結資金全額が返済されたことを確認するまでは、協議に応じないという態度に出たため、初期段階措置の手順等 核放棄に関する実質協議に入れず、次回協議日程も決まらないまま休会になってしまった。
2月の6カ国協議では、初期段階措置を60日以内に実施することで合意していたが、これも裏切られてしまった。

 金融制裁の解除(この場合は凍結資金の解除)は、北朝鮮の核放棄の履行が前提であるべき、即ち北朝鮮の初期段階措置の履行が確認されてから 実施されるべきものであろう。
しかし、今回 北朝鮮の義務履行の前に、金融制裁を解除することにした米国の対応は 極めて不可解である。
北朝鮮は、凍結解除された資金の入金が確認されるまでは、協議を拒否するとして 6カ国協議をぶち壊してしまった。まさに北朝鮮のなすがままで、関係諸国は北朝鮮に振り回されてしまった。
 北朝鮮を悪の枢軸と呼ぶなど、強硬な姿勢をとり続けてきた米国の今回の大幅譲歩は、対北朝鮮政策の転換を印象付けた。
この米国の変化は、去る1月16日の ベルリンに於ける米朝首席代表による非公式会談から始まった。
1月の米朝会談が、予想外の第3国 ドイツのベルリンで突如行われたこと、同盟国である日本にも 事前の説明や打合せがなかったことは、注視すべきである。
北朝鮮に対する最近の米国の動きは、米国の極東政策の変化を示しているように思われる。
米国の政策変更の背景には 次のようなことが考えられる。

  • 米国がイラク攻撃に踏みきって既に4年が経過したが、イラクの治安は一向に回復せず、米国は大変な犠牲を強いられている。また 反米国家イランの核開発問題も抱えている。
    イラク、イランの中東問題と極東アジアの北朝鮮問題の両面作戦は、アメリカの力の限界を超えている。
    極東アジア(北朝鮮)よりも中東問題の方が、米国にとっては重要である。
  • 昨年の米 中間選挙で与党共和党が敗北し、ブッシュ大統領の対外強硬路線が支持されなくなった。
  • 6ヶ国協議や対話による北朝鮮の完全な核廃棄は困難であるため、核の不拡散に重点を置き、核兵器がテロリストに渡ることを阻止する方向に転換した方がベターである。
  • 北朝鮮が核保有国になっても、今のレベルでは 米国が直接核攻撃の脅威に曝されることはない。
  • 核の不拡散を含め北朝鮮の問題は、今や大国になり 影響力のある中国に任せた方が得策である。
  • 日米同盟や米韓同盟は、東西冷戦時代には、米国にとって大きな意義を持っていたが、今は状況が変わっている。特に韓国は 米国と一線を画す傾向があり、米国の極東重視路線に変化が生じている。
 これまで、我が国は6カ国協議に臨むに当っては、米国と緊密な連携の下に対応してきた。今回 米国が北朝鮮に対し 大幅譲歩に転じたことは、我が国としては、予想外であり 誠に遺憾である。
しかし、米国には 米国の国益や世論に沿った政策があり、この現実を 我が国は、冷静に受け止めて 対処しなければならない。
日米安保条約の相手国 米国は、我が国の安全保障上からも 重要なパートナーであることに変わりはない。
今、我が国が採るべき道は、米国の変化に影響されることなく、我が国の方針を貫くことである。
具体的には、北朝鮮の核の完全廃棄は勿論、拉致問題の解決なくして北朝鮮問題の解決はあり得ないということだ。

 北朝鮮との国交正常化は、我が国にとってメリットはない。したがって、国交正常化を急ぐ必要は微塵もないはずだ。
北朝鮮は、日本の孤立化を策しており、日本は6カ国協議に参加する資格なしだ等と豪語している。
北朝鮮が拉致問題に誠意を示さないことが明確になれば、我が国は6カ国協議からの離脱も想定しなければならない。そうなれば 拉致問題は、6カ国協議の場以外での別の対策を考える。
 韓国などは、各国が北朝鮮に応分の見返りを負担しているのに、日本だけが拉致問題を理由に負担しないのは 安全のただ取りだと批判しているようだ。しかし、この批判は全く筋違いだ。
我が国は、北朝鮮の核の威嚇に屈して、理不尽な経済支援は行わないという立場を鮮明にすればよい。

 期待された3月の第6回6カ国協議は、徒労に終わった。こうなると6カ国協議の先行きも不透明だ。
国際社会が北朝鮮に求めているのは、全ての核計画の検証可能かつ不可逆的な完全廃棄である。
寧辺以外の核関連施設、既に保有しているとされる複数の原爆やプルトニューム、密かに開発が進められていると言われる高濃縮ウラン開発施設(計画)等々については、全く不透明で霧の中だ。
北朝鮮は、これからも テロ支援国家の指定解除を求める等、数々の要求を出してくるだろう。
しかし、北朝鮮が、核の完全放棄に応ずることは 考えられない。
それは、北朝鮮が6カ国協議を通じて 核の値打ちを十分実感したからだ。(2007.04.01)


 【ちょっと一言】
 「我が国も北朝鮮に対して応分の支援をしないと孤立する、バスに乗り遅れる」
等という意見がある。(自民党の山崎拓、加藤紘一、民主党の前原誠司氏等)
 これらの意見は、既に述べた通り全く論外だ。北朝鮮の核の威嚇に屈し、理不尽不当な要求を是認するのみならず、拉致問題の軽視はもとより 我が国の主体性を否定する非常識な意見と断じたい。
この種の意見は、我が国外交の足を引っ張ることにもなり 極めて遺憾だ。(2007.04.01)

 次回は(第148回)「核の威力と値打ち」(2007.04.15)
  【出来事】
  • 3月15〜18日 北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議共同文書に基づく作業部会(15日経済・エネルギー協力 16日北東アジアの平和・安全保障体制 17〜18日朝鮮半島非核)
  • 3月16日 気象庁 東京で初雪を観測と発表(観測史上最遅)
  • 3月19〜22日 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議(第6回) 於中国北京 北朝鮮がマカオの銀行(BDA)で凍結されている資金の全額返還確認まで協議を拒否したため 会期を延長したが 22日北朝鮮代表が帰国したため核廃棄に向けた協議なきまま休会となる
  • 3月20日 東京 日本一早い開花宣言
  • 3月23日 第79回選抜高校野球大会開幕 於阪神甲子園球場
  • 3月24日 プロ野球 パ リーグ公式戦開幕
  • 3月24日(日本時間25日未明) 国連安全保障理事会 ウラン濃縮活動を続けるイランに対する追加制裁決議案を全会一致で採択
  • 3月25日 石川県能登で震度6強の地震発生 新潟 富山両県でも震度5弱を記録 震源地は能登半島沖 M6.9 死者1名 負傷者250名超 家屋や道路の損壊等被害多数(“平成19年能登半島地震”と命名)
  • 3月25日 大相撲春場所千秋楽 大関白鵬が13勝2敗で並んだ横綱朝青龍を優勝決定戦で下して優勝
  • 3月26日 平成19年度政府予算 参院本会議で賛成多数で可決 成立
  • 3月30日 プロ野球 セ リーグ公式戦開幕
  • 3月30日 急患搬送のため那覇市から鹿児島県・徳之島に向かった陸上自衛隊ヘリコプターが同島の天城岳山中に墜落 乗組み自衛官4人全員死亡