◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2009/01/15】



◇第190回◇
脱化石燃料

 昨年前半は、原油の国際価格が、先物取引への投機資金の流入もあって 異常に高騰し、石油高に振り回された半年であった。
昨年を振り返ると、年明け早々 100ドル/バーレルの高値をつけた原油価格は、更に 上昇を続け7月のピーク時には 147ドルにまで達し、国内のガソリン価格は 一時180円台/リットルにまで値上がりして 社会問題になった。当時 原油価格は 年内には200ドル近くまで高騰するだろうと予想した評論家もいた。
燃料費の高騰は、漁業や運輸運送業等に直接打撃を与える。 漁業者は、採算がとれないとして 全国一斉休漁を行う事態にまで発展した。(これに応えて政府は 漁業者に燃料費補助を行った)
 石炭の国際価格も、1年間で2〜3倍に上昇していた。製鉄各社は、製鉄用原料炭や鉄鉱石が高騰したため、昨年春 鉄鋼の大幅値上げに踏み切り、大口ユーザーの自動車、造船業界等へ価格転嫁を行った。(金融危機到来の直前に ユーザーに価格転化ができた鉄鋼メーカーは ラッキーだった)
 石油や石炭等 エネルギー資源の大半を輸入に頼っている我が国としては、これら鉱物資源の国際価格の上昇が、国内産業や経済に大きなダメージとなることを実証した。

 ところが 昨年後半になると、米国発の金融危機に端を発した深刻な世界同時不況によって、石油の需要は減少し、投機マネーも引き揚げたため、原油価格は 一転暴落し今や40ドル台になった。
同様に 石炭の国際価格も下降気味になってきた。
現時点では、石油、石炭等の国際価格の異常な高騰は 収束を見せている。

 しかし、これは 今世界に広まっている深刻な不況がもたらした需要減退によるもので、一時的な現象と見るべきである。
石油、石炭は有限資源であること、将来、中国やインドをはじめとする途上国の需要が 一層伸びてくることを考えると、世界不況が回復した暁には、石油、石炭等の価格が 上昇基調に転ずることは間違いない。それは投機資金が将来の原油価格に目をつけたことからも窺える。
昨年、我が国では 一時的に石油の値段が高騰しただけで、パニックになる程 大問題になった。将来のエネルギー確保対策は重要な国家的課題であろう。

石油の「可採年数」は 現時点で 34〜35年分と言われている(「可採年数」とは、確認埋蔵量を 現在の年間生産量で割ったもの)。 また、未確認資源量等を加味した石油の「枯渇年数」は 約65年分と言われる。(日本石油鉱業連盟の予測による)
石油は有限資源であり、いづれ枯渇するが、その過程では 採掘条件の悪化による採掘コストの上昇も見込まねばならない。
石炭についても、製鉄用の原料炭、火力発電用の一般炭、いづれも ほとんど全て輸入に頼っている。(国内の炭鉱は全て閉山した)
火力発電や都市ガスに使われる天然ガスも 大半を輸入に頼っている。
 我が国のエネルギー資源の自給率は、水力発電等 僅か数パーセントに過ぎない。(原子力発電も、ウランが輸入のため輸入資源)


 最近、地球温暖化対策の一環として 温室効果ガス(CO 2 )の排出削減が 国際社会で強く求められるようになった。
このため 我が国でも、専ら 省エネ対策が推進されている。我が国の省エネ技術は、世界的に見ても高水準にあり、地球温暖化対策として 国際社会への貢献も大いに期待される。
石油、石炭等のエネルギー資源を 外国に依存している我が国としては、省エネ政策は、地球温暖化対策のためのみならず、国のエネルギー政策としても、極めて重要であり、今後一層推進していくべきことは言うまでもない。

 将来 確実に上昇が見込まれる石油や石炭の価格、将来逼迫していく石油の需給関係を考えると、省エネとともに 脱化石燃料へのエネルギー転換が、我が国の産業政策上 大変重要な課題になってくる。
 脱化石燃料として理想的なのは、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの利用であろう。
自然エネルギーによる電力は、需要に応じて安定的に供給することが難しい。自然エネルギーの利用拡大に関しては、大量蓄電技術の問題等、今後の研究や開発に期待する余地が大きい。
 我が国の自然エネルギーの利用は、発電コストがネックになり、ヨーロッパに比べると遅れている。
我が国の風力発電には、北欧に比べると 常に一定の風に恵まれない地勢上の問題もあるかもしれない。それでも、発電用の風車が、各地に少しづつ見受けられるようになってきた。
また、日本の太陽光発電技術は、世界のトップレベルにあるにも拘らず、その普及は ドイツ等に比べると かなり立ち遅れている。ドイツでは、太陽光発電の余剰電力の買取価格を高めに設定する等、国を挙げて強力に推進しているからだ。(電力会社が購入する余剰電力の買取価格を高めに設定すれば、電力料金は 当然高くなる。それを 国民が受入れている)
 自然エネルギーの技術の研究開発、普及拡大は、国策として 官民挙げて取組むべき課題だと思う。

 脱化石燃料を進めても、やはり エネルギーは 電力に集約される。
かって我が国の電力は、石炭、石油による火力発電が主流だったが、今では原子力発電が総発電量の3分の1以上を占め、火力発電に取って代わった。原子力発電は、脱化石燃料、クリーンエネルギーという観点からも、大変重要なエネルギー資源である。
(世界的に見ると、1979年の米スリーマイル島事故、1986年の旧ソ連チエリノブイリ事故以来、脱原発の傾向にあったが、最近は 原発推進へと流れが変わってきた。)
 原発の最大の難点は、その安全性にある。
放射能流出を伴う原発の事故は、一旦発生すると 取り返しがつかない大災害に繋がる危険がある。原発の安全確保が最重要であることは言うまでもないが、過度な原子力アレルギーによる 原発拒否反応は禁物だ。
 原発に関しては、その外にも、解決しなければならない問題がある。 使用済核燃料のリサイクルとも言うべきプルサーマルの推進、核廃棄物処分場の確保等である。(青森県に電源開発が建設中の大間原発は 世界初のプルサーマル専用の商用炉として期待されている…2014年11月運転開始予定)
 将来の我が国のエネルギーの柱としては、原子力以外に選択肢はない。エネルギーの大半を担う原発は これからも伸び続けるだろう。原発に対する正しい知識に基づく国民の理解が是非必要である。

 自動車業界では、低燃費のハイブリッド車が人気を博しているし、電気自動車の実用化も間近い。水素による燃料電池自動車の研究開発も進められている。問題は高コストの克服だが、今後の研究開発に期待したい。
 我が国製鉄業界では 画期的な研究に乗り出すと言う。
今の製鉄法は、石炭を使って 鉄鉱石から鉄を取り出すのだが、石炭の代わりに水素を使う方式にするものだ。(水素還元法=鉄鉱石に含まれる酸素分を取り除くのに使う炭素に代えて 水素を使う方式。近代製鉄の常識を150年ぶりにひっくり返す画期的なものと言われる)
石炭の場合は、大量の二酸化炭素が発生するが、水素の場合 出てくるのは水だけである。
実現までには、まだ相当の年月を要するようだが、将来に期待したい。
 未来のエネルギーと言われる核融合エネルギーの研究開発が 国際協力により 行われている。もしこれが実現すれば、枯渇することのない画期的なエネルギー資源を人類は手に入れることになる。 (2009.01.15)

次回は(第191回)「年越し派遣村」(2009.02.01)
  【出来事】
  • 1月3日(日本時間4日未明) イスラエル地上軍 パレスチナ自治区ガザ地区へ侵攻 ハマス側応戦
  • 1月5日 第171通常国会召集(会期 6月3日までの150日間)
  • 1月11日 インドネシアのスラウェシ島沖で乗員・乗客約270人が乗ったフェリーが沈没 死者行方不明約250名と伝えられる
  • 1月11〜12日 麻生首相訪韓 李明博大統領と日韓首脳会談(12日)
  • 1月11日 大相撲初場所初日(両国国技館)
  • 1月13日 衆議院議員渡辺喜美氏(元行政改革相) 自民党に離党届を提出
  • 1月13日 2008年度第2次補正予算案・関連法案 衆院本会議で可決 参院へ送付