◇第177回◇
タクシー チケットと霞ヶ関
最近、中央省庁が集中している東京の霞ヶ関で、深夜に帰宅する公務員の杜撰なタクシー使用が問題になった。
霞ヶ関官庁街では、仕事が深夜に及ぶため、帰宅には 支給されるチケットによるタクシー利用が長年の慣行になっている。
確かに 午後10時〜12時頃 霞ヶ関の官庁街を眺めると、ビルの窓は大部分が明々と灯っている。さすが 日本の官僚は よく働くものだと感心したこともあった。
しかし、官僚たちが帰宅に使うタクシー費用は、莫大な金額になるはずだ。最も利用が多い財務省では、年間5億円近くに上っているという。
タクシーチケットの管理も杜撰で、枚数や金額の制限もなく、実質 青天井のところが多いという。
中には、ほとんど毎日のようにタクシーで帰宅していた者、1人で年間500万円近く使った者もいたというから驚きだ。
官僚たちには、税金が使われているという意識もないようだ。タクシーチケットだと金銭感覚も麻痺してしまうのだろう。
政府が、本気でタクシーによる深夜帰宅の悪習を根絶する気なら、タクシーチケットを 廃止することである。やむを得ず深夜に タクシーを使う場合は、本人が一旦現金で支払い、後日 領収書により 本人に払うことにすれば、タクシー費用が激減すること間違いない。
「居酒屋タクシー」という新語が生まれた。これは、タクシー運転手が 深夜帰宅族に 缶ビールやつまみ等を提供するというものだ。深夜帰宅の上得意客・官僚たちを 繋ぎ止めようとする運転手を あまり責めるわけにもゆくまい。
政府の調査では、運転手からの提供サービスを受け取った者は、1400人以上に上っている。
中には、現金や商品券などの金券をもらった者もいたという。
現金や金券の場合は、その多寡にもよるが、国家公務員倫理法に抵触するケースもあるだろう。いづれにしても 「居酒屋タクシー」問題は 公務員のモラルの欠如を物語っている。政府は 処分を含む是正措置をとるべきことは言うまでもない。
霞ヶ関では、遅刻制度は 有名無実化しているようだ。
霞ヶ関官庁街は、夜は遅くまで不夜城の如くであるが、朝は閑散としている。
朝の始業時刻は、午前9時であるのに、深夜タクシー帰宅組は、通常10時前に出勤する者は あまりいない。
官僚たちの深夜に亘る不規則な勤務は、国会の政府側答弁資料作成のための深夜作業や深夜待機によるものだと言われる。
確かに 霞ヶ関の官僚たちには そのような特殊事情はあるだろう。しかし、それは国会開会中、その中でも特別な場合に限られるはずだ。国会開会中だからといって 連日深夜作業や深夜待機が必要であるはずはない。
ところが、霞ヶ関では、国会開会中であろうとなかろうと、深夜帰宅と遅い出勤が常態化している面がある。
尚、この問題は、政治家にも責任の一端がある。国会議員は、国会での質問通告を 前日ぎりぎりに提出するのは 遠慮すべきだ。遅くとも2日前までに提出するルールを作れば、官僚の深夜帰宅は減少し、無駄が省けるはずだ。
深夜帰宅族の時間外手当(残業代)は どうなっているのだろう。
午後5時以降が時間外ならば、深夜帰宅族は、1日に8時間以上の残業となる。
時間外の勤務時間に応じて、きちんと手当が支給されているとすれば、それは 月に何10万円/人という法外な残業代をもらうことになる。全体では莫大な金額になり、精査すれば税金の無駄使いの実態が明らかになるだろう。
逆に、この長時間の時間外勤務が、専らサービス残業であるとすれば、これまた問題である。
厚労省(労働基準監督署)は、民間企業に対して サービス残業を厳しく取り締まっているのに、範を示すべき中央官庁が法令違反を犯していることになる。
【公務員と労働基準法】
公務員は、国家公務員法、地方公務員法により、労働基準法の適用が除外されている。
しかし、公務員といえど時間外勤務手当て(残業代)は、当然支給されるし、公務員だからサービス残業が許されることにはならない。
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政府は、国家公務員の勤務実態(特に時間外業務やその手当ての実態)を精査し、勤務に関わる悪慣習は 速やかに是正してもらいたいものだ。それは、所定の勤務時間(AM9時〜PM5時)内に仕事を終えるという基本に立ち帰ることである。
そのためには、公務員の意識改革が必要であり、それに裏打ちされた業務の効率化を徹底することである。
お役所仕事は、低能率で生産性が低いと見られている。その典型は社会保険庁だが、霞ヶ関のエリート官僚たちも例外ではない。
公務員の勤務実態にメスを入れ、高能率官庁への脱皮こそが、公務員改革の大きな成果になるはずだ。(2008.07.01)
次回は(第178回)
「核と拉致(T)」 (2008.07.15)
【出来事】
- 6月17日 沖縄地方が梅雨明け
- 6月18日 東シナ海の日中ガス田問題 両国の共同開発で合意
- 6月19日 東北 北陸地方が梅雨入り
- 6月21日 第169通常国会閉会
- 6月21日 フィリピン中部シブヤン島沖で大型フェリー「MVプリンセス・オブ・ザ・スターズ」(23,824トン)が沈没 乗客・乗員800人以上 大半が行方不明
- 6月23日 千葉県犬吠埼灯台から東約330キロ沖で漁船「第58寿和丸」(20人乗組 135トン)が転覆沈没 4人死亡 行方不明13人
- 6月26日 北朝鮮 核計画申告書を6カ国協議の議長国中国に提出 米国は北朝鮮のテロ支援国家指定解除を表明(敵国通商法も適用除外)
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