◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2007/07/01】



◇第153回◇
格差社会とは言うけれど(U)

 最近、格差社会の現象として、比較的豊かな層と低所得層に、二極化してきたという見方がある。
先日 日本経団連は、今年夏の大手企業のボーナス妥結額平均は、最近の業績好調を反映して過去最高水準の938,000円になっていると発表した。好況の自動車や鉄鋼等は、110万円を超えている。
その反面、業績不振に喘ぎ 低いボーナスに甘んじている企業も少なくないはずだ。
民間企業のサラリーマンにとっては、会社の業績如何によって生ずる収入の格差は やむを得ない。
好業績を 月例給与ではなく、一時金のボーナスに反映させる傾向は、企業間の所得格差の固定化を防ぎ、望ましいことだ。
 下請け中小企業の中には、厳しい経営を強いられているところも多い。しかし、これは経済の国際的グローバル化がもたらした競争力低下によるところが大きいと思われる。

 フリーターやニートの存在が格差社会を作り出していると言われる。フリーターやニートは 「平等至上主義」や「競争否定主義」教育がもたらした産物であることは、前回述べた。
 自分がやりたいと思う仕事に就くべきだという理想論が強調される傾向があるが、これもフリーターやニート発生の原因になっている。
自分がやりたい仕事が見つかるまでは、アルバイトやフリーターで…こんな人が社会の落ちこぼれになっている。
スポーツ選手など特技を持っているような例外を除いて、安易な理想に期待すべきではない。
自分が目指す職業に就くためには、相当な努力が必要であることを認識しなければならない。
いたずらに 仕事の選り好みをすることは、社会の厳しさを弁えない甘えだ。
社会の一員であることを忘れ、自己中心的、身勝手な人は社会から受容れられない。
 与えられた職業に励む中で、仕事への愛着や情熱も湧いてくるというものだ。折角就職しても、直ぐ仕事がいやになって辞めてしまう若者も多くなった。忍耐力や根性を欠く者は、フリーターやニートの予備軍である。

 ワーキングプアという新語を耳にするようになった。働いても貧しいという意味だ。
生活保護との対比で問題になっている。働いている者が、生活保護受給者より 貧しいというのは 確かに矛盾している。
それは生活保護の水準が高いのか、それとも賃金が安いかだ。
生活保護制度は、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の理念に基づいて作られた制度だと言われるが、生活保護の水準が 経済社会の実力以上の高水準になっている面もあるように思う。例えば、自動車を持っていても生活保護は受けられる…etc。(憲法第25条は、あくまでも国の理念を示したもので、国民がこれを根拠に具体的に請求できる性格のものではない)
 業績不振のため、社員が低賃金を余儀なくされている企業も多い。
また、生活保護よりも安い賃金というのは、大半は、アルバイトやパート等非正規社員の場合だろう。
 正規社員、非正規社員を問わず「同一労働 同一賃金」が適用されるべきという人もいるが、それは あまりにも短絡的で間違った意見だと思う。
一般的には、正規社員と非正規社員との間に格差があるのは当然である。

 パートや派遣社員等の非正規社員が増えてきたのは、人件費削減等 主に企業経営上の理由からだが、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料等の企業負担分(法定福利費という)が増えてきたことも影響していると思われる。アルバイトやパートなら法定福利費の負担はないからだ。
 格差是正のためには、賃金をもっと上げればいいとか、法定の最低賃金を上げればいいと言う単純な問題ではない。
人件費の増大は、新たな人員削減、リストラを招くことになる。更に、国際競争力が低下し、産業の空洞化をもたらす結果になれば 元も子もなくなる。
 企業側の非正規社員へのシフト傾向は、企業モラルに反するものと言うべきであり、長い目で見れば安定した正社員雇用の方が、企業経営に資するはずである。
 これから、団塊世代の大量退職、少子化が進む中で、雇用情勢は売り手市場になり、賃金も上昇してくるだろう。そこにワーキングプアの解消も期待するのだが。

 都市への人口集中と地方の過疎化が進み、都市と地方の格差拡大が進んでいる。
もの作り(製造業)の拠点は 地方に立地され、地域社会を支えていたものだが、中小企業を含む製造工場は、人件費が安い中国や東南アジアにシフトして、国内製造業が空洞化したことも大きく影響している。構造的な現象であるだけに、特効薬は仲々見つからない。
政府は、地方の再生 活性化策として、産業再生機構の地方版とも言うべき「地域力再生機構(仮称)」の設立を考えているようだが、これがうまく機能するとは思えない。税金の無駄使いにならなければいいが…。
 都市と地方の自治体の財源格差の拡大が進み問題になっている。(1人当り個人住民税 全国平均を100とすると 東京都180.1 沖縄県53.3)
 これに関連して、菅総務大臣が“ふるさと納税”構想を提唱して、今 大きな話題になっている。
本人の意向により 住民税の一部(1割程度)を、自分が生まれ育ったふるさとへ納めることにすれば、都市と地方の自治体財源格差の是正が図れると言う。
この考え方には賛否両論があるようだが、賛成できない。
もともと住民税は 応益原則に基づくもの、即ち住民が地方の行政サービスを受ける対価として払うものという原則に反する。
税金の納入先を 個人の選択に委ねるということも、税の本質から著しく外れる。
何をもって「ふるさと」とするか、「ふるさと」の定義付けも難しい。子供の頃から何回も住所を変わった人も居るだろう。「ふるさと」に感謝している人、逆に反感を持っているいる人も居るだろう。そんな不安定、不確実な納税制度が自治体間の格差是正に有効とは到底考えられない。
また、その処理作業は煩雑になり、各自治体は対応できるだろうか。
“ふるさと納税”構想は、聞こえはいいが、税の原則を無視した単なる思い付きに過ぎず、現実的ではない。
 しかし、都市と地方の自治体財源の格差問題は、国として避けて通れない重要課題だ。国から地方への税源移譲等を含めた真剣な議論による 筋が通った確かな政策が望まれる。 (2007.07.01)

 次回は(第154回)「第21回(2007)参院選挙」(2007.07.15)
  【出来事】
  • 6月18日 東京地裁 朝鮮総連に対し 整理回収機構(RCC)が求めていた約628億円全額の返済を命じる判決(仮執行宣言付き)
     (破綻した在日朝鮮人系の16信用組合から不良債権<朝鮮総連への融資>を買い取った整理回収機構が 朝鮮総連に約627億円の返還を求めていた訴訟)
  • 6月19日 東京都渋谷区の女性専用温泉施設「シエスパ」別棟の従業員更衣室で爆発事故 3人死亡 通行人を含む3人が重軽傷 周辺家屋にも被害
  • 6月20日 改正イラク特措法(イラク復興支援特別措置法を7月1日より2年間延長) 教育改革関連3法(「改正学校教育法」「改正地方教育行政法」「改正教員免許法等」) 参院本会議で与党の賛成多数で可決成立
  • 6月21日 北陸 東北地方が梅雨入り 沖縄地方が梅雨明け
  • 6月22日 衆院本会議 第166通常国会会期延長を与党の賛成多数で議決(会期は12日延長され7月5日まで)
  • 6月26日 第21回参院選日程 7月12日公示 7月29日投開票を閣議決定
  • 6月27日 英国 トニー・ブレア氏が首相辞任 後任首相にはゴードン・ブラウン氏が就任
  • 6月28日 奄美地方が梅雨明け
  • 6月28日 東京地検特捜部 元公安調査庁長官の緒方重威氏等3人を朝鮮総連中央本部売買をめぐる詐欺容疑で逮捕
  • 6月28日 元首相宮沢喜一氏が老衰のため死去(87才)
  • 6月29日〜30日未明 改正政治資金規正法 社会保険庁改革関連法 年金時効撤廃特例法 公務員制度改革関連法等が与党の賛成多数で可決成立