◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2008/10/01】



◇第183回◇
ねじれ現象の打開策は解散総選挙

 福田前総理が退陣し、麻生新内閣のもとで、解散含みの臨時国会が始まっている。
総理大臣は変わっても 国会のねじれ現象は続き、麻生首相が置かれた状況は、福田前首相の場合と全く同じだ。
野党民主党が、政局一辺倒の対決姿勢を改める可能性がない以上、このままでは、麻生総理も 遠からず福田さんの二の舞になることは必至だろう。
ねじれ現象のため 国会がその機能を果たせない状況のもとでは、政府は必要な政策も行なえない、国政が停滞 麻痺することは、国家・国民にとって まことに不幸である。
 政権与党には、この異常事態を打開する責任がある。残された道は、早期に国会を解散し、総選挙で民意を問うことしかない。
現在 衆院で3分の2以上の議席を擁している与党としては、解散総選挙には 大きなリスクがある。
与党が大勝して、再び3分の2以上の議席を獲得する可能性はない。
与党が敗れ、政権を民主党に明け渡す結果になるかもしれない。
しかし、国政の責任を負っている政権与党は、政権維持に固執して 解散・総選挙をためらっている場合ではない。解散・総選挙には 政局転換の可能性があり、国会ねじれ現象打開の道が開けてくるかもしれない。解散はできるだけ早い方が望ましい。
 総選挙の結果によって、その後の政局が大きく変わってくる。

 【ケース 1】自公の与党が、衆院で過半数を制した場合
 引き続き 自公連立の麻生政権が維持されるが、ねじれ現象は 相変わらず続く。
与党は選挙で勝っても、これまでのように 衆院3分の2以上の議席を持たないため、麻生内閣の政権運営は、更に一層 困難になる。野党の協力がなければ、国会で何一つ決められない。
国会で、予算衆院優越の憲法の規定により、予算は通せても、肝心の予算関連法案が成立しなければ、予算は執行できない。
 選挙に敗れた小沢民主党の出方が注目される。
民主党が現行体制のまま、相変わらず政局優先の対決姿勢を取り続けたら、国会の機能不全、国政の停滞が 当分続くことになり、国民は この事態を甘受しなければならない。
民主党は、国民の審判がくだったにも拘らず、これまでのように党利党略・政局一辺倒の対決姿勢を続ければ 世論の反発は必至だろう。
 小沢代表は、次期総選挙には 政治生命を賭けて戦う、政権獲得の最後のチャンス等と言って党内をまとめてきただけに、民主党にとって 総選挙の敗北は 大きな痛手になるだろう。小沢氏の党内での求心力は 低下し、選挙責任問題をはじめ これまで抑えられてきた色々な問題が噴出し、政界再編や政局転換に結びつく可能性も考えられる。

 【ケース 2】野党が大勝し民主党だけで過半数を制した場合
 衆参両院で民主党を中心とした野党が過半数を握り、民主党待望の小沢内閣が実現する。
自公両党は、野党として小沢内閣と対峙することになる。
しかし、民主党は 参院では過半数の議席を有していないため、国民新党や社民党の協力が不可欠であり、両党が反対する政策は 打ち出せない。
左から右までの幅広い勢力を擁する民主党は、特に外交、防衛等 国の基本方針の合意形成には 難航するだろう。政策策定の過程では、与党内不統一を露呈して 混乱する可能性がある。
 予てからの民主党の公約 “高速道路の無料化“ “子ども手当(26,000円/月)の新設” “農家への戸別所得補償” “揮発油税の暫定税率廃止” “年金一元化、国庫負担による最低保障年金の創設”…等々には、17〜18兆円の財源が必要と言われている。
小沢代表は 9月21日 党大会での所信演説で、“一般会計、特別会計、社会保険料を一体化し、特別会計は原則廃止する等、財政構造を大転換する。一般会計と特別会計の国の純支出212兆円の1割相当の22兆円を主要政策の財源に充てる”と述べている。しかし、22兆円捻出の具体的根拠が曖昧であり、民主党の政策を実現しようとすれば、財源問題で行き詰まるだろう。
 野党自民党の出方次第では、小沢内閣は短命に終わる可能性もある。

 【ケース 3】野党が辛勝した場合(民主党単独では過半数が取れなかった場合)
政権獲得に執念を燃やす小沢一郎氏は、社民党や国民新党との連立(閣外協力も含む)を組んで小沢内閣を実現するだろう。
社民党や国民新党が、キャスティングボートを握ることになり、小沢総理は、不安定な 綱渡り政権を強いられることになる。
 最近、民主党の菅代表代行は、僅差で野党が過半数に達しなかった場合は、政権獲得のためには 自民党の一部を取り込んで連携することもあり得ると言っている。(9月14日フジテレビ「報道2001」で)
しかし、その逆のケースの方が可能性が高いのではないか。
既に先月(8月28日) 民主党の渡辺秀央氏と大江康弘氏(いづれも参院議員)が 小沢代表の方針に反発して 離党し、無所属の荒井広幸氏らと新党「改革クラブ」を結成している。
社民党や国民新党にキャスティングボートを握られた民主党では、党自体が求心力を失い、民主党を見限って離党する者が 更に増える可能性もある。民主党の内紛が、政界再編に繋がるなど、政局が大きく転換することも考えられる。
 なお、自公与党は 僅差で敗れた場合でも、無所属議員等への働きかけを行ってまで政権に固執すべきでなく、潔く野党に政権を渡すべきだ。

 既に、各党とも衆院の解散間近かと見て、選挙対策に大童おおわらわだ。
今度の総選挙は、政権選択、政局転換の可能性を秘めた重要な選挙になる。
与野党を問わず 各党は党利党略を捨てて、国家国民のために何が必要か、我が国の将来を見据えた政策を掲げて 選挙戦に臨んでもらいたい。賢明な国民は、集票のための人気取り、偽物には騙されない。(2008.10.01)


 【補 足】
 政府与党は、深刻化する不況対策として 補正予算の編成を考えていたが、去る9月29日の米議会下院の経済安定化法案否決による世界的な金融不安に対処するため、補正予算は 国会解散が多少遅れても 今国会での早期成立を図る方針に変わってきたようだ。
 この補正予算の国会審議が、与野党間の解散・総選挙の駆け引きの材料になっていたが、この問題に限り、民主党は 審議に応じる柔軟な姿勢を示している。現在、委員会の審議時間について 与野党間協議が行われているようだが、予断は許さない。
民主党としては、これまでのような対決姿勢で 国民生活に影響する補正予算の成立を阻止すれば、“何でも反対”の民主党のイメージ悪化につながり、選挙に不利と見たのだろう。
もし本当に民主党に自信があるのなら、一刻も早く解散して 選挙に勝利し、小沢内閣は 民主党のマニフェストに基づく経済対策や補正予算の編成を目指すべきだと思うのだが…。
 解散時期の見透しは、まだ分からない。補正予算成立後に行われるのか、野党の出方次第では 補正予算の成立を待たずに行われることもある。当分 解散なしもあり得るかもしれない。それには、野党 特に民主党の対応が大きく関わってくることは間違いない。(2008.10.01)

 次回は(第184回)「政治の貧困(T)」 (2008.10.15)
  【出来事】
  • 9月15日 米証券大手リーマン・ブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請して破綻 負債総額は約6,130億ドル(64兆円余)
  • 9月16日 リーマン・ブラザーズの日本法人「リーマン・ブラザーズ証券」「リーマン・ブラザーズ・ホールディングス」 東京地裁に民事再生法の適用を申請(2社の負債総額は約3兆9,400億円)
  • 9月19日 農林水産省 太田誠一大臣 白須敏朗事務次官が事故米の不正転売問題で引責辞任(太田大臣の後任は町村信孝官房長官が兼務 白須次官の後任には井出道雄林野庁長官が就任)
  • 9月20日夜(現地時間) パキスタンの首都イスラマバードで米国系「マリオットホテル」への爆弾テロ 死者53人 負傷266人
  • 9月21日 民主党 臨時党大会(代表選挙集会)で 9月8日無投票で代表選に当選した小沢氏の代表就任を正式承認
  • 9月22日 自民党 両院議員総会で総裁選挙 麻生太郎氏が新総裁に就任
  • 〔開票結果〕投票総数527(141) ☆麻生太郎351(134) 与謝野馨66(2) 小池百合子46(0) 石原伸晃37(1) 石破茂25(4) 無票票2 ( )内は地方票で内数
  • 9月22日 自民党新役員決まる 幹事長細田博之氏(前幹事長代理) 政調会長保利耕輔氏(再任) 総務会長笹川尭氏(再任) 選挙対策委員長古賀誠氏(再任)
  • 9月22日 公明党全国大会 任期を迎えた太田昭宏代表の再任を承認(太田氏以外に立候補の届出がなかったため)
  • 9月24日 第170臨時国会召集(会期は11月30日までの68日間)
  • 衆院本会議で第92代首相に自民党の麻生太郎氏を指名選出(参院では民主党の小沢一郎氏を指名)
  • 9月24日 麻生内閣が発足
  • 9月25日 小泉元首相 次期衆院選には立候補せず政界からの引退を表明
  • 9月25日(日本時間26日) 麻生首相 国連総会で一般討論演説
  • 9月26日 西武ライオンズ パ・リーグ優勝
  • 9月28日 中山成彬国土交通相 失言問題で辞任 後任は金子一義氏(衆院議員)
  • 9月28日 大相撲秋場所千秋楽 横綱白鵬が14勝1敗で優勝 (14日目に優勝決める)(横綱朝青龍は左肘故障のため10日目より休場 5勝4敗)
  • 9月29日 米議会下院 緊急経済安定化法案(最大約75兆円の公的資金投入等)を否決 株価は過去最大の下落幅を記録