◇第157回◇
捏造される歴史V(沖縄の集団自決ー座間味島の場合)
大東亜戦争の末期、渡嘉敷島のすぐ西の座間味島でも、渡嘉敷島の場合と同様 島民による悲惨な集団自決事件が起きている。(渡嘉敷島の場合は前回参照)
座間味島に関しては、ジャーナリストの桜井よしこ氏らが詳しく取材している。
当時 座間味島の守備隊長であったのが 梅澤裕少佐であり、集団自決を命令した張本人とされてきた。
米軍の座間味島への上陸が 明日にも迫った昭和20年3月24日夜10時頃、守備隊の基地に、村民代表5名が訪ねてきたという。それは、助役、役場の人、小学校の校長、警察官、女子青年団長たちだった。
助役の宮里盛秀氏が次のように言った 「いよいよ敵が上陸しそうです。お別れに来ました。私たちは 前から、年寄り、女 子供、赤ん坊は 軍の足手まといになるため、死ぬと決めています」
この思いがけない話に 梅澤少佐は非常に驚いたと言う。
更に、宮里助役は続けた 「自決の方法が分かりません。我々皆が集まって円陣を作ります。その真ん中で 爆薬を爆発させて下さい」
「そんなことは出来ない」と梅澤氏は言下に断ったそうだ。
宮里助役 「それなら役場に小銃が3丁ありますから弾を下さい。手榴弾を下さい」と。
これに対し梅澤氏 は 「馬鹿なことを言うな! 死ぬんじゃない。今まで何のために戦闘準備をしてきたのか。みんな あなた方を守り 日本を守るためじゃないか。あなた達は部隊のずっと後の方、島の反対側に避難していれば良いのだ」 更に梅澤氏は 「食糧も 山中の壕に いっぱい蓄えてある。そこに避難しなさい。死ぬなど馬鹿な考えを起こしてはいけないよ」と諭したと言う。
その翌日、米軍が侵攻し、文字どおり地獄の戦闘が始まり、梅澤隊長は 部下の6割を失って遂に敗北した。
戦闘に没頭していた梅澤氏らは、住民たちのその後の動き、約800名中172名が集団自決した事実を知らなかったという。
梅澤氏が、寝耳に水の報道に接したのは、戦後しばらく経った昭和33年の『週刊朝日』の記事だった。事実無根の報道に 梅澤氏は 奥様ともども大変なショックを受けたと言う。反論して訴えても、当時は 軍が悪いの一色で 誰も取り上げてくれなかった。
“梅澤隊長命令による住民の集団自決”が、家永三郎氏や大江健三郎氏等によって喧伝されてきたのは、渡嘉敷島の赤松隊長の場合と同じである。
中でも、大江氏が現地調査もせずに書いた『沖縄ノート』は、昭和45年の出版以来 49版を重ね、梅澤氏への根拠なき非難を全国に広めた。
このため、梅澤氏の家族は、濡れ衣に苦しんだ。梅澤氏は幾度か職場を変え、夫人は息をひそめて暮らし、子息は都会に住むのを嫌って、人と会わなくて済む地方に移り住むのを 余儀なくされたという。
それでも転機が訪れた。それは、昭和60年7月30日、神戸新聞が「絶望の島民 悲劇の決断」「日本軍の命令はなかった」と報じたことだった。これによって大江氏ら“権威”が植えつけた軍極悪説が全面否定されには至らなかったが、次第に軍命令の信憑性が疑わしくなってきた。
集団自決 軍命令説の裏には、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」による遺族への補償金が、軍の命令による集団自決でなければ 民間人には支給されないという事情があったことは、前回述べた渡嘉敷島の場合と同様である。
桜井よしこ氏は、取材で得た証言を、概ね次のように紹介いる。
梅澤氏は昭和34年以来、沖縄への慰霊の旅を続けており、その度に 彼は住民らに暖かく迎えられたそうだ。
昭和62年の慰霊の時、一人の女性が訪ねて来たという。
彼女は言った 「梅澤さん、本当のことを話します。昭和32年、座間味で行われた厚生省の調査の時、『隊長に集団自決を命じられたか』 と問われ、『はい』 と答えました。(補償金をもらうために)そう言わなければならなかったために、そう言いました。しかし、それは真実ではありません」と。
梅澤氏は、なぜ この女性がそんなことを知っているのかと一瞬考えた。すると女性は言った。
「あの夜、5人が隊長に会いに行きました。4人は亡くなりました。私は たった1人の生き残りです。5人の中に女性が1人、女子青年団長が居ましたでしょう。それが私です」と。
彼女の名前は 宮城初枝さんである。
初枝さんは この後、「国の補償金が止まったら、弁償しろ」等の非難を浴びたと言う。しかし、彼女が再び発言を変えることは なかった。
その後、幾人かの住民も真実を語り始め、自決命令は 宮里助役が下したことが判明した。
梅澤氏は 「一番気の毒なのは 故里(ふるさと) が戦場になった沖縄県民だ」と語っているという。
梅澤裕元少佐(90才)は、渡嘉敷島の守備隊長だった故赤松大尉の弟の赤松秀一氏(74才)とともに、平成17年8月、岩波書店と『沖縄ノート』の著者・大江健三郎氏を相手取り、「沖縄集団自決冤罪訴訟」を大阪地裁に提訴し、大江氏らの著作の出版・販売・頒布の禁止等を求めている。
この裁判は、来る11月9日に ようやく大江氏が証人として出廷することになり、年内には結審の予定になっている。来年春にも判決が言い渡される見通しだという。
高齢の梅澤氏のためにも、真実に基づく早期判決が期待される。
最近の調査や証言により、軍命令による集団自決の信憑性が疑わしくなったため、文科省の平成20年度からの教科書の検定で、日本軍が住民に集団自決を強制したとの誤った記述に、修正を求める検定意見がついた。当然のことである。
ところが、沖縄県議会は、この検定意見の撤回を求める意見書を、全会一致で採択したという。
検定意見反対の立場の人達は、“集団自決は日本軍の関与なしに起こり得なかった”“軍命令は間違いない事実”等と言い、検定意見は 県民の心情を裏切るものだ等と述べている。
事実は、感情や多数決で決まるものではない。歴史が 歪曲され 捏造される仕組みを垣間見たような気がする。沖縄県議会の意見書は、理不尽で不可解、非常識なものだ。
去る7月10日、文科省は、教科書検定担当の企画官を外郭団体に異動させる人事を発表した。時期が時期だけに、検定意見に抗議した反対勢力に対する過度の配慮ではないかとの批判もあったが、文科省は、通常の人事異動で 検定問題とは無関係と言っているのだが…。(2007.09.01)
次回は(第158回)
「安倍総理訪印と二人の人物」(2007.09.15)
【出来事】
- 8月15日(日本時間16日) 南米ペルーでM8.0の地震 死者500人以上 負傷者多数の見込み 17日日本でも津波注意報発令 北海道で約20センチの津波観測
- 8月16日 国内最高気温記録を更新 岐阜県多治見市で14時20分40.9度 埼玉県熊谷市でも14時42分40.9度を観測(昭和8年7月25日山形市の40.8度の記録を更新したもの)
- 8月16〜17日 北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議<朝鮮半島非核化」に関する作業部会> 於中国瀋陽
- 8月19日 安部総理 インドネシア インド マレーシアの3か国を訪問に出発(8月25日まで)
- 8月20日 那覇空港で台北発那覇行の中華航空ボーイング737-800型機が着陸後爆発炎上 乗客乗員(165名)は緊急脱出して全員無事
- 8月22日 第89回全国高校野球甲子園大会決勝戦 佐賀北(佐賀)が広陵(広島)を5対4で破り初優勝
- 8月27日 自民党 新三役人事を決定(幹事長に麻生太郎氏 総務会長に二階俊博氏 政調会長に石原伸晃氏)
- 8月27日 安倍改造内閣発足
- 8月29日 メルケルドイツ首相来日 安倍首相と首脳会談 30日民主党小沢代表と会談
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