◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2007/06/01】



◇第151回◇
我が国安全保障の問題点

 昨年の北朝鮮のミサイル発射実験や核実験を契機に、国の安全保障や防衛問題に 多少なりとも目が向けられるようになったのは 結構なことだ。
今年 ようやく防衛庁が防衛省に昇格したこと、集団的自衛権を研究する有識者会議の設置や国家安全保障会議(日本版NSC)創設の動き等は 一歩前進と言える。
しかし、日本を敵視する隣国が ミサイル発射実験や核実験をしたと言うのに、まだ我が国には 真剣な危機感が感じられない。

 最近 日米安保条約との関係で 集団的自衛権の議論が脚光を浴びている。
政府は、これまで 集団的自衛権は保有するが、行使はできないという不可解な見解を取ってきた。しかし、そもそも 安保条約は、相互防衛の国際条約であり、それは集団的自衛権が前提になっているはずである。
例えば、日米の艦船が一緒に行動中に、米艦船が攻撃を受けた場合、日本は 集団的自衛権が認められていないので 自衛隊は米軍支援の攻撃はしない。アメリカ攻撃に向う北朝鮮のミサイルを 我が国上空で自衛隊が撃墜できるのに、これは集団的自衛権の行使に該当するから 手を出さないということが許されるだろうか。
 アメリカは、日本防衛のために 人的犠牲を伴う軍事行動を行うのに、日本側は、軍事的なことでは アメリカに協力しないという身勝手が通用するはずがない。それが現実になったら、アメリカ国民は 黙っていないだろう。
日本がアメリカの属国や保護国ならいざ知らず、対等な国同士の国際条約であるならば、双方お互いに義務を負うのは当然である。
国連も認めている集団的自衛権を 行使できないとする政府の理不尽な見解では、いざという時に日米安保条約は機能しない。
国家として当然有する自衛権を、個別的とか集団的とかに区別する理由はない。
 最近、総理の諮問機関として、集団的自衛権に関する個別事例を研究する有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)が発足した。これを受けて自民党内に「集団的自衛権に関する特命委員会」(委員長・中川昭一政調会長)が設置された。踏み込んだ議論を期待したい。

 我が国は 約40年前の佐藤内閣時代から、“非核三原則”というのを 後生大事に掲げてきた。
しかし、非核三原則(核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず)は、日米安保条約と矛盾しているのである。
我が国が核を保有する必要がないのは、日米安保条約によるアメリカの核の傘のお陰である。アメリカの核に頼っているのに、アメリカの核の持ち込みを認めないとはおかしい。
非核三原則は、非核二原則(核兵器を作らず、持たず)に改めるべきである。
国の安全確保のためには、敵の攻撃に対する防衛態勢の確立は勿論だが、我が国への攻撃を未然に防ぐ、即ち抑止力を高めておくことが大切だ。
抑止力を高めるためには、日米安保条約により、日本はアメリカの核の傘のもとに在ること、即ち 日本には アメリカの核が持ち込まれていることを 公表しておく方が効果的であろう。
 昨年、自民党の中川政調会長が核保有の議論はあっても良いと発言したことが 問題になった。
中川氏の発言は、我が国の将来の安全保障を見据えて、核保有論議という極めて重要な問題を 国民に提起したもので、責任ある政治姿勢として評価すべきであることは、既に第144回「問題になった政治家の発言」(クリックして参照)で詳述した通りである。
 去る5月17日、訪米中の石原慎太郎都知事は ニューヨークでの講演の中で 「日本有事の際、米国が日米安保条約に基づく責任を果たさない場合は、日本は自ら自国を守る努力をする。米国が懸念している核保有につながるかもしれない」と述べている。
 将来 日米安保条約が解消され、アメリカの核の傘に頼れなくなった場合を想定すると、核保有国に囲まれた日本の安全保障は、極めて深刻な事態に陥ることは確かだろう。

 北朝鮮のミサイル発射実験を契機に、敵ミサイル基地への先制攻撃の是非をめぐる議論がある。
敵基地の先制攻撃は、専守防衛に反するから駄目だと言う意見も根強い。この意見は、まず敵の核攻撃を一発喰らってからしか 敵基地を攻撃できないと言うことになる。そんなバカげた議論はない。
広島、長崎の悲惨な例を見るまでもなく、一発の核攻撃の結果は、取り返しのつかない損害を蒙ることになる。
爆弾を一発落とされてから反撃すれば…と言うのは昔の通常爆弾の話、時代錯誤だ。核兵器にやられたら 一発で全てが終わってしまうのである。
しかも、北朝鮮から発射されたミサイルは、わずか10分で我が国に到達する。
人工衛星の情報等で 敵基地からの核ミサイル攻撃が確実になった時点、少なくとも敵がミサイルを発射する前に、敵基地発射施設を破壊して、我が国への核攻撃を阻止しなければならない。
 敵基地の先制攻撃に際しては、的確な判断と他に被害を及ぼさないピンポイント的な攻撃が求められることは言うまでもない。
 日本を核攻撃しようとする国に対しては、我が国は、先制攻撃態勢を整えていることを明らかにしておくことが、抑止力にもつながる。

 我が国は実に奇妙な国だ。
独立国家としての基本的な権能である防衛について 自縄自縛の状態にしている。
自国の防衛に関して 法律で自己規制をしている部分も多い。
その最たるものが憲法だ。現行憲法は、戦後のアメリカの占領政策の一環として 日本の武装解除の方針のもとに作られたものだからだ。
我が国安全保障の足かせになっている憲法の改正が必要であることは言うまでもない。

 我が国は、戦後長きに亘って 国の安全保障を 全面的にアメリカに依存してきたため、国の安全、防衛について真剣に考えてこなかった。世界の常識からすれば、国全体が 今だに平和ボケしていると言わざるを得ない。
 軍備拡大を図り、覇権主義的色彩を強める中国の台頭は、周辺諸国に脅威を与えつつある。国際情勢は 流動的なものだ。
長い目で見れば、日米関係も例外ではない。日米安保条約も永久に続くものではない。
我が国有事の際、安保条約の相手国アメリカをどこまで信頼できるのか、いつまで信頼できるのかという問題も 常に政治課題として考えておく必要がある。 (2007.06.01)

 次回は(第152回)「格差社会とは言うけれど(T)」(2007.06.15)

全勝優勝で横綱昇進を
確実にした白鵬
  【出来事】
  • 5月16日 沖縄地方が梅雨入り
  • 5月18日 教育改革関連3法案(学校教育法改正案 地方教育行政法改正案 教員免許法改正案) 衆院本会議で自民 公明両党の賛成多数で可決 参院へ送付
  • 5月21日 天皇皇后両陛下 スウェーデン エストニア ラトビア リトアニア イギリス訪問へ向けてご出発(5月30日ご帰国)
  • 5月26日 奄美地方が梅雨入り
  • 5月27日 大相撲夏場所千秋楽 大関白鵬が全勝優勝(14日目に優勝決める 横綱朝青龍は10勝5敗に終わる)
  • 5月28日 農林水産大臣 松岡利勝氏が自殺
  • 5月30日 大関白鵬 第69代横綱に昇進
  • 5月30日 前台湾総統 李登輝氏来日(6月9日まで滞在)