◇第148回◇
核の威力と値打ち
北朝鮮を悪の枢軸と呼び 米朝2国間協議を拒否してきた米国に、米朝協議に応じさせただけでなく、経済制裁措置として凍結していた北朝鮮関連口座の資金全額の解除という大幅譲歩をさせた北朝鮮は、今 自ら開発した核の威力と価値を実感していることだろう。
これまでの6カ国協議は、北朝鮮の核開発の時間稼ぎに まんまと利用されてきたことになる。
即ち、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議 第1回目から 既に約3年半余が経過したが、この間 北朝鮮はせっせと核開発に励んでいたことになる。
北朝鮮の立場から見ると、昨年(10月9日)待望の核実験を行い、核保有国になることができた。6カ国協議では、これからは対等な立場で、否 優位な立場で協議に臨むことができると感じたに違いない。
最近の6カ国協議をめぐる情勢は、北朝鮮の思惑通りになってきた。核保有国になった北朝鮮は、今や完全に優位な立場にあり、米国から大幅譲歩を引き出し、関係各国は 北朝鮮に振り回されている。
これからも北朝鮮は、核廃棄をネタに、法外な要求を出してくるに違いない。
しかし、関係諸国が どんなに大きな見返りを提供しても、北朝鮮が 核を完全放棄することは あり得ないだろう。
核によって ようやく勝ち取った国際社会での立場を、根底から失うことになるからだ。
強力な軍事力や経済にも恵まれない北朝鮮は、生き残るための唯一の手段が 核だと思っているかもしれない。
北朝鮮の非核化は、金正日体制の崩壊以外には考えられないと思う。
広島、長崎の原爆の洗礼を受け、非核三原則を掲げる日本人にとって、核に対する拒否反応は特に強い。自国であろうと他国であろうと 核開発や核保有は 無条件に正当化されないと思っている人が多い。
我々は、北朝鮮の核開発を無条件に拒否するが、韓国の盧武鉉大統領は、北朝鮮の核保有が自衛のためと言うのなら 理解できると容認発言をしたこともある。
現在 核保有国は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、更には中国、インド、パキスタンであり、イスラエルも保有している可能性がある。これに北朝鮮が加わることになる。
インドやパキスタンの例が示すように、核開発の段階では、国際社会から、核開発放棄を求められて 経済制裁等強い圧力がかけられるが、一旦保有してしまえば 事実上容認され、非難されることはない。これが国際社会の現実だ。
(緊張関係にあったインド、パキスタン両国が核保有国になったため、核が両国の軍事衝突の抑止力になっている面も見逃せない)
自分達(米、中、露)は 核を持っているのに、お前(北朝鮮)は 持つな と言うのは、確かに理不尽ではある。
だから 核を放棄すれば その見返りに重油等の提供という取引の協議になるのだろう。
2003年8月の第1回6カ国協議の時、ホスト国 中国は、「段階を追い、同時的又は並行的に、公正かつ現実的な解決を求めていく」と総括し、北朝鮮に一挙に核廃棄を求めることは 最初から考えられていなかったのである。
北朝鮮と並んで イランの核開発の動きも 国際社会の非難を受け、その放棄が求められている。
国連安保理は 昨年12月、核兵器開発につながりかねないウラン濃縮活動の停止を求めて ミサイル関連物資の禁輸などを定めた対イラン制裁決議を採択したが、イランはこれを拒否してウラン濃縮活動を継続してきた。このため 国連安保理は、去る3月24日、更に 対イラン追加制裁決議を全会一致で採択した。
しかし、イランは二度に亘る国連制裁決議にも拘らず、決議採択の不当性を訴え、ウラン濃縮活動継続を表明している。
北朝鮮の場合と同様、対話や説得によってイランに 核開発を断念させることは 困難だろう。
しかし、イランには 北朝鮮のように、核をネタに 関係諸国に揺さぶりをかけ、身勝手な要求を出す等の狡猾さが見られないだけ まだましかもしれない。
北朝鮮に続いて イランが核保有国になるのも時間の問題と見るべきだろう。
今後とも 我が国は、北朝鮮に対し、核の完全廃棄と拉致問題の全面解決を強く迫っていかなければならない。
しかし、残念ながら、北朝鮮が核保有国になったという現実は認めざるを得ない。
核を保有する無法者国家北朝鮮に、国際社会と連携して どう対峙して行くかを真剣に考えねばならない。
我が国の安全保障が更に大きな課題になってくる。
(2007.04.15)
次回は(第149回)
「赤ちゃんポスト」(2007.05.01)
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