◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2007/05/01】



◇第149回◇
赤ちゃんポスト

 熊本の慈恵病院が計画していた「赤ちゃんポスト」の設置が、去る4月5日 熊本市から許可された。(同病院では これを「こうのとりのゆりかご」と呼んでいる)
「赤ちゃんポスト」とは、遺棄される新生児の命を救うため、人目に付きにくい外壁にあけられた窓の内側に 「インファント・ウオーマー」と呼ばれる新生児用の保育器を設置して、外から窓を開けて新生児を密かに保育器に置くことができる。新生児が置かれるとブザー等が作動して 待機している看護師らが駆けつけて保護するシステムになっている。一度ポストの窓を閉めたら、外からは再度開けることはできない。
 「赤ちゃんポスト」の発祥は古く 1198年イタリアが最初と言われ、中世ヨーロッパでは 修道院などに設けられていたと言う。ドイツでは 2000年の開設以来 2005年までに、NPO 、キリスト教団体や病院による設置が80ヵ所を超えているそうだ。

 熊本市から相談を受けた厚労省は、ポスト設置自体は 現行法に違反しているとは言えないとして、事実上「赤ちゃんポスト」を認めてしまった。熊本市の慈恵病院では、既に先月 設置工事を行ない、近くポストの運用を始めるらしい。
 当然のことながら これについては、賛否両論がある。
捨て子や養育義務の放棄を助長することになるという反対意見に対し、賛成論者は、望まれずに生まれてきた赤ちゃんの殺害や中絶から 幼い命を守るためには、「赤ちゃんポスト」は認めるべきだと主張する。
自ら生んだ赤ちゃんとの絆を断ち切ってまで、我が子を手放さざるを得ない深刻な事情がある母親にとって「赤ちゃんポスト」は まさに救いの手だ。母子の愛情や絆は強く、簡単に断ち切れるものではないから、「赤ちゃんポスト」を利用する捨て子は増えない、したがって、捨て子を助長することにはならないと賛成派は 言う。

 果たしてそうだろうか。
「赤ちゃんポスト」が、新生児を 人知れず密かに捨て去るには 格好の場所になることだけは 確かである。
命を救うためとか 捨て子を助長するなどという簡単な理屈で 割り切れる問題ではないだろう。
それは、人間性の問題、人はどう在るべきかという社会規範の根本を揺るがす問題にもなってくる。
最近、モラルの低下が問題になっている。性道徳の乱れも例外ではない。「赤ちゃんポスト」は、性道徳の乱れに拍車をかけることにならないか。
人命尊重と言えば聞こえはいいが、稀には子犬や子猫を捨てるような感覚を持つ非常識な者も居るだろう。
親による幼児虐待も増えている。母子の絆は強いから、赤ちゃんポストの利用は増えないと賛成論者は言うが、極めて疑問である。
犯罪に利用されることも十分考えられる。
慈恵病院には、県外の複数の病院から照会があると言われ、今後、同様のポスト、即ち新生児を安易に捨てられる場所が全国に拡大する危険性もある。

 「赤ちゃんポスト」は、ある条件の下では、捨て子を是認する考え方だ。
動物(哺乳類や鳥)でも、親は 必死になって 我が子を守り 育てようとするではないか。
人間社会に於いても、捨て子は悪というのが 社会規範の前提になっているはずだ。 厚労省が、現行法に違反しているとは言えないと言ったのは、捨て子が人の道に外れることは 法律で決めるまでもなく 当然のことだからだ。だから現行法に照らして合法とか違法という結論は出てこない。
しかし、児童虐待防止法や刑法の保護責任者遺棄罪には 触れると思う。

 「赤ちゃんポスト」に関しては、政府内でも 反対論や慎重論が多いようだ。安倍首相も抵抗を感じると言っている。当然だと思う。 政府は、赤ちゃんポストの設置を許可すべきではない。
 モラルの低下に伴い、幼児虐待や育児放棄の傾向が増えている。道徳教育の必要性が叫ばれている所以でもある。
新生児の命を守るための方策は、別の角度から検討すべきである。
例えば、悩みを持つ母親の相談窓口の拡充 充実、身寄りのない子供達の養育施設の充実等々を 積極的に考えるべきであろう。 (2007.05.01)

 次回は(第150回)「時間の感覚」(2007.05.15)
  【出来事】
  • 4月15日 三重県中部を震源とする地震 亀山市で震度5強 マグニチュードは5.4
  • 4月16日 米バージニア州の州立バージニア工科大学で銃乱射事件発生 32人が死亡 犯人は自殺
  • 4月17日 長崎市長伊藤一長氏(61)が拳銃で撃たれ死亡(犯人は指定暴力団山口組系組員)
  • 4月22日 統一地方選挙(後半戦) 参院補欠選挙(福島 沖縄両選挙区)
  • 4月26日 安倍首相 米国 中東5ヶ国(サウジアラビア アラブ首長国連邦 クウェート カタール エジプト)訪問のためワシントンに向け出発(5月3日まで) 27日 ブッシュ大統領と首脳会談