◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2008/11/15】



◇第186回◇
政治の貧困(V)

 最近の与野党の勢力均衡は、衆参のねじれ現象を生み、政党政治のあり方に 問題を投げかけている。
政党の党利党略的な行動が、国会の機能不全をもたらし、国政の停滞を招くようになった。
特に野党は、政府与党と対決し 政府を追及することだけが、自分達の役割だと勘違いしてるのではないか。 国家・国民に対する責任や政治家としての自覚が欠けているように見える。
 テレビの国会中継(特に委員会質疑)を見ていると、低レベルな質問や近視眼的な議論が目につく。
答弁者の言葉尻や揚げ足を取って追求する場面もよく目にするが、これは 本論に関係ない不毛な議論であり、国会の品格を疑わしめる。国会議員は、もっと勉強して 政策で堂々と議論してもらいたい。
 閣僚の失言が命取りになり、辞任に追い込まれた大臣も多い。
しかし、いづれのケースも 辞任に値するような失言ではなかったと思う。むしろ 思い切って正論を述べたケースが多い。
例えば、最近 失言問題で大臣を辞任した中山成彬氏の発言でも、成田空港反対闘争についての「ゴネ得」発言、「日教組への批判」発言等が どうして非難の対象になるのか不可解である。中山発言については 多くの人が正論だと拍手を送っている。
閣僚の発言の一部を捉えて、失言として責任を追及する風潮は 決していいことではない。これは、国民に対して 最も発言すべき立場の大臣の口封じに繋がり、その結果が 国の政治にマイナスになることは言うまでもない。
任命責任者である総理は、言葉尻を捉えての理不尽な責任追及は、断固として撥ね退け 悪習は断つべきである。
政治の世界で、タブー視する意見や言葉があってはならない。 閣僚はもとより、政治家が 党派を超えて 自由な発言ができる雰囲気が必要である。民主主義の基本である。

 政治の貧困は、結局 個々の政治家の能力や資質の問題に帰着する。
今の国会議員の中には、政治家としての資質や能力に欠ける者が多い。
各党とも、選挙では 議席確保を最優先し、政治家としての資質は二の次、タレント性など知名度を優先して 候補者を選定している。この 頭数さえ揃えればいいという考え方が、議員の質の低下を招いている。
官僚主導から 政治家主導への転換を掲げる民主党の考え方は 理解できるが、資質や能力に劣る政治家では、能力と知識に優る官僚に勝ち目はない。
 国会議員の定数722名(衆院480名、参院242名)は、多すぎるのではないか。ボンクラ議員を頭数だけ揃えても 税金の無駄使い、弊害あるのみだ。定数を大幅に削減して、国会も少数精鋭主義にすべきである。

 我が国最大の政治課題は、何と言っても憲法改正問題であろう。
現行憲法は、敗戦後 我が国を占領支配していたアメリカの意向によって作られたもので、国民の意思に基づく自主憲法ではない。(憲法公布 昭和21年5月3日、施行 昭和22年11月3日)
日本を占領支配するための憲法、戦勝国アメリカが望む日本の在り方を定めたのが、今の憲法である。当時は 占領下にあった敗戦国としては やむを得なかった。
しかし、講和条約が発効し 主権を回復した昭和27年(1957年)以降は、速やかに国民の意思による自主憲法を制定すべきであった。
それから56年も経過したというのに、今だに放置されたままだ。これこそ政治の怠慢と言うべきだ。

 現行憲法は、内容的に見ても 改正すべき点が多々あるが、とりわけ 独立国家としての基本に関わるのは 第9条であろう。
憲法9条には、「…陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と書いてある。
政府の解釈は、自衛権(個別的自衛権)は有しているのだから、自衛隊は違憲ではないということで一貫している。
この9条には、色々な解釈がある。素直に 文言だけを読めば、自衛隊は違憲となるかもしれない。
憲法9条は 我が国を 国際社会の中で特異な国家に位置付け、色々な不都合も もたらしている。
テロ撲滅のため、国際社会が結束して軍隊(多国籍軍)を派遣しているのに、我が国は 憲法上の制約から派遣できないとしている。 言い換えれば、「日本は 身体障害者だから 他国と同等には 付き合えません」と言っているようなものだ。 これでは、我が国は 国際社会から一人前として扱われない。
憲法前文の「…国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」どころの話ではない。他国並みの国際貢献もできない我が国は、恥ずかしい地位にあると言うべきだろう。
 自衛権をめぐる論争でも、政府は 集団的自衛権は有するが、行使できないという不可解な見解を採り、これが 我が国 安全保障上の大きな弊害になっていることは 前回述べた通りである。また前回、麻生総理が 集団的自衛権問題に前向きである旨述べたが、11月4日の総理の記者会見で、麻生内閣には この問題を検討する考えがないことが はっきりした。
 最近、衆参のねじれ現象は 国会の機能不全を惹き起こし、国政の停滞をもたらしているが、これは 憲法規定の欠陥によるものである。 ねじれ国会であっても、民意が 円滑に国会に反映され、国政に混乱や停滞を来たさぬよう 憲法規定の改正が必要である。
その外にも、現状にそぐわない改定すべき点は 多々あると思う。

 これまで 憲法改正議論は タブー視されてきたが、安倍元総理は、憲法改正に強い意欲を示し、改正に必要な国民投票法を制定したことは 一歩前進として高く評価したい。
しかし、安倍総理の突然の退陣によって 折角の憲法改正の議論も 今や下火になってしまった。福田内閣以降、憲法問題は封印されたままになっている。
平成19年8月、憲法審査会が 国会に設置はされたものの、審査会委員の構成や審査会の議事運営を定める審査会規程も いまだに制定されていない有様だ。
時の経過とともに、現行憲法制定の経緯や矛盾に対する問題意識さえも薄らいできたことは、まことに遺憾である。
 しかし、憲法改正は、我が国の在り方や国家像に関わる最大の政治課題である。 幅広い国民的議論を捲き起こさねばならない。
そのためには、確かな信念と強いリーダーシップに裏打ちされた政治家の出現が待たれる。(2008.11.15)


 【ちょっと一言】
 民間団体(アパグループ)主催の懸賞論文に応募した元防衛庁航空幕僚長 田母神たもがみ俊雄氏の論文『日本は侵略国家であったのか』が 最優秀賞を受賞したが、政府は、内容が政府見解に反するとして 受賞翌日の11月1日、同氏を更迭した。(その後11月3日付で定年退職扱にする)
 彼の論文は、公的なものではなく、あくまでも私的なものである。 今回の政府の問答無用の処分は、思想信条の自由、言論の自由を侵す可能性がある。
公務員は、私的な立場においても、政府の方針には 一言たりとも批判は許されないということになれば、それは まさに独裁秘密国家だ。自衛隊を、言論の自由が封殺された特殊社会にしてはならない、自衛隊を、国民から遊離した存在にしてはならない。
マスコミの批判の多くは、論文の内容ではなく、文民統制の観点からだ。
文民統制が重要なことは当然だが、我が国は 政治システムから見ても、文民統制は磐石だ(自衛隊の最高指揮官は総理大臣、防衛大臣を含む全ての大臣は文民に限ると憲法で定めている等)。
我が国では、政府の方針が 田母神論文に影響されることは あり得ないことだし、この私的な論文が文民統制を侵すと言うのは、過剰反応だ。
 11月11日、参院外交防衛委員会で田母神氏の参考人招致が行われたが、質疑では 与野党とも田母神氏の発言を封じようと躍起になっていた。
田母神氏に発言されると、彼の意見に国民が共鳴することを恐れているかのようだった。
これは 彼の論文が正論だということを 物語っている。
 本件が これ程騒がれたのは 本人としては不本意だろうが、我が国の自虐的歴史観に、一石を投じた意味は大きい。
 田母神氏の論文は、一読に値する。
 興味ある方は、ここをクリック⇒『日本は侵略国家であったのか』(田母神俊雄)

 次回は(第187回)「世界的金融不安と政府の経済対策」(2007.12.01)
  【出来事】
  • 11月4日 大阪地検特捜部 音楽プロデューサー・小室哲哉氏(49)ら3人を詐欺容疑(5億円詐取)で逮捕
  • 11月4日 アメリカ大統領選挙 民主党バラク・オバマ上院議員(47)が共和党ジョン・マケイン上院議員(72)を大差で破り当選(来年1月20日第44代大統領に就任予定)
  • 11月8〜9日(現地時間) 日米欧の主要国や中印等20ヶ国によるG20財務相・中央銀行総裁会議(於 ブラジル サンパウロ 白川方明日銀総裁 三ツ矢憲生政務官が代理出席)
  • 11月9日 大相撲11月(九州)場所初日(福岡国際センター)
  • 11月9日 プロ野球日本シリーズ 西武ライオンズが読売ジャイアンツを4勝3敗で破り優勝