◇第172回◇
頼りない福田内閣(T)
福田内閣が発足して半年が過ぎた。
最近のマスコミの世論調査によると、福田内閣の支持率は、総理に就任した頃の約60パーセントから、この半年間で30パーセント程度にまで落ち込んでしまった。
福田政権は、発足当初から 国会のねじれ現象という厳しい状況にあったとは言え、福田さんが目指すものは 一体何なのかが一向に見えてこない。
福田さんの不人気を、ねじれ国会のせいにするわけにはいかない。
福田さんの手法は、なるだけ波風を立てないことに重点が置かれ、そこからは 政治理念やリーダーシップ等が見えてこない。
例えば、行政改革に対する熱意は、官僚寄りと言われる福田さんからは あまり感じられない。
公務員制度改革担当の渡辺喜美大臣が 霞ヶ関や他の大臣の抵抗に遭った時も、積極的にバックアップするではなく、第三者的な立場に立っているようだ。これが 福田さんは 調整型タイプと言われる所以か。
安倍前総理が力を入れた集団的自衛権の見直し問題も 棚上げにしてしまった。
改正教育基本法に則った小中学校の新指導要領が 先月文科省から発表され、安倍さんが蒔いた種が少し芽を出してきたようだが、福田さんからの教育改革への熱意は あまり伝わってこない。
憲法改正問題についても、施政方針演説では「改正するとすればどのような内容か、全ての政党の真摯な議論を期待する」と述べるに止まり、これでは 賛否両論があるので皆さんで決めて下さいと言っているようなものだ。福田さん、一体あなたはどう考えているの?と聞いてみたい。総理としてのリーダーシップはもとより 政治理念のかけらも感じられない。
昨年8月 法律(国民投票法)によって衆参両院に設置された憲法審査会は、国会の怠慢で いまだに始動せず、有名無実化している。
昨年10月末で期限を迎えたテロ特措法の延長に 野党が反対したため、自衛隊によるインド洋での国際給油活動が 一時中断を余儀なくされ、国際的な信用を落とす結果になった。
日銀総裁人事問題については、前回 詳述したところである(国会の同意が得られず、一時総裁不在となったこと)。
その後、政府は、4月11日の7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(於ワシントン)を目前にして、白川方明副総裁を総裁に昇格させ、渡辺博史一橋大大学院教授(前財務省財務官)を副総裁に起用する人事案を 再々度国会に提出した(4月7日)。
しかし、民主党は、白川氏の総裁昇格は承認したが、渡辺副総裁候補については、天下りだ等として拒否した(4月9日)。このため 今度は副総裁が欠員になった。
本来 内閣に属する正副総裁の任命権を、野党に牛耳られてしまった。これは、あってはならない異常な事態である。
国の内外に混乱をもたらしたこれらの問題は、国政の重要問題を政争の具にした無責任な民主党の仕業である。
しかし、民主党が反対することは相当以前から分かっていたことであり、福田内閣の対応や戦略には 大いに問題ありと言うべきである。
今国会では、平成20年度予算関連の租税特別措置法案の審議に当たり、民主党が道路特定財源の一般財源化やガソリン税の暫定税率の廃止を求めて抵抗して 参院で審議拒否を続けたため、3月末の期限切れで暫定税率は失効し、ガソリン価格が約25円下がるという事態になった。
この結果、国、地方の歳入に2兆6千億円もの穴が空くことになり、特に 地方自治体では歳入不足のため、一部予算執行ができなくなる等 深刻な状況も生じつつある。
その過程で、3月27日、福田総理は民主党の賛成を得るために、来年度から道路特定財源の一般財源化を柱とする構想を表明した。(民主党は、あくまでも 本年度からのガソリン税の暫定税率廃止を主張して拒否する姿勢)
この福田提案は、民主党との協議がまとまらなくとも、来年度から 道路特定財源の一般財源化を実施する方針だという。これは かなり踏み込んだものであり、実現できれば 評価できる。
元総理の小泉さんは、無駄な道路建設排除の観点から、道路公団の民営化とともに 道路特定財源の一般財源化を進めようとして、道路族議員とバトルを展開した。この考え方は 安倍前内閣も踏襲した。
しかし、福田さんは 道路特定財源について どう考えていたのか、彼の真意が分からない。
道路特定財源は 一般財源化すべきだと思っていたのなら、なぜ最初から 一般財源化の方向で 法案を提出しなかったのだろうか。もしそうしていれば、民主党も抵抗できず、事態は変わっていたはずである。
多分、党内の道路族議員たちの意向に押されて 道路特定財源維持の法案を固め、提出したのだろう。民主党の抵抗で いよいよ行き詰まったため 重大な方向転換に踏み切ったと思われる。
もしそうだとすると、福田さんには、主体性や指導力、統率力の欠如が問題になり、総理総裁としての資質が問われる。
今、国民の多数は、道路特定財源の一般財源化を支持している。
もし、来年度から道路特定財源の一般財源化が実現しても、それは 民主党の圧力によるものと評価され、自民党の得点にはならないだろう。
今年度予算関連の税制関連法案が衆院で可決され 参院に送付されてから、今月末(29日)で2ヶ月を経過する。その時点では、是非 衆院3分の2以上の多数で再可決し、暫定税率を復活させ 歳入欠陥を是正すべきだ。
民主党は、衆院で再可決すれば、総理の問責決議案を提出すると 脅しをかけている。
しかし、参院で 総理の問責決議案が議決されても 何ら拘束力はない。
憲法に定められた手続きに従って 衆院での再可決を行うのに 躊躇する理由は いささかもない。
もし 民主党の脅しに屈して 衆院再可決を 躊躇するようなことがあれば、福田政権は いよいよ国民から見放されてしまう。
(2008.04.15)
【ちょっと一言】
〔日銀の正副総裁ポストは 天下り先か〕
政府が提出した日銀副総裁候補渡辺博史氏(前財務省財務官)を、民主党の小沢氏らは、天下り廃止の見地から好ましくないとして拒否した(4月9日の参院本会議)。
天下りと言うのは、天下る官僚を処遇するために、ポストを与えることである。
国の金融の舵取りを担う日銀の正副総裁には、金融や経済に関する識見や能力等 最高の資質が求められる。
日銀の正副総裁は、決して 天下り先というような軽いポストではなく、国の中枢とも言うべき極めて重要なポストだ。
民主党小沢氏らの態度は、一方では日銀の独立性と言いながら、これでは まるで 日銀軽視、日銀侮辱ではないか。
次回は(第173回)
「頼りない福田内閣(U)(2008.05.01)
 月周回衛星「かぐや」 から見た満地球 |
【出来事】
- 4月4日 第80回選抜高校野球大会決勝戦 沖縄尚学(沖縄)が聖望学園(埼玉)を9対0で破り優勝
- 4月5日 青森県久栗坂漁港沖合の陸奥湾でホタテ漁船(5.1トン)が遭難 乗組員8人全員が死亡または行方不明
- 4月7日 政府 空席になっている日銀総裁に白川方明副総裁の昇格 後任の副総裁候補に渡辺博史一橋大大学院教授(前財務省財務官)を国会に提出
9日参院本会議で白川方明氏の総裁就任は同意 渡辺博史副総裁候補は民主党等の多数で拒否 白川氏は9日付で総裁に就任
- 4月11日 7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議 於ワシントン
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